昨夜6時からの総理大臣記者会見。原発依存からの脱却を表明することが目的で開かれたものだった。
で、この会見には、いったいどんな意味があるのだろうか。
3.11大震災による福島原発の事故によって、電力業界やこれと癒着してきた自民・公明などの保守党に加えて民主党も、根拠も無しに言いふらしてきた安全神話が崩壊したばかりではなく、その事故の代償があまりにも大きすぎることから、日本のみならず国際的にも原発に対して懐疑的または否定的な世論が高まることとなった。
国内外のこういう世論の動向をそのまま受け止めるならば、ドイツやイタリアのように原発との決別へという道を選択するのはもっともなことだと思えるだろう。
だがしかし、民主党による総理大臣のこういう発言でまず思い浮かんだのは、政権をとった当初の最初の国際会議での演説だった。当時、鳩山由紀夫は、
地球温暖化ガス=CO2の15%削減を日本の目標であるとブチ上げたのだ。で、この話は今だれがどのように担当して、実現に向けて何が実行されているのだろうか。この問題の今については、何も報道されていない。ついでに言えば、
東アジア経済圏構想なるものも総理大臣が一人で勝手に掲げたこともあった。
総選挙で争点の一つとなっていた
普天間基地の問題にしても、海外移転、最低でも県外移転を公約にし、総理大臣に就任してからも、まるで、その実現のための秘策があるかのように国民を期待させ、この問題をズルズルと引き延ばした挙句、何の根拠もなくブチ上げた目くらましに過ぎなかったことがバレて、彼は1年で総理大臣の座を放り出した。(鳩山、小沢一郎、北海道教組出身議員の政治資金問題は、言ってみれば、首相交代の引導を渡すダメ押しの問題になったにすぎず、実行できる見通しのない公約問題が本質だった。)
民主的な討論や研究の積み重ねなどは一切なく、世論うけしそうな話をトップが突然ブチ上げるアドバルーン戦術は、国民はもう、見飽きているのである。
だから、思うのだ。「で、この会見には、いったいどんな意味があるのだろうか」と。
原発からの脱却というのは、それ自体、結構なことだと思っている。共産党や社民党は、ずっと、そう言い続けてきたし、特に共産党は「安全性が担保できないもの(事業)に依存すべきではない」と、福島原発については、東京電力の原発事故隠しの問題の頃から、何度も問題をとりあげてきただけに、福島県議会でも国会でも、この問題に関わってきた議員や党員、支持者たちが「あの頃から問題提起してきたのに」と、少数野党の「忸怩(じくじ=歯がゆく悔しい)たる思い」を語っている。
一旦事故が起これば、その影響の計り知れない大きさとか、補償問題をはじめとした代償の大きさに、国民世論は、原発に対する疑問に大きく傾いている。
そんな世論のうけを狙ったアドバルーン。それが、ゆうべの記者会見だった。ろくに政策研究も民主的討論もしたこともないままに、総理大臣の個人的な見解を表明しただけの話である。政府の政策として、何がどのように実行されるのか、何の具体策もないままに、あの鳩山CO2演説のように、単にうけを狙っただけの目くらましである。
民主党には、こういうアドバルーン戦術が多すぎる。唐突に耳触りのいい話をブチ上げておいて、その実現可能性については、あとで「あれは言いすぎでした」とケツをまくってシラっとする。(子供手当や高速道路無料化の話まで思い出す。)
人をバカにするのもいい加減にしろ、と言いたい。 ついでに言えば、脱原発宣言に見せかけるシラジラしい記者会見の意図は見え透いている。なんと言っても国民世論が脱原発に傾いているのだから、これを争点に解散・総選挙の争点に仕立て上げ、それによって、再び、民主党支持のなだれ現象を再現したい、ということに尽きる。党利・党略、私利・私略のあけすけな表現なのである。
ここまでバカにされては、国民ももう、黙ってはいないだろう。というよりも、実は、国民的な気分・感情としては、もう、民主党への期待など修復不可能なところまで、地に落ちてしまったことを理解すべきである。管直人には、人々のそういう本音は、全く見えていないのだろう。
これでまた、今日からの国会は、管直人発言の意図と退陣のタイミングをめぐる問題で
修辞学的弁論の論戦という消耗戦の新たな項目がつけ加わることになる。それだけ、余計なつまらない質疑応答で時間を浪費することになり、管直人は「総理大臣就任何日目」と、延命日数を数えることをのみ楽しみにすることになる。
さらに、もうひとつ、触れておこうと思うのは、きのうの記者会見での最初の質疑である。
記者クラブの幹事会社を代表する形で最初に質問した記者(毎日新聞)が、「まず、質問の前に」と前置きしたのは、「(あの復興院担当の)松本大臣の辞任に際して総理に記者会見を申し入れたにもかかわらず応じなかった。自分に都合のいい時だけ記者会見を開く態度は辞めてもらいたい」という要望だった。
管直人は、憮然としたまま、この要望には、何も答えず、無視して捨てた。
御用メディアの御用記者たちでさえ、こう言わざるを得ないような首相官邸と記者クラブの関係を物語るものであり、しかもなお、そんな要望になど聞く耳を持たない総理大臣なのでもある。
総理大臣が言いたいことを言うのは構わないが、それは、個人的な意見や願望としてのことであろう。だが、何の準備もなく、何の実現の手立てもなく、何の計画も定まっていないことを政府の政策であるかのように「発表」してしまうのは、詐欺に等しいというものである。
今回の脱原発発言は、あのCO2削減演説、普天間移転公約とともに、民主党トップの詐欺的体質そのものなのだ。管直人なんて、ほんと、ムシズが走るほど汚らわしい人物にしか見えない。
| ※ こちらもよろしく!! ⇒ |  |