私の中では おおよそこの 30年来、常に
「私の理想の女性は、アニメ『ペリーヌ物語』の『ペリーヌ』です。」
という回答を用意しているのですが、そもそも そんな質問自体されたことがないので一度も使ったことはございません。
各報道で声優『鶴ひろみ』さん の訃報に触れる中、「57歳」という年齢についてすんなりとは受け入れ難い思いが・・・。
そこには全く違うふたつの切り口がありまして。
ひとつは、
「『57歳』だなんて、まだ早過ぎる・・・。」
という、およそ一般的であろうところの感覚。
・・・なのですが、実はもうひとつ根本的なところのお話として、
~ 年齢のつじつまが合わない。
という、あくまで私の中の個人的な疑問が含まれておりました。
「『57歳』??
いやいや、そんなに若いはずはなかろう・・・。」
というのが率直な印象。
私が『ペリーヌ物語』の TV 放映を観ていたのは、確か “ 小学校高学年 “ の頃だったはずというアバウトな記憶。
↓
ってことは、当時の私は 11~12歳 くらい。
↓
私の中では、『声優という仕事をしてる おねいさん』といったら若く見積もっても 20歳以上であろうという感覚。
↓
ってことは 鶴ひろみさん、これまたかなりアバウトに私の『一回りくらい上』の人に違いない。
・・・と、実際はいちいち計算してるわけではありませんが、漠然とした相対的な年齢の距離感としてはそんな感じの認識。
で、その相対的な距離感を現在の年齢にまでシフトし続けて、
~ (FJスズキ オフィシャルな立場としては本来 “ 非公開 “ 扱いの)私の現年齢 51歳の一回り上、即ち『63歳』くらい。
に違いなかろう・・・と。
基本的に「分からないことは分からないままにして独りモヤモヤする。」のを好む私ですが、今回の疑問については即刻解決したくて『Wikipedia』大先生 のお世話になりました。
◆ Wikipedia 『鶴ひろみ』
・・・ナルホド。
鶴ひろみさん、1978年の『ペリーヌ物語』スタート時が「高校3年生 = 17歳(いわゆる早生まれれ)!」だそうで。
因みに、当時の私は「小学6年生 = 12歳」。
計算合った。
あっさり解決。
正直なところ、私が 鶴ひろみさん の声優のお仕事として明確に認識していたのは、
・ ペリーヌ
・ マクロスのきゃぴきゃぴしたオペレーター(役名は知りませんけど)
・ ドラゴンボールのブルマ(ドラゴンボール自体はほぼ観たことありませんけど)
くらいでして。
『ドキンちゃん』については、報道で見て「あぁ、言われてみれば確かにそうかも・・・。」という程度の認識で、シツレイながら今も現役でお仕事をされてることすら存じ上げないような状況でございました。
私の中で「ペリーヌ = 理想の女性」という図式が出来上がったのは、大学生時代に再放送で観た時から。
何がどう “ 理想 “ なのかという特に明確な定義は無く、「ただ言ってみたいだけ。」というのがホントのところではありますが・・・。
一応検証してみますと。
まず、キャラクターデザイン『関修一』氏 による 「シンプルな顔立ち」がツボです。
シンプルなパーツ構成だけに作画監督なのかアニメーターの力量なのか、放映回ごとにクオリティの差が際立ってしまうのはご愛嬌。
あと、ペリーヌの知的かつ朴訥なイメージがツボなんですが、そのイメージ形成にはやはり『声』が欠かせない要素だったと思います。
改めて『高校3年生』と聞いて納得の「素人っぽさ」が、結果としていい感じに “ 味 “ を醸していたものと思われ。
尤も。
当作品が(恐らく)声優デビュー作とはいうものの ご本人は幼少の頃から劇団に所属されていたとのことですし、「素人っぽさ」を評価されても不本意でしかなかろうと存じます。
とはいえ、例えば『ドキンちゃん』の熟れたプロフェッショナルなお仕事から察するに、むしろ上手いプロであるが故に ペリーヌ時代の “ あの “ 味わいは今改めて狙って出せるのものではないのではないかと。
例えば劇場公開のオリジナルアニメの声(海外作品の吹き替え含む)などに、もともと『声優』を本業としない有名人(俳優/歌手/アイドル/芸人/文化人? など)を充てるケースはよ~く見掛けます。
むしろ、TVシリーズが存在しないほとんどの劇場オリジナル作品がそんな感じかと。
いわゆる「大人の事情」みたいなものが透けて見えて(ってゆーか見え見えで)、邪道感が否めない。
私個人的には、あまりよい印象は持っておりません。
んが。
例えば、その声が “ ズバリ “ なハマり役だったり、あるいはそれをきっかけに『声優』としての才能に目覚めるとかいったケースもあり得ますので、一概に否定すべきものでもないのかも。
歴史を遡れば『声優』という職業自体 比較的新しいものかと思います。
黎明期には恐らく舞台俳優との兼業が当たり前だったり。
今時ならばアイドルとの兼業とかもフツーです。
また、歌手と俳優の双方で評価されている方なども珍しくない状況を踏まえると、声優だけに “ 専業 “ を期待するのもお門違いかと。
あと、『声優』の看板を掲げる方たちのみに限ったとしたら、キャスティングにどのくらいの選択肢があるのかというのも気になるところ。
かつて、友人と
「少年の声に『野沢雅子』って、もう “ そろそろ いい “ よね。」
な~んて会話を交わしたのは、もう 30年以上前のこと。(大変シツレイながら。)
今では『高山みなみ』さん がすでにその領域に突入されているんじゃなかろうか。(重ね重ねシツレイながら。)
野沢雅子さん についてはとっくにそんな領域は飛び越えて、ず~~っと先の別の次元にいらっしゃる気もいたします。
もし、『専業の声優』という限られた選択肢の中からしか選べないとしたら、それはむしろ「かえって作品に対して不誠実」なのかも。
そう考えると、透けて見える「大人の事情」の気持ち悪さは別として、『素人ならではの味わい』を演出の意図として積極的に利用するってのもアリなんだと思えて来ます。
以下、私なりに思い付く『素人ならではの味わい』の例。
(敬称略。あと、役柄名と演者名がごっちゃになってます。)
◆ (FJスズキ オフシャルな立場としては「一切観たことがない。」と公言している某アニメプロダクションの作品の)『お父さん』:糸井重里
→ 私が思う「キングオブ『棒読み』」。『素人ならではの味わい』の極み。
フツーならこのキャスティングはないだろうと思いがちだけど、あえてこそに踏み込んだってことは最早「大人の事情」とかいう小さな話ではなく、スタッフが真剣に選び抜いた結果なのでしょう。
確かに、あの味わいは他の方では出し得ない・・・と思います。
(あくまで、私は観たことありませんけど。)
◆ アニメ『じゃりン子チエ』の『テツ』:西川のりお
→ 劇場版の声優陣は「吉本芸人大集合」的なノリでした。
そんな中、主役の『チエ』:中山千夏 はまあ別格として、『テツ』:西川のりお に関しては “ ズバリ “ としか言いようがない。勢いはあるけど ほぼ「棒読み」。テツ のガサツなキャラにぴったりの絶妙な『味わい』を醸してます。
あらかじめどこまでが想定されていたのかは分かりませんが、このお二人がそのまま TV版にスライドしたのは至極順当な流れと言えましょう。
TV版は『小鉄』:永井一郎 といったベテランで脇を固めるなど、有名タレントを起用していないからといって決して “ デグレード “ ではなかったと認識しております。
◆ 海外ドラマ『アルフ』の『アルフ』:所ジョージ
→ 所さん の「棒読み」な台詞と、パペットの「本来無表情なのに ややオーバーアクションな身振り手振りで感情を演出してる感じ」とのマッチングが絶妙。
クセになる味わい。
◆ 海外ドラマ『ファミリータイズ』の『マイケル・J・フォックス』:宮川一朗太
→ 宮川一朗太氏 の役者としてのお仕事はほぼ拝見していないので、『素人ならではの味わい』の例に挙げてしまうのにはちょっと後ろめたさも感じますが。
こちらもやっぱり「棒読み」気味な台詞に独特の味わいが。
少なくとも、『マイケル・J・フォックス』:三ツ矢雄二 ・・・ではないと思う。
◆ 海外ドラマ『デスパレートな妻たち』の『スーザン』:萬田久子
→ ベテラン女優にオファーする時点で『素人ならではの味わい』を期待しているとは到底思えませんので、完全なるミスキャスト・・・かと思いきや。
正直、第一話を観た時点では「流石にこれはないだろ・・・。」と思いました。
『スーザン』のかなり感情の起伏の激しいキャラに対し、声の抑揚が全然追い付いていない。即ち「棒読み」。
が、なんだか回を重ねるうちにこれまたクセになる味わいが。
私的には途中ちょっと中だるみの時期もありましたが、最後まで面白くて割とよく観たシリーズです。
全 8シーズン、最初から最後まで『素人ならではの味わい』をキープ出来るのって、これはもしかしたら「ベテラン女優」にこそなせる技であったのか!?
これら作品に共通しているのは、『棒読み』と『慣れるとクセになる味わい』ですね。
単発の劇場オリジナル作品よりも、TV シリーズの方がじわじわ染みて来るという意味ではこの手の『声優でない有名人』の起用には適してるのかもしれません。
糸井重里氏 についても、やはり何度かリピートしているうちにじわじわ染みて来た気もしますし。
(あくまで観てませんけど。)
海外ドラマの吹き替えの場合など、同じ役者さんが他の作品で別の声が充てられているとヒジョ~に違和感を覚えてしまったりします。
中にはそういう心情を “ 忖度 “ してくれたと思しきキャスティングも見掛けますが、あまり過度にそこを求め過ぎてしまうのは「無い物ねだり」と自覚すべきかとも思っております。
(それでもやっぱり『マイケル・J・フォックス』は・・・。)
因みに。
「大人の事情」の弊害がモロに露呈したのが、海外アニメ『ザ・シンプソンズ』の劇場版でしょうね~。
その顛末は私がくどくど述べるのものアレなので、再び『Wikipedia』大先生に委ねます。
◆ Wikipedia 『ザ・シンプソンズ MOVIE』
私も当時、キャスティングが発表された時点で「流石にこれはないだろ・・・。」と思い、そのまま覆らなかったパターンです。
DVD に収録された『オリジナル声優版』で一応 溜飲を下げた次第。
我が家のどこかに『ペリーヌ物語』の劇場版を録画した DVD が埋もれているはずなので、発掘して『我が理想の女性』を再確認してみたいと思うのです。
■ FJスズキ ■