FJスズキ『勝手にタルボ祭り』(その3) | FLOATING JAM の 『続・浮いたり、沈んだり。』

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『その2』から つづく。)


私 FJスズキ 所有の『Tokai Talbo』のお話、3本目。
ここから先は『FLOATING JAM』とは特に関係なく、単に私の趣味のお話。
(ってゆーか、これまでも概ね私の趣味だけで語ってますけど。)


 ◆ PHOTON amitabha ver.1.0





さて。
この機体についてはどこから語ったらよいものか・・・。

ミュージシャン『平沢進』氏 所有の『FERNANDES PHOTON』のレプリカ “ 的 “ なモノです。

・・・って、『Tokai Talbo』の話じゃないじゃん。


まず、前提となる『FERNANDES PHOTON』について。
私の知る断片的な情報が主体となりますが、開発の経緯は概ね下記の通り。

・ ヒラサワ氏 が、氏のトレードマークと言って過言でない『Tokai Talbo』の老朽化に鑑み、『FERNANDES』社に後継機種製作を依頼。
・ 当初は新規デザインを検討するも、FERNANDES 担当者との協議の中で『Talbo』のクローン製作の方針に決定。
・ ヒラサワ氏 としては「別物なので音は違っても致し方なし」とのスタンスであったが、FERNANDES 技術者の拘りで音的にも “ より Talbo に近いもの “ を目指すこととなった。
・1994年から使用。


『PHOTON』の大まかなスペックは、オフシャルな情報や外観からの推察も含めて私の知る範囲で、

・ 木製中空ボディ(Talbo より厚い)/シルバー色塗装
・ ローズ指板/ボディ同色の塗装ネック&マシンヘッド
 (ヘッド形状は FERNANDES FRシリーズなどの一部カット…に見える)
・ FERNANDES Sustainer (フルバージョン)搭載
・ ピックアップ:F:Sustainer Driver/C/R:シングルコイル
 (Rはサスティナー駆動のためにハムバッカー必須だと思ってましたが、そうでもないらしい。ポールピースがデカいので SCHECTER MONSTER TONE か? 詳細は不明。)
・ トレモロユニット:FERNANDES FRT-8PRO(…に見える)

といったところ。
改修前の “ ホンモノ “ の画像がネット検索でウマく見付けられなかったので、以前私が画像加工で勝手に作成した「想像図」を。


(『PHOTON』ホンモノの “ 現仕様 “ については後述。)



で。
次は、私がこの『PHOTON』を再現しようと思った経緯。

・ 1996年、「三鷹楽器:TALBO Secret FACTORY」企画の『Tokai Talbo』リニューアル版(シルバーグレイ)を新品で購入。
「TALBO Secret FACTORY」は現在は「イケベ楽器」に移行・継続中。)

この時点では、フツーに『Talbo』が欲しかっただけでした。「Guitar magagine」の広告を見て、吉祥寺の 三鷹楽器 まで買いに出掛けた記憶があります。


色はシルバーグレイ(塗装)で、3シングルP.U. 仕様。1983年発売当時のオリジナルモデルとは一部構造が異なったりしておりますが、見た目的には ヒラサワ氏 がメインで使用していたモデルとほぼ同じ。『Talbo』としても一番 “ スタンダード “ なイメージあります。


その後ライブなどで ヒラサワ氏 が『PHOTON』に持ち換えたのは散々観ていたのですが、何故か 3~4年くらい経ってから ふと魔が差してしまった。
以前 当ブログ連載記事でねちねちと書き連ねた『 “ なんちゃって “ ジョン・レノン・モデル』の時と同様、

 「手持ちの『Talbo』を素材に、ここをこうして/あそこをああして・・・。」

みたいな見方しか出来なくなってしまいました。
逆に言うと数年間所有している間に “ オリジナル “ の『Talbo』への執着はあまり無くなっていたってことかと。

となると、ホンモノの『PHOTON』の仕様の情報が欲しい。
この当時は既にインターネットには繋がってはいましたが、実際のところ『PHOTON』の情報自体がそんなにネットに上がってはいなかっただろうと思います。
唯一とも言える情報源は『P-MODEL』のライブビデオでした。
とにかく ヒラサワ氏 の演奏する『PHOTON』の仕様が覗えるシーンを画像キャプチャーして、FERNANDES のカタログと見比べながら「あ~でもない/こ~でもない。」と、妄想が膨らみに膨らんで行ったという次第。

概ね仕様を特定(推定を含む)した時点で、本気で知り合いのショップに依頼して改造しようと思っておりました。
が、既に “ 再現不可 “ と思われる箇所もあり、それを踏まえて「理想状態:“ ホンモノ “ の想像図(前掲)」と「現実的な落としどころ:実際にオーダーしたい仕様」の画像を作成。発注の仕様書まで作成しました。

最初から “ 再現不可 “ な要素を含むことから目標が『PHOTON』そのものではなく “ 亜流 “ 確定でのスタートとなるため、サブネーム付きの『PHOTON amitabha』と命酩。
更に、後々のバージョンアップも視野に入れて『PHOTON amitabha ver.1.0』としました。


“ 再現不可 “ な最もやっかいなところは、

・ トレモロユニット:FERNANDES FRT-8PRO(…だと思う)

でした。
正確なところはよく分かってませんが、『Floyd Rose』社 のライセンスを受けた FERNANDES製の『FRT-8PRO』というモデル(のはず)。通常よく見掛ける Floyd Rose タイプと違い弦のボールエンドを切らずにロック出来て、テール側に大きく跳ね上がったファインチューナー部のプレートが無いコンパクトなモデルです。
これが、私が改造を思い立った時点で FERNANDES のカタログから消えていた!
(パーツも/搭載モデルも。)
もしかしたらショップのつてでどうにか入手出来た可能性もなきにしもあらずですが、早々に諦めてしまいました。

逆に現在だと、むしろネットオークションでパーツや搭載機種(部品取り用)が入手出来る可能性が高まっております。(実際に出品されている実績もありますし。)
ただ、もしパーツが入手出来たとして、アンカーの埋め込みなど 実際に『Talbo』のボディに装着可能かどうかは不明ですけど。(『Talbo』のカスタムモデルには FR 仕様もありますが、この個体が FR のアンカーのピッチに対応しているかどうかは未確認なので。(アンカー用の “ 座 “ の部分の幅が足りるかどうか分からない。))


その他の重要なポイントは、ネック交換(ヘッド形状特注)と/サスティナー搭載。
これらは とりあえず “ 費用さえ掛ければ “ 克服出来るであろう内容。(← 見積り金額次第。)
ただ、 “ 自分でやってしまう “ という可能も見据えて仕様を一段妥協、ネックと/サスティナー を既存機種から移植する手法に転向してそれを『PHOTON amitabha ver.1.0』と定義いたしました。

そこで部品取りにちょうどよいと思われれる機種が『FERNANDES FR-65S』 ↓ でした。


搭載のサスティナーはフルバージョンではなく、ハーモニクス・モードを省いた『Sustainer Lite』。
トレモロユニットは「Wilkinson VS100N」なので、元の『Talbo』の 2点支持エッジタイプからの換装は可能・・・と思われる。
とはいえ、この機種もこの時点では既にカタログ落ちしてました。店頭在庫品か中古を探すしかない。
これまた当時はまだ ネットオークション も念頭になかったので、ピンポイントでこの機種を見付けるのは容易ではないと思っておりました。(辛うじて可能性があるとしたら雑誌の「売ります/買います」コーナーとか・・・。)

んが!
ラッキーなことに、チェーン展開している地元の楽器店の WEBページで、中古楽器リストの中に『FR-65S』を発見!!
ちょっと惜しいのはボディカラーが「シルバー」でなはく「メタリック・ブラック」だったこと。
でも、これを逃したらもう次は無いかも・・・と思って隣街まで買いに行きました。

最終的に、仕様をもう一段妥協して(ヘッド形状はそのまま流用することにして)実際に製作したのが冒頭の機体で、2004年1月8日に改修完了~現在に至ります。



・・・と、ここまでが “ 前置き “ ですが、長~くなったので機体の具体的なお話は『次回』に分割します。



因みに・・・。
(まだ “ 前置き “ のつづき。)

実は私、ホンモノの『PHOTON』については大いに誤解をしておりました。
『PHOTON』登場からかなり後になってファンクラブの会報で「木製ボディ」だと知るまでは、てっきり「アルミ製ボディ」だと思い込んでました。
前述の 開発時の “ より Talbo に近いもの “ をというエピソードから、勝手にそう思い込んでいた節があります。
タイミング的にも、1996年に TALBO Secret FACTORY がリニューアル版をリリースする布石となったのが この『PHOTON』に違いないと勝手に思ってました。

恐らく、トップとバックを別々にアルミブロックから NC加工で削り出して溶接しているはず。(1983年モデルは鋳造 2ピースの溶接。)
リニューアル版ではここをブレークスルーした結果「ワンピース鋳造」に辿り着いたのではないか。

・・・みたいな妄想で勝手に盛り上がっておりました。
実際にはそれぞれのモデルの開発の流れには直接的な因果関係は無い模様。

1996年 の P-MODEL 楽曲『Rocket Shoot』(だったと思います)の エンハンスドCD に収録の動画で、ヒラサワ氏 が『PHOTON』について「ボディが Talbo より厚い。」と語っているシーンがありました。
その辺りも製造上の都合だろうとは思ったものの、まさか「木製」だとは思わなかった。

もしその時点でホンモノが「木製」だと知っていたら、恐らくアルミ製の『Talbo』は温存して こちら ↓ をリペイントするところから始めていた可能性が高い気がします。

木製ボディの Talbo シェイプモデル。(光量が全く足りてませんが、シースルーブルー塗装/クリアーブルーのピックガードです。)
型番は『TG-856』。



この系統の機体、以前ネットオークションでは『Talbo Woody』と紹介されているのを度々見掛けたことがありますが、それは間違い。
『Talbo Woody I / II 』 ↓ のボディシェイプは全くの別物です。



更に因みに。
現在の『PHOTON』の ホンモノ の方は、『光子』( ← “ みつこ “ ではない )に改修されてます。
こちら ↓ のページの下の方で画像が確認出来ます。

 ◆ 平沢進×核P-MIDEL HYBRID PHONON 突撃リポート!

塗装は明るめのシルバーにリペイント済み。アッセンブリーはホワイトで統一されて、『GK-3ピックアップ』が追加されてます。(GK-3 も白い!)
センター P.U. はダミーで、セレクターは F/F+R/R の接続。(『その2』参照。)



ということで、『PHOTON amitabha ver.1.0』のお話は次回につづきます。


『その4』に つづく。)




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