FJスズキ『勝手にタルボ祭り』(その2) | FLOATING JAM の 『続・浮いたり、沈んだり。』

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『その1』から つづく。)


私 FJスズキ 所有の『Tokai Talbo』のお話、2本目。
『FLOATING JAM』(デュオの方)でサブで使用している機体です。


 ◆ Tokai Talbo ICE-9《擬》





正規の名称ではございません。
ミュージシャン『平沢進』氏 所有の『ICE-9』という Talbo カスタムモデルのレプリカ的な機体。
2008年に中古で購入。

これまた分かり難くてアレですが。
『その1』の機体は「クロームメッキボディ+ミラーピックガード」ですが、こちらは「クロームメッキ+白ピックガード(3プライ)」です。


当機体は『ICE-9』の完全再現ではありません。
従って、当初は過去連載記事の「ジョン・レノン・モデル」の件になぞらえて『なんちゃって ICE-9』にしようかな~と思ったのですが・・・。
そこはそれ。
前オーナーがこの機体制作に注ぎ込んだであろう “ 情熱 “ と “ 金額 “ に敬意を表して『ICE-9《擬》(ぎ)』という表現にいたしました。



ようやくここから前置きです。
既に過去の話となりつつもありますが、『ICE-9』にまつわるトピックをひとつ。

~~~~~

昨年(2020年)12月に、「イケベ楽器」から『ICE-9』レプリカの限定販売が発表されました。

 ● こちらイケベ新製品情報局
  2020年12月7日記事:【TOKAI】TALBO ICE-9 完全限定発売決定!

 ● TOKAI TALBO ICE-9 完全限定販売!
  (現在は既に販売終了)

・・・なんですが。
一応 “ ヒラサワ・ファン “ を自認する私ではございますが、不覚にも 本件は全くのノーマークでした。明けて 今年(2021年)の1月下旬に、相方 FJ KOBA からのメールで知った次第。

ちょっと “ 出遅れた “ 感の焦りもあって すぐにカートに入れてしまおうと思ったのですが、すんでのところで踏み止まりました。
何故なら、

 ~ “ うっかり衝動買い “ で済む価格ではない!(税込み 294,800円)

そしてもうひとつ決定的だったのは・・・。

 ~ 既に 1本 持ってるじゃん!!
   ( ↑ 今回の『ICE-9《擬》』の事。)

というお話。


とはいうものの。
『ICE-9《擬》』は、どちらかというと『ICE-9』の初期仕様・・・に近いモノ。
一方、イケベ販売の機体はどちらかというと現行仕様・・・に近いモノ。

 「・・・ってことは、両方持ってても いいかも。」

 「いやいや。
  そうなると より “ 現行 “ の『ICE-9』に近付けたくなるから[+165,000円(税込み)]の出費が必要になっちゃうし。」
   (詳細は後述。)

 「やっぱ、あり得ないな・・・。」

と、脳内でぐるぐる巡りながら 2月下旬の予約終了日まで モヤモヤ/ヒヤヒヤ しながら過ごしました。


ヒラサワ氏 と『ICE-9』の馴れ初め(?)は前述のリリース記事内にあるのでそちらをご参照願います。
恐らく、『その1』で紹介したクロームメッキ仕様のボディと同時期に製作されたモノのひとつが きっかけということかと思います。(元はハムバッカーが載っていたらしいので、もしかしたら “ アレ “ なのか・・・?)

前回の繰り返しになりますが、「クロームメッキ仕様」は製造が大変なので当時店員さんが「もうやらない(生産しない)と思う。」とおっしゃていたわけなのですが、今回 再生産に際して技術的なブレークスルーがあったのかどうか。
『Talbo』のフィニッシュについては次回(← あれば)書いてみようかと思います。

~~~~~


ようやく本題。
『Tokai Talbo ICE-9 《擬》』の仕様について。

前オーナーから購入した時点の仕様は、

 ・ ボディ:アルミ合金鋳造(AC-4B)/クロームメッキ
 ・ ネック:メイプル
 ・ 指板:エボニー・22F
 ・ ピックアップ: F: CD-100F(Sustainer Driver)/C: GOTOH GS-1/R:Seymour Duncan JB-Jr
 ・ コントロール:1V/1Sustainer V/5way-SW/Sustainer ON/OFF/Sustainer Mode Selector
 ・ 糸巻:クルーソンタイプ
 ・ブリッジ:Wilkinson VS100N/Graphtech String Saver Saddle

前オーナーが市販機をベースに「TALBO Secret FACTORY」にカスタムを依頼したモノです。
本家の『ICE-9』自体がマイナーチェンジしているので、結果的に「初期仕様」の再現となっています。
前オーナーがショップを通じて ヒラサワ氏 ご本人の許諾を得て『ICE-9』と同仕様への改造をオーダーしたとのこと。実際、ヒラサワ氏 は「ICE-9 に秘密はない。」と公言されていて、現仕様の細かい仕様に言及していたりもします。


ピックアップは、フロントが「Sustainer Driver」/リアがシングルサイズのハムバッカー『Seymour Duncan JB-Jr』。

現状 メーカーの仕様がどうなってるか分かりませんが、少なくとも当時は「サスティナーにはハムバッカー(リア側)が必須」だったはずです。ヒラサワ氏 があえてシングルサイズに収めたのはやっぱりシングルの “ 見た目 “ 重視だった模様。

センターは通常のシングルコイル P.U. ですが、ホンモノの現行『ICE-9』では未接続(ダミー)とのこと。
近年(ここ 10年ほど?)「60年代サーフサウンド」にご執心の ヒラサワ氏 が、フロント+リア ミックスの音が欲しくて他の Talboタイプ でも同様の配線にしているそうです。(・・・ってことは、セレクタは 3way-SW だと思います。)
私も昔 フロント+リア ミックスが欲しくて ストラト を 3way-SW に戻して/センターを独立のトグルSWでパラレル接続 ON/OFF可 にしたことありました。その時は「ビートルズっぽい音(← あくまで私の見解)」が欲しかったのと、それでも F+C/C+R のハーフトーンが捨て切れなかったので。
ヒラサワ氏 は、F+R を「鼻をつまんだような音」と表現されてます。(確か『モズライト』を例に挙げていたと思います。)
因みに私は F+R を「ギョロッとした音」と呼んでいます。
(更に因みに F+C/C+R を「アルマイトみたいな音」と呼んでいますが、理由は割愛します。)


初期『ICE-9』の大きな特徴のひとつ。
指板が「エボニー」です。ポジションマークは一般的なドットとは違って、6弦寄りの小さなドット。

私は 指板は「選べるなら “ メイプル “ 派」な以外は特に拘りはないのですが、確かにエボニーは手持ちのローズなどと比べると密度感/スベスベ感が全く違う。触ってて気持ち良い。その “ せっかくのエボニー “ を殺さないための小ドット・・・ってことなのかどうかは不明ですが。
それにしても。
前オーナー、このエボニー指板ネック確保のために 新品の限定仕様 Talbo を 1本潰しているらしい。
流石にこれは いち一般ユーザーのリクエストで作ってもらえるモノではなさそうなので、結果 “ 新品から部品取りして持ち込み “ みたいな状況だったのではなかろうかと推察いたします。
具体的にはよく覚えてませんが、当時確かにこのエボニー指板の Talbo 限定モデルがありました。(東海楽器 50周年モデルは指板にプレートが埋まってるはずなので、それとは違う “ フツーの 限定(?) ” モデルってことだったと思います。)
その執念には頭が下がります。


前オーナーのオーダーの中で、ホンモノとの決定的な違いはオリジナルにはない『GK-3ピックアップ』の搭載。
その分コントロール類が一気に増えるので、実際のところ ホンモノとは外観の趣が大分異なっております。

『Susutainer』と『GK-3』の搭載は、TALBO Secret FACTORY のお家芸みたいなところがあります。
ボディがアルミ合金で中空の Talbo は “ 鳴り過ぎ “ を抑えるために内部にボディ形状に合わせたウレタンスポンジが詰められています。(← 96年以降モデルの場合。83年モデルでは発泡ウレタンが注入されてます。)
このスポンジを切り取ってしまえば、Susutainer でも GK-3 でも回路基板は詰め放題。(その分 音質には影響あるはずですけど。)
一般的なソリッドギターなどに比べたら かな~り自由度が高いのです。
前オーナーもギターシンセ使用を視野に入れていたってことでしょうが、おかげで私自身のギターシンセ・デビューのハードルが下がったところもありました。



そして、私が入手後に手を加えたところ。
実際は、TALBO Secret FACTORY に持ち込んで調整込みで追加改造をお願いたしました。

 ・ 糸巻:GOTOH マグナムロック に換装

『その1』でマグナムロック(ポストに弦を巻かなくてよいロックタイプペグ)の便利さを知ってしまったので。細かいことを言えばツマミをオーバルタイプにして外観をオリジナルに近付けるという選択肢もありましたが、実用性(オーバルよりチューニングの微調整がし易い)を重視してこちらの六角タイプにしました。

元のペグのビス穴は自分で竹ひごを突っ込んで埋めております。


 ・ サスティナースルーバイパスSW 追加

いざという時(電池切れなどの場合)に、サスティナーのアクティブ回路をバイパスしてリア P.U. の生音をパッシブ状態でダイレクトに出力させる切り替えスイッチ。
TALBO Secret FACTORY のオフシャルな呼び名が『 “ スルー “ バイパスSW』ってなってるのでそれに従いましたが、これってよくエフェクターとかにもある『 “ トゥルー “ バイパスSW』ってことかと。(「スルー」と「バイパス」だと意味的に被ってる気がするので。)
外観的にはミニトグルスイッチを 1基追加。


 ・ 006P電池ボックス増設
ボディ裏側に、9V 006P 電池ボックス増設。
元の仕様では、電池はトレモロ・スプリング用のキャビティ内に収めてあります。電池交換の度にバックパネルのビス(6本)を外すのが面倒なので。あと、電池のためにスプリングの掛け方が限定されてしまうってのも なんだか気持ち悪いし。


この『ICE-9《擬》』は “ サブ “ という位置付けですが、実際には単に出場回数が少ないというだけで ホントはステージの演出上の都合によって(・・・というほど大袈裟なものではありませんが)『その1』の機体と使い分けております。
あと、トレモロをフローティングさせていると万一弦が切れたら致命的なので、すぐに持ち替え可能な様にお互いをバックアップ用として現場に持ち込んだりしております。
(その場合 MONO の2本挿し(?)ケースで運びますが、さすがに Talbo × 2本 だと肩が抜けそうになるので、バックアップは ちょっと軽くて GK-3 搭載の別の機体の場合も多いですけど・・・。)




記事途中の[+165,000円(税込み)]のところの具体的なお話。

現行の『ICE-9』は、マイナーチェンジでネックが交換されております。
パッと見の外観は イケベ楽器 のレプリカと同じ 一般的なドットのポジションマークになってますが、実は青色 LED で発光する仕様です。
エボニー指板と違って、こっちは イケベ楽器 で 『TALBO専用LED NECK』として限定販売されています。
リンク先のムービーにもありますが、「消灯/発光/点滅/フラッシャー」の切り替えとスピード調整が可能。コントロールに関しては詳細は存じませんが、以前 TALBO Secret FACTORY の同ネック組み込み済みモデルの場合は、大胆にもカッタウェイのホーンの正面(Talbo ロゴのど真ん中!)に V/T と同じツマミが 1基追加されてました。(SW付きポット or ロータリーSW でしょうか?)
ヒラサワ氏 はコントロールを裏側の見えない位置に配置しているとのことなので(← ご本人がコメントされてます)、もしかしたらこれもショップに依頼すれば同じ仕様にしてもらえるかも知れません。

・・・という尋常でない出費が容易に想像出来てしまったので、” 2本目 “ 購入を思い留まったのでした。


さすがに LEDネック は断念しましたが、センター P.U. を殺す仕様は自分でもやれそう。
セレクターを 3way-SW に交換して F/F+R/R の接続にすればよいので。
その場合、やっぱり F+C/C+R のハーフトーンも捨て難いので、ミニトグルSW 追加でパラレル接続って感じでしょうか。
この際、SW がもう 1基増えたところで特に違和感はないので。

気が向いたらやってみます。







『その3』に つづく。)



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