心は誰にも縛れないのだ。 | FLOATING JAM の 『続・浮いたり、沈んだり。』

FLOATING JAM の 『続・浮いたり、沈んだり。』

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  FLOATING JAM & FJスズキ の 『日常と非日常』



先日、某楽器店にギターのストラップを買いに行った時のお話。
(私自身は静岡市内在住ですが、楽器店の所在地は “ 特定せず “ ということにしておきたいと思います。)


その 1ヶ月くらい前に件の楽器店に立ち寄った際、私好みのシルバーの革製のストラップを発見。

その時は たまたまライブを観に行く直前で荷物になるのが嫌だったので、一旦 買わずにスルー。
店頭には同じモノが 2本あったし、そもそも『私好み』≒『誰も買わない』という自覚もあるので 近日中に買いに来れば問題なしと判断。

結果的に 1ヶ月近くも空いてしまったので多少の不安もありましたが、案の定、2本共 しっかり店頭に残っておりました。



入店した際、小物の品出しをしていた若い女性店員さんに「いらっしゃいませ!」と声を掛けられる。
このお店、お客への積極的な声掛けを推進してるものと思われ、ちょっとでも立ち止まってギターとか眺めていると かなりの頻度で

 「アコースティックギター、お探しですか?」

などと声を掛けられるのでした。
申し訳ないことに 私はほぼ冷やかし客なので、

 「あ、いえ、特に・・・。」

とお茶を濁すと、店員さんはそこで一旦退いてくれるというのがお決まりのパターン。
従って、完全に冷やかしの場合は出来るだけ立ち止まらない様に(声を掛けられない様に)店内を さらりと 一周して出て来ることにしております。


この日は明確な目的があったので、ストラップコーナーへ直行。
「あぁ、あったあった。」と安堵しながらシルバーのストラップを手に取って、改めて値札を確認。

ふと気付くと、すぐ隣のフックに同じメーカーの同じ作りのストラップの色違いバージョンが。
ぬぁんと、『ホログラム』じゃございませんか!

 「あ~~。そっちもアリかも・・・。」


大体、私が「これだっ!」と思ったストラップは他人からは「えっ!それ!?」という反応で迎えられることが多いのですが、そこはそれ。
ストラップも楽器もしくは衣装の一部と考えれば、ちゃんと私なりの主張を盛り込みたいじゃございませんか。

かと言って、「主張すればよい」という話でもなく。
さすがにホログラムのストラップがステージ上で 七色に光ってたら、オーディエンスの注意がそっちばかりに向いてしまうのではないか?
いや、でも。
自宅で使ってる分には何ら問題ないわけだし・・・。

と、シルバーのストラップを手にしたまま、しばし頭の中を葛藤が渦巻く。



すると。
左後方から、

 「そのシルバーのストラップ、かっこいいですよね!」

という若い女性の声が。

さっき、店内を 3人組の女子高生がバンドの話しとかしながらウロウロしてたので、てっきりその娘たちが会話をしているものと思い、「ちょっとジャマだったかな?」と やや左後ろを振り返りつつ右に一歩移動。
ところが、そこに立っていたのは入店時に声を掛けてきた若い女性店員さんで、改めて その言葉が私に向けられたものだったと気付く。


瞬間、私の頭をよぎったのは、

 「あぁ。それ、やっちゃダメなパターンのヤツや・・・。」

という、うっすらとした彼女への嫌悪感。


私はこれまで あまりきっちりとした形での接客経験はないため「接客のイロハ」というものは特に身に付いてはおりませんが、逆に半世紀近く『お客』としての経験は積んでいるので それなりに皮膚感覚的なところで察するモノはあるという自負はございます。

その意欲は買いますが、どうやら 彼女には『 “ 客 “ との距離感』というものがまだまだ分かっていない模様。
先ほどの一言で、「越えてはならない一線」をあっさり跨いでこっちに踏み込んで来てしまった。


さすがに完全無視も大人気ないかと思い、

 「・・・ですよね。」

と、私。

 「何色のギターなんですか~?」

と更に踏み込んで来る女性店員。


 「例え私のギターが何色であったとしても、アナタにコーディネートを委ねる気はさらさらない!」

という言葉をぐっと呑み込んだ上で、私なりの最大限のオトナな対応として “ あえて “ 2拍の間を置いた後

 「・・・ぅ~~ん。・・・いろいろ。」

と、分かり易い『退散要請オーラ』を発したつもりでしたが。


 「へ~、いろいろ持ってるんですね。
  ストラップは滑らせたい方ですか? ガッチリ固定したい方ですか?」

と、全くめげない女性店員。

 「・・・ぅ~~ん。・・・まあ、いろいろ。」

と、さらに “ オーラ “ を発する私。
ようやくここで

 「じゃあ、ゆっくり悩んでくださいね!!」

と、屈託のない一言を浴びせて立ち去る女性店員。



私、これまでの人生で あえてこの表現の使用を意識的に避けてまいりましたが、

 ~ 心が折れる

とは、こういうことなのか・・・。



シルバーのストラップを、一旦ラックに戻す。
そのままレジに持って行ってしまったら、あたかも私がその女性店員にストラップ選択のセンスを褒められて調子に乗って、その勢いで およそ『誰も買わなそう』なストラップを買ってしまった「浮かれた おっさん」にしか見えないのではないか。
もう 1ヶ月近くも前から心に決めていたにもかかわらず・・・、だ。

さらに、『ホログラム』に至っては何をか言わんや。「 “ 超 “ 浮かれた おっさん」確定。
この時点で完全に選択肢からは消えた。



先ほどとは違ったベクトルの葛藤を頭の中に抱えながら、店内を一周。
とぼとぼと ストラップコーナに戻って来てしまった私の目に、救世主が飛び込んで来る。


同じメーカーの同じ作りのストラップの さらに色違い、『ガンメタル』があった!!



『ガンメタル』だったら、正に『シルバー』を一段 “ トーンダウン “ させて「浮かれた感」を排除出来るではないか!!


そうして無邪気な女性店員の KY な攻撃を、強靭なオトナの心で難なく去なした私。
『ガンメタル』のストラップを手にして、勝ち誇った気分で意気揚揚とレジに向かうのであった。



・・・ってゆーか、むしろ 負けたのか?






以下、余談です。



知り合いの中にも 1人は確実にいらっしゃいますが・・・。


これまで、

 ~ 『フェンダー』のストラップを別のメーカーのギターに使っている人は、ストラップに拘りのない人。

だと思っておりました。


が。
よくよく考えてみたら、ギター本体と ストラップ/弦/ピック/その他 周辺の小物類のメーカーが一致していないのなんて極々当たり前。
むしろ完全にメーカーを統一してる人の方が希かと思います。


たまたま『フェンダー』のストラップが見た目に分かり易いだけであって、私自身 ギターとストラップのメーカーが一致しているものは特に拘っている 2本くらいしかありませんし。

「ストラップ・メーカー」としての『フェンダー』社 を高く評価し、それを積極的に使う人がいても全くおかしくない。



・・・と、あまり本気では思っておりませんけど。





今後、FJスズキ のストラップを観て

 「拘った結果が “ それ “ なのね・・・。」

と、密かに思っていただけたら 幸いです。


(あくまで「密かに」でお願いいたします。)





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