福岡、一泊二日のつづき。
何分割になるか不明なまま、とりあえず 第2回目。
初日の 1月24日(土)に関しての『覚え書き』。
(とりあえず この日の前半部分。)
朝 6:42 の 新幹線ひかり で静岡発。
名古屋で のぞみ に乗り換えて、10:56 博多着。
ちょっと早い昼ご飯。
第1回記事 の通り、例えば
~ ○○に行ったら、絶対に名物の△△を食べなきゃね!
みたいな強迫観念を振り払う狙いもあって、あえて『旅』ではなく『移動』という位置付け。
従って『観光』的要素は求めてないので、博多駅構内もしくは駅周辺で軽~く済ませてしまおう。
まあ、駅周辺なら否が応でも名物的なものには自然とぶつかるだろうし。
と思いつつも、博多駅到着直前にふと頭に浮かんだので試しにスマホで検索してみる。
「やよい軒 博多」
博多駅から徒歩 5分くらいのところに あった!
じゃあ、行っちゃう。


特に全メニュー制覇とか目指してるわけではありませんが まだまだ新鮮な気分で行けるので、これはこれで ひとつの『福岡の想ひ出』に相違ないのでございます。
そういえば、今更ながら『博多』の定義がよく分かってなかった。
新幹線は「福岡駅」ではなく「博多駅」だけど、「博多市」ではなく「福岡市」だし。
『福岡(市)』界隈が『博多』と呼ばれている認識だけは ほんのりと持ち合わせておりましたけども・・・。
Wikipedia で確認して、その “ ほんのり “ の認識がそんなに間違ってなかったってことが確認出来て、ちょっと ほっとしました。
(かなり大雑把でスミマセン。)
博多駅から空港線で大濠(おおほり)公園駅まで。
大濠公園のでっかい池(?)の縁伝いに歩いて 10分くらい。
● 福岡市美術館 『成田亨 美術/特撮/怪獣』

丘の上に立体的に展開した建物。

こっちは別の『やよい』ちゃん。

割とモダンなイメージの外観ながら、館内は意外にレトロな雰囲気も。
使い込まれて張り革がいい味出してるロビーの椅子とか、随所に置かれた備品のゴミ箱とか。
(写真はありませんが。)
そういえば、今回の企画展は各所で配布されたチラシが全 6種類の絵柄ありとのこと。


受付では在庫があるもののみ配布中。人気の『ウルトラマン』や『ピグモン』の柄は すでに配布分は終了で閲覧用のみ。
各地の美術館などのチラシコーナーにも置かれたものと思いますが、どういう配分になってたのかは知りません。
さらに。
入場者のみに配布されるシークレット柄の 2種。

(中央はチケット半券。)
巡回展 全 3会場で全種類コンプリートなんて人もいるんだろうな~。
私はコレクターではありませんが、もらえるものはもらっておこう。
展示内容に関しては、いろいろ細か~く記述しておきたい気持ちと さらりと済ませたい気持ちのせめぎ合い。
以下、ノープランで思い付くままに。
私の中での『成田享(なりたとおる)』氏 に対する認識の度合いをさらりと。
・20数年前に某月刊誌に掲載されていた連載コラムでそのお名前を拝見。
(但し、あまり深く読んだ記憶はなし。)
・「『ウルトラマン』(など)をデザインした人」というところは何となく理解。
・上記連載に毎回添えられていたスケッチ画を観て、「彫刻家だけに、平面による表現の中でも “ 立体 “ としての面構成に説得力がある。」と感じる。
といった感じ。
この「『ウルトラマン』(など)」の “ など “ がどの範囲に及ぶのかは かな~りぼんやりしておりました。
その点に関して、改めて今回の展示で分かったのが、
1. 「(初代)ウルトラマン」の『ウルトラマン』本人/全怪獣/主要メカ/セットなど
2. 「ウルトラセブン」の『ウルトラセブン』本人/全星人/主要メカ/セットなど
3. その他特撮作品のヒーローおよび怪人/メカなど
4. 国内外のモンスターに関わる仕事 (特に『鬼』)
例に依って私なりの大雑把な認識なので厳密には正しくないかも知れませんが、展示の括りもおおよそこういった流れでした。
私にとって割と重要なのが「1.」の “ 全怪獣 “ ってところでした。
恐らく現存するデザインスケッチ総動員だったと思われますが、「全部やってたのか!」という驚きも少なからずありましたし。
『ウルトラマン』も『ウルトラセブン』も、ヒーロー本人のデザインに関しては初稿から最終(に近い)稿までの間に かなり大きく変化してます。TV番組のコンセプト根幹に関わるところでもあるわけだし、色々な人々の思惑(横槍とかオトナの事情なども含む)が入り乱れての変遷ということでしょう。
故にスケッチとしての「決定稿」が存在せず、そこから先は立体でのまとめに移行してるらしい。
一方、怪獣/星人群に関しては かなり “ 自由 “ な印象。
もちろん、都度ストーリー上の設定に沿ったデザインであることは外せないところでありましょうが、「活きてる!」って感じです。
そこのところの関係、「『ガンダム』と『ザク』的な・・・」と言えばお分かりいただけるのではないかと。(違うか?)
黒の線画に水彩による彩色で 一見さらっと描かれたスケッチに見えつつも、怪獣の “ 質感 “ が手に取るように分かるのがスゴい。
ウロコっぽいもの/岩石っぽいもの/毛っぽいもの などなど。
恐らく、着ぐるみを造るスタッフにも説明無しで充分に伝わる気がする。
(「着ぐるみ」としての機能面もデザイン段階で充分考慮されているものと思われますし。)
尤も、当時の状況として 週 1本の放映ペースやら/予算の都合/素材の都合など考え合わせると、必ずしも 成田氏 の意図通りに仕上がり切れないケースもあったのではないかと想像いたします。
私の場合は『ウルトラマン』放映開始年の生まれなので当然ながら再放送でしか観てない上に、そんなに深い訳でもなし。
ただその後、怪獣図鑑的なもので見慣れた怪獣/星人も多いので、見ればそれなりに名前は浮かぶくらいの立場。
実際の着ぐるみ造形がスケッチと比べてどこがどう違うとかいったディテイルとかはほとんど分かりません。
この企画展では、実際に撮影に使われたプロップの展示は極一部のヒーローのマスク数点に限られてます。
意図するところが「怪獣展」ではなく、あくまで「成田享展」だからってことでしょうし。
別途、スケッチと着ぐるみ造形を見比べてみたら それはそれで面白いかも。
そんな中、最もツボだったのが 成田氏 本人によるアイデアのネタバラしコーナー。
過去の展覧会あるいは画集など用にまとめたものだろうと思いますが、怪獣の元ネタとなった動物図鑑などの写真と完成スケッチを併せて展示。
よくよく見ると、例えば元ネタのライオンの写真とそれを引用した怪獣の「ライオン要素」の部分がアングル的にも全く「まんまじゃん!(笑)」みたいな感じだったり。
最も衝撃的だったのは『バルンガ』の元ネタでしたけど(笑)。
(正に「笑」って感じでしたが、ネタバレ防止で自粛。)
手品のタネ明かし的な「な~んだ。」とか「へ~~。」とか、ちょっとしたスカッと感がありました。
確かに、デザイン以外でも何らかの表現に於いて、よほどの突然変異的天才でもない限り 全く新しいものを “ 発明 “ し続けるってのは容易なことではないでしょうし。
こうした元ネタに常にアンテナ張っておくってのが重要ってことなんでしょうね~。
よく言われる「引き出しを増やす」ってヤツですか。
ただ、そのネタを「引用するセンス」ってのが やっぱり『才能』なのかな~、とも思いますけど。
ここのところは 音楽にも通ずる気が・・・。
あと、そうした映像作品とは無関係の そもそもの「彫刻家」としての作品や絵画作品も けっこうツボにはまりました。
妙~にメカニカルだったり。
思った以上の展示ボリュームだったので、この日の次の予定に向けた刻限が迫って来てしまった。
展示後半(先の「3.」「4.」に相当する部分)は さらっと通過。
翌日に持ち越し。
もう一つ。
他の作品とはちょっと違ったベクトルで印象に残った作品。
『ウルトラマンの墓』という立体作品で、ウルトラマン のマスクをあしらった墓石の造形作品。
その横に添えられた『鎮魂歌』という墓碑銘の如き一遍の詩(?)がありました。
あえて “ 引用 “ させていただくと・・・。
~~~~~
『鎮魂歌』
星から来た勇者
地球人を救った勇者
永遠(とこしえ)であれ
君を利用し
金儲けをたくらむ地球人たちの為に
角をつけたり
髭をつけたり
乳房を出したりしてはいけない
スーツを着たり
和服を着たり
星空に向かってラーメンをかゝげてはいけない
経済と技術に溺れて了った地球人は
叡智と勇気を失って
いま
もだえ苦しんでいる
しかし
遠からず必ず不変の叡智を取り戻すだろう
君は星空の彼方から見とどけてくれたまえ
永遠(とこしえ)の偶像よ
~~~~~
(文中( )内は、図録掲載原文ではルビとして振られているものを筆者改変。)
成田氏 が 円谷プロ と著作権で揉めたらしいというお話は、以前 Wikipedia で知りました。
が、単に権利の主張というよりもデザインの再利用に関するところでの不信感などが背景にあったのではないかという側面も この詩から伺えなくもない。
成田氏 は そもそも、ウルトラマン の『カラータイマー』にも納得してなかったとのことなので、「角」とか「髭」とか「乳房」とか、何をか言わんやって ところでしょう、きっと。
実は、あえてこの詩を引用させていただいたのには それなりの理由がございまして。
JR博多駅に戻ったところ、駅のコンコースで見掛けたコレ ↓。

駅構内の商業施設のバーゲンの広告。
「皮肉にもこのタイミングなのか!?」
とも思いましたが、改めて調べてみると少なくとも 2014年3月の施設リニューアル時から『ウルトラの母』を中心とした ウルトラマン 関連キャラを使って大々的に広告キャンペーンを展開している模様。
まあ、権利的なところでは 円谷プロ の裁量次第なので部外者が とやかく言う筋合いのお話では全くございません。
ただ・・・。
この『鎮魂歌』を読んでしまった後だと、どうにも「やっちまった」感が拭えない。
果たして、地球人は “ 不変の叡智 “ を取り戻せるのか!?
ということで 1/24(土)の後半、『黒色すみれ』さん ライブ観覧のお話につづく。
(予定)
■ FJスズキ ■