クラッシュした共通テスト(後編) | 双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子の子供を2人ともアイビーリーグに入学させた母親であるフレックスラーニングのシニアカウンセラーがニューヨーク近郊から発信しています。フレックスラーニングはアメリカ大学進学相談、オンライン家庭教師のプロです。

フォローしてね!

 

図書館から本を返せ、というメールをもらって久しぶりに図書館に行って来ました。

 

でも、図書館には入れない。返却本を返却ボックスにドロップするだけ。本を借りたいのなら、予めオンラインで注文をして、着いたらその旨テキストする。司書がドア越しに図書カードを確認したら、注文していた本をドアを開けて置く。それを離れた位置から確認して、ピックアップするというシステム。なるほど。この前出かけたワインショップと同じやり方!

 

 

(図書館の入り口にある本の受け取り方・返却の仕方の説明)

 

世の中、やり方が随分変わりました。実際の人間に触れることは無くなった不思議な世界になりつつあります。SFみたい。

 

人間、環境に順応して行く能力を持ち合わせていますけど、慣れるには時間がかかります。

 

で、アメリカの共通テストであるAPテストは、システム対応に時間をかけなかった、というかかけられなかったが為に、受験生、父兄から突き上げどころか、訴訟まで起こされちゃった、というお話をしていました。

 

その続き。

 

500億ドルの訴訟を受けてのカレッジ・ボード(APテストを提供している業者)側の言い分がちょっと可笑しいです。訴えられているポイントから完璧にズレてる。

 

IB(国際バカロレア)は、今年はテストをしない、と言って受験生のチャンスを潰したけれど、ウチは受験生にアンケートを取ったらほとんどが、テストをして欲しいというからしたのに、みんな酷いじゃん。責めるなんて。ヒーローのはずなのに。あんなに短い時間で、準備してテストを受けさせてあげたのに、恩を仇で返された感じ?

 

こんな言い方はしてませんけど、内容はこんな感じです。分かっていただけました?ポイントは、システムの不具合できちんとテストを受けることが出来なかった受験生をどう対処するのか、なんですけどね。誰も、グズグズ、言い訳を聞いている訳じゃない。

 

訴訟を切り抜ける為にカレッジ・ボードが出した救済策は、追試を受けさせること。そして回答をうまくアップロード出来なかった受験生はメールで提出することが出来ること。メールでの提出なんて、5月の本番の時もすべき処置だったような気がするんですけど。まあ、そこは後から言えること?

 

APテストを受けた受験生たちが挙げたオンライン方式での問題をまとめてみました。

 

*手書きの回答の写真を取って、アップロードするのがたった5分しかない。

*問題文でポイントだと思うところにハイライトも線も引けない。

*問題文に書き込みも出来ない。

*スマートフォンやタブレットを使っても大丈夫と言ったけれど、回答の写真を取ってアップロードするのが非常に困難。

*ブラウザーのバージョンによってアクセスが困難。

*3時間以上のテストが45分に短縮されたのに値段が一緒。

*ハワイ州の受験生は朝6時からのテストなんて、不利。

 

ついでに、集団訴訟に参加した16000人の中からいくつかコメントをご紹介しておきます。

 

『私も親友のナタリーも、APテストの回答をアップロードすることが出来なかったんですけど、私たち大学を4年以内にちゃんと卒業出来るように、大学の授業の先取りのつもりでAPコースを取って、この1年必死に勉強してきました。それなのに、また再テストを受けないといけない。それもうまく行かなかったら、あんなに頑張ったのに、大学の単位として認めてもらえない。こんなの悔しすぎます!』

 

父兄からこんなコメントもありました。

 

『APを取らせる為に、どれだけお金を使ったか分かりますか?家計のやりくりをして息子の将来の為だと思って塾のお金を捻出したんです。なのに蓋を開けたら、実力が発揮出来るようなフルのテストじゃなかったし、他の子と差がきちんとつくような形にならないし、投資としては失敗です。』

 

親としてこれは、良く分かる。きちんとお金で示してもらった方が確かに客観的に理解しやすい。

 

テスト実施までの準備時間があまりに無かったというのが問題だったんでしょうけど、対策としてもともと作っていた問題を3か4分割にして時差に合わせて別の問題として受験生に受けさせることも出来たんじゃないですかねえ。そうすれば、世界中から同じ日の同じ時間にシステムにアクセスするという負荷も避けることが出来たし。それでも、同じ問題じゃないから平等とは言えない?

 

後から言えることはたくさんありますけど、APテスト、始まる前から受験生は動揺してましたよねえ。ヒトラー侵攻まで出て来たくらいに。ポーランドが陥落するよりもずっと早くAPテストのシステムは陥落しちゃった。。。

 

ということで、クラッシュしたのは、韓国のリッチ・ウーマンだけじゃなくて、APテストも不時着しちゃったというお話でした。

 

フレックスラーニングのウェブサイト

 

 

 

 

 

知ってるとお得な『アメリカ大学進学情報』と『面白い生活』について、NY地区から発信しています! 是非、下のボタンをクリックして応援して下さいね!

 

  にほんブログ村 受験ブログ 海外受験へ
にほんブログ村 にほんブログ村 海外生活ブログ ニューヨーク情報へ
にほんブログ村