大学生の息子が今、帰省中です。中間テストの後の1週間休みで。
それにしても呆れるほど、何もしていません。この小僧は、将来の展望もなく、ほとんどの時間をベッドで過ごしている。ある意味、大したもんです。果報は寝て待て。でも、果報なんて、こんな男には届くはずもありません。
(8年前の息子。この頃から精神的に全く成長していない!)
前回、前々回と才能のあるバレエ青年の話だとか、バイオリン少女の話だとかをブログで書きましたけど、まず、なりたいものがある青少年は大したもんです。大体の人は、何になりたいかも分からないし、なりたいものがあってもなる才能が無い。寂しいもんです。
そんなことを考えていたら、アイビーリーグ大学のひとつペンシルベニア大学の心理学の教授アダム・グラントの書いたものに行き当たりました。その題もズバリ、『大きくなったら何になりたいかを子供に聞くのはやめろ!』
ホント、そうですよねえ。
(ペンシルベニア大学)
この質問、大人は子供との会話で行き詰まると、とにかくこれ聞いちゃいますよね。軽い気持ちで、ご挨拶みたいに。皆さん、心あたりあるでしょ。子供時代この質問をされて困りませんでしたか?そのくせ、同じことをしている大人の自分がいたりして。しょーもない。
この教授の話を続けます。
グラント教授は、子供の頃、やっぱりこの質問に苦しんだそうです。何も答えるものが無かった彼は、映画監督だとか、宇宙飛行士だとか夢のある華々しい職業を答えないと、大人はがっかりするんだろうなあ、と思って苦痛だった、と。
分かるなあ。
で、グラント教授は、大学生になって気がついた。どれも一長一短あるし、ひとつ仕事に決められない。結果、様々な職業の人をサポートする組織のための心理学者になることにした、と。
なるほどねえ。これなら、色んな会社にいるクライアントの現実を疑似体験出来る。
この紋切り型の質問の問題は、単に、『お父さん・お母さんになりたい』とか『誠実な人間になりたい』だとかの答えを大人は期待していないことを子供たちは分かっていて、職業を答えないといけないと思っちゃうこと。しかも立派な職業を持たないと人生の成功者になれないと子供たちは信じていること。だから、とにかく社会的に評価を得ている職業をとりあえず答えなきゃいけない心的状況に追い込まれちゃう。
これは、プレッシャーですよねえ。
まず、この質問の問題は、たった1つのやりたいこと答えないと行けないと思わせること。ラッキーにもやりたいことを見つけられたとしても、それがちゃんとした職業であるとも限らない。ましてやお金にならないかもしれない。それより以前に、その才能すらないかもしれない。
(将来の可能性を夢見て、旅行中でも毎日どこかでバイオリンの練習をしていた筆者の娘)
教授があげたエピソードが面白かった。あるコメディアンが高校に招かれて話をした時に、先生・父兄に言ったそうです。『ちょっと、嘘は止めましょうよ。夢を追うことの現実を言っちゃうべきです。この中の4人は自分のなりたい者になれるかもしれないけど、残りの2000人は諦めることを学ばないといけないよ』って。『正確に言うなら、自分が得意なことをする人になれるかもしれないけど、それだって雇われなくちゃあ出来ない。』
はははは。悲しいけど、同感。
それと、不況時に就職した人の方が幸福なんだそうです。仕事につけただけで、嬉しくて、仕事が面白くない、とか色々考えないで済むからなんだそうです。
なるほど。
大学を出て何かの縁があって始めた仕事で、少しでも面白い瞬間があれば、幸せと言うことなんですかね。幸せの公式は、『現実から期待を引いたもの』なんだそうです。
ふーん。
と言うことで、最後に大人から子供へ送るアドバイス。
職業じゃなくて、大きくなったらどんな人間になりたいか、を考えてみてはどうでしょうか?
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