雨が降って、一気に寒くなりました。
そんな雨の中、ニューヨークのど真ん中にあるホテルにオーバーリン大学・オーバーリン音大の現況とこれからの将来についての説明会に出かけて来ました。
オーバーリンは、アメリカの名門リベラルアーツ大学ですが、他とちょっと違うのは、音大を併設していることです。この説明会では、大学・音大・美術館の3本立ての大学だと説明してましたけど。
世の中、ますます現実的と言うか即物的になって来て、学問のための学問を追求するリベラルアーツカレッジは、厳しい状況に置かれています。
オーバーリンがこれから強化していきたいのは、大学・音大・美術館の三位一体の体制に加えて、企業も同窓会も巻き込んで、学生が卒業後も社会に出てひとり立ち出来るように、カリキュラムを組むこと。だからリベラルアーツだって、就職時に総合大学に負けませんからね、って学長が散々、説明会で話していました。なるほどね。
三位一体についての質疑応答で、面白かったのは、同窓生の質問。『三位一体と言うのなら、一般学生だってオーケストラに入れてもらう権利があるんじゃないか』と言うもの。
この質問者は、ずっと楽器をやって来て、大学と音大の両方の学位が取れるコースに入りたかったけれど、音大には入れなかった。せめてオーケストラに入りたかったのに、そのチャンスはなかった。普通の大学なら、誰でも(これは正しくないですけれどね。オーディションがあるから)大学のオーケストラに入れるのに、オーバーリンでは無理。これを是正すべきではないか、と。
うーーん。
気持ちは分かりますけど、ちょっとねえ。オーバーリン音大はアメリカでも屈指の音大ですからねえ、普通の学生のレベルじゃあ、ちょっと。レベルを下げちゃうのは、音大としては、マズイでしょうしね。あそこのオーケストラは、下手だと言われちゃうと才能のある学生が集められ無くなりますしね。
まあ、解決策としては、普通の学生のためのオーケストラを別に作るのが一番なんでしょうけど、いかんせん、小さい大学ですから、ちょっと無理があるかもなあ、と思っていたら、音大の学長が、室内楽のグループがいくつもあるので、そちらで対応可能、と言う回答。まあ、これなら3−6人程度のグループですから、普通の大学レベルの学生のグループも作れるってことですかね。三位一体も大変です。
大学側の学生数は増加しているみたいですけど、音大側は減っている、という話も出ました。
つまり、近頃の学生は、音楽で食べて行くのは難しいと思っているってことらしいです。とは言え、オーバーリン音大はレベルを下げて学生を取りたくないと言うことで、才能のある学生を集めるべく、奨学金をバラまいているらしいです。それと、音大生と言えども、大学が併設されているから、こちらの授業も取れますよ、というのも売りにして単独で運営されている他の音大との違いを出しているのだとか。
苦労してますねえ。音楽でやって行けなくても、他の学位も取っていれば、ツブシが効きますからねえ。
これは、ジョンズ・ホプキンス大学とその併設のピーボディ音大でも同じことが言えます。ソリストになれなくても、ジョンズ・ホプキンス大学の卒業証書が手に入りますよ、って堂々とこの大学は公言してますから。
説明会の話、続けます。
普通の学生の方も音大の授業を受けることが出来きますよ、って言い切ってました。普通の大学では考えられないレベルの音楽のクラスを取れますよ、って。まあ、音大ですからねえ。
そう言えば、物理専攻の知り合いの坊ちゃんが、せっかくだからと音大の提供するクラスを取って、GPAを思いっきり下げちゃった、って泣いてましたっけ。はははは。だから、あんまり現実的じゃないかもです。
先日もバレエ男子の進路についてお話しましたけど、音楽で生きていこう、と決心するのも、簡単じゃあありません。応援したいですけどね。
音楽で進学するのは、色んな意味で難易度が高い、と言うお話は、次回にします。
明日は、早起きをして今だにバイオリンを弾いている娘の弦楽4重奏を聞きに出かけるので。
それでは、お休みなさい。
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