室内楽のコンサートに行ってきました。ニューヨークフィルだのメトロポリタンオペラだののホームグラウンド、リンカーンセンターの一角にある教会に。
いやあ、凄く良かった。特に、ニコライ・リムスキー・コルサコフのピアノとバイオリンとチェロの3重奏。アメリカのカーティス音大卒のロシア人の若手チェリストが信じられないくらい良かった。ああ、どうしよう、って思うくらい良かった。
カーティス音大は、西海岸のコルバーン音大と同じく世界中から授業料タダで才能のある学生を選りに選って選んでいる凄い音大です。(ジュリアードよりも入るのは難しいと個人的に思ってるんですけど)
ピアノ、チェロ、バイオリンの三重奏だと、いつもはバイオリンに集中しちゃうんですけど、今回は、何故かチェロが気になって仕方がありませんでした。
何年も何年もの間、娘のバイオリンのレッスン中、自分用の楽譜も用意して、先生の注意を全て書き込んで、家でのおさらいを娘と一緒にして来たので、バイオリンが弾けない人とは思えないくらい筆者はバイオリンを熟知しています。門前の小僧?
(音大を蹴って、普通の大学に進学するも今もバイオリンを弾いている筆者の娘)
だから筆者は、コンサートに出かけても、バイオリンの楽譜を思い浮かべながら聴いてしまう。実は、結構これ、うっとおしい。音符だけじゃなくて弓の使い方だとか、凄く気になってバイオリン奏者ばかり見てしまう。
ところが、
今回は、チェロばかり見ちゃった。
自分でも、信じられなかった!このチェリストの音色が好きだったこと、凄く叙情的だったこと、(それにイケメンだった!)も理由なんでしょうけど、近頃ハマっている漫画の『僕のジョバンニ』のせいなのかなあ、と我ながら苦笑してしまいました。
はい。『僕のジョバンニ』にハマってます。
穂積作の二人のチェロを弾く少年の愛憎の物語。今5冊出てるんですけど、既に舐めるように10回は読み直しちゃいました。これからも、もっと読み直しそう。。。アブナイなあ。
主人公の少年、手塚鉄雄は6歳の時におじいちゃんの持っていたビデオにあったチェリストで、作曲家でもあるジョバンニ・バッツォーニの『チェロよ、叫べ』の演奏を見て以来、チェロ一筋人生。でも、鉄雄少年はハーフの美少年でチェロの天才橘郁未に会って、劣等感に打ちのめされて苦しんで行く。なのに郁未少年の方は、自分の人生は鉄雄のものだ、なんて11歳で言い切るくらい鉄雄一筋。こんなセリフを聞くと、BLファンは悶えてしまう。はははは。
鉄雄少年がイタリアに留学している間、郁未はとにかく鉄雄の『特別』でいるためには、チェロしかないと信じて、頑張っちゃう。頑張っちゃた結果、若手チェリストとして押しも押されぬ地位に上り詰めちゃうんですよね。鉄雄には、これがまたキツい。帰国後、二人は交錯して行くんですけど、これが切ない。ああ、どうしよう・・・・
鉄雄が魅了されたジョバンニ・バッツォーニのモデルはもちろん、鬼才ジョバンニ・ソリッマ。曲はもちろん『チェロよ、歌え』です。6歳の子供がハマるにはちょっと、洗練されすぎてる!カッコ良すぎる!
筆者も実は、鉄雄少年みたいに幼い頃、チェロにハマっていたことを久しぶりに思い出しました。
でもハマったのがパブロ・カザルスの演奏するサン=サーンスの『白鳥』
うーーん、鉄雄と比べて物凄くベタ。まあ、幼稚園生でしたからね。許して下さい!このレコードを何度も何度も聞きました。それこそ、何百回も。こんなに気に入ったのに、親はチェロを習わせてあげようとは、言いませんでしたねえ。鉄雄少年と違って、残念な環境?本当は、凄いチェリストになっていたかもしれないのに!冗談ですけど。
筆者の場合は、親からまず与えられたのはバイオリン。まあ、親もチェロを習わせるのは、面倒だから、言わなかったんでしょうねえ。チェロと形が一緒だから選んだ?筆者はみんながピアノを弾いているのに、自分だけバイオリンなんて差別だと思って懇願の末、ピアノに変えちゃいましたけど。
今回、コンサートでチェロを中心に聴いたおかげで気づいちゃいました。チェロの音好きだったんだなあ、って。
このことをもっと早く思い出していれば、娘にピアノとバイオリンじゃなくてチェロを与えていたのかもしれないなあ。(ピアノとバイオリンは持っていたので、手軽だったんですけどね。所詮この程度。)
子供に何を与えるのかは、親の『好み』と『都合』に非常に関係しますよね。
皆様、よーく、考えて下さいね。本当の天才を見出さずに終わっちゃってるかもしれませんから。
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