アメリカでは、SNSが炎上してます。ハーバードが合格を取り消した件で。
ニューヨーク・タイムズの記事によると、10人程度毎年、取り消しがあるみたいです。何だか時代を感じさせるんですが、ほとんどがSNSで性的な写真を公開していたりとか、素行の悪いのが原因だとか。怖いですねえ。今時。自分が過去にしたことが一人歩きしちゃう。
いつも、お世話している高校生たちに、口が酸っぱくなるほど言っているのは、フェースブックだの、ツイッターだの、インスタだののSNSの投稿には気をつけろと。とにかく、問題発言は避けるようにと。大学は、チェックするからね、と。
今回、問題になっているのは、去年、アメリカ国内史上最悪の高校銃撃事件が起きたフロリダの高校出身者がハーバードから合格を取り消されたことです。この少年、この銃撃事件後、アクティビストとしてもう一人の少年と同じく国内で有名になった高校生です。まあ、ハーバードは、リーダーを求めていますから、こう言う素材は非常に高く評価します。
この二人の少年は非常に対照的でした。デービッド・ホグ君は、銃規制の呼びかけを全国に起こした。今回スポットがあったっているカイル・カシュアブ君は、アメリカ憲法を擁護し、銃所持は国民の権利として認めながら、どのように管理していくかに焦点を当ててロビー活動をし、法案を通すのに貢献しました。結果、ハーバードは二人に合格通知を出しています。
二人とも大学に出したエッセイは、自分たちの高校の惨劇を機に、自分たちがアクティビストとして活躍するに至ったこと、だったそうです。事実、この高校の過半数は、この惨劇について書いたそうです。まあ、人生観を変える最大の事件だったことは間違いないでしょうからね。
今まで日常だと思っていた何の変哲もない高校生活が実は、簡単に非日常と繋がる可能性があること。ガールフレンドやボーイフレンドのことで悩んだり、成績で悩んだり、部活で悩んだり、放課後どこへ行こうか考えたりすることが、どんなに有難い悩みであるのか。それを深く実感することで、哲学者や思想家が生まれるのかもしれません。そして、そこから何が出来るのかを考えて、実行することで、リーダーが生まれる。で、カイル君もデービッド君もリーダーになった。
この二人、銃規制に対しての立場は対照的でしたけど、成績の方も非常に対照的でした。デービッド君は、SATはたったの1270点。カイル君は1550点。(1600点満点)実際、デービッド君は、ごくごく普通レベルの子が進学するカリフォルニア州立大学ロングビーチ校からも不合格をもらっています。ですが、ハーバードは、彼のリーダーとしての資質を買って、合格を出しています。ハーバードが大した成績でない彼に合格を出したことは、大ニュースになったくらいです。片やカイル君の方は、優等生で、誰がどこから見ても不合格を出さない理想的な受験生だった。
そのカイル君が何と、ハーバードから合格取り消しを受けてしまいました。
問題は、2年前に友達とグーグルドックのチャットで会話した言葉が公開されたことです。そこで、差別用語を散々書いていた。どうやら、『友達』はハーバード合格後に逆キャンペーンを繰り広げて、彼は、世間で信じられているようなヒーローではなく、差別主義者だということを拡散しちゃったんですね。何だか、やり切れない話です。友達は選びたい!
SNSのキャンペーンを知ったハーバードは5月24日付けで、72時間以内に説明を出すように、カイル君に連絡。そして、ハーバードは6月3日付けで最終の結論、つまり入学取り消しを通達するんですね。
カイル君は、そこは友達だけの世界だし、極端な冗談なんかを言ってもいいと信じていた。(少なくとも、彼はインタービューでそう言っています。)実際、彼はユダヤ人で、その彼が反ユダヤ発言とかをポストしたりしているんですね。黒人ラッパーが歌詞で差別用語のニガーを連発するのとちょっと似ているようなと、思ったりしたのは、筆者だけですかねえ。ユダヤ人だからユダヤ人の悪口を言える、みたいな。
カイル君は、ハーバードとのやり取りをSNSで公開しています。自分の書いたことには、全面的に責任を持つこと。そして非常に反省していること。それから銃撃事件を通じて自分はあの頃の自分ではなく、成長したこと。コミュニティーに貢献すべく頑張って来たし、これからもそうしたいと思っていることを述べています。でも、ハーバードは、世間を騒がせた彼をもう入学させられないと判断しちゃったんですね。
(カイル君のツイート)
SNS上でハーバードのこの判断は賛否両論ですけど、一般に知られちゃったのが厳しい結論を導くことになったのかもしれませんねえ。ハーバードも引くに引けなくなっちゃった。
SNSでちょっと面白いコメントを見つけました。あるユダヤ人からの。1年浪人生活をしてイスラエルのキブツに行ってはどうか、と。そこで生活したことが今後のカイル君のユダヤ世界に対する立場をきっとスッキリさせることになって、クリーンな状態にリセット出来るんじゃないかと言うものでした。なるほど。日本人の政治家もお遍路したりした人もいましたよね。
ヒーローがあっと言う間にアンチヒーローになってしまったお話でした。
言葉は一人歩きしてしまいます。本音とは違っても、冗談でも、書いたことは取り消せない。『友達』だと思っても、言っていいこと、悪いことがあるかもしれないこと。カイル君も痛い経験だったと思います。高校の惨劇を乗り切ったんですから、今度は、この経験も乗り切れますって。きっともっと凄い『成長』が待っていると思って、頑張ってもらいたいもんです。まだ、18歳ですから。
高校生の皆さんだけじゃなくて、どちら様もSNSでの言動にお気をつけ下さい。
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