ソールドアウト!残念!
メトロポリタンオペラは、売れ残った当日券を安く正午に売り出します。オセロ見たかったなあ。今日が最終日。この演目は、ロサンジェルス交響楽団の常任指揮者グスターボ・ドゥダメルが初めてメトロポリタンオペラを指揮すると言うので、前評判も高い。買えるわけないですよね。まあ、常識で考えて。でも、行きたかったなあ。
オペラのチケットは、まあ、高いです。100ドルくらいから500ドルくらいまでします。だから、筆者は、根気強く正午になると当日券が手に入らないかトライを続けています。これだとたったの25ドル。他のアプローチとしては、土曜日のラジオ中継と言う手もありますけど、ストーリーを知っていてもイタリア語だったり、ドイツ語だったりで、聞いても分からないし、ちょっとなあ、です。メトロポリタンオペラは、シーズン中に映画も作っていて、映画館で見ることも可能です。まあ、これが実際に劇場に行けないなら一番いい手段かも、ですけど、まだトライしていません。
グスターボ・ドゥダメルは、クラッシック音楽界のスーパースターですけど、若いながら確かにいい指揮をします。去年の秋ウィーンフィルが来米した時、カーネギーホールでブラームスの1番を振ったんですけど、大好評。もちろん、ソールドアウト。(個人的には、もう少し第1楽章はゆっくり抑えめにして欲しかったですけど。ブラームスの1番は筆者の大好物です。最高傑作だと思ってます。まあ、どうでもいいですけど。)
グスターボ・ドゥダメルがロサンジェルス交響楽団に招聘されたのは、2009年ですからちょうど10年。自慢じゃないですけど、シーズンチケットを持っていたので、始めからずっと彼のことは見てきました。一番驚いたのは、譜面なしで指揮をすることですかねえ。まあ、世界で初めて演奏する曲は、さすがに譜面を使ってましたけどね。それから、彼の指揮台には、後ろのバーがない。普通、指揮者は、演奏中に興が乗って来ると知らないうちに移動するかもしれませんから、支えのバーが後ろにあります。だけど、彼には、不必要。これにもちょっと驚きました。落ちないかな、と心配しながら見るのもスリリングでした。
アメリカ人は、人道的なことが大好きです。大学もダーバーシティ(多様性)を強調して、マイノリティや貧困家庭の子弟を積極的に入学させますしね。で、グスターボ・ドゥダメルが非常に受けたのは、ロサンジェルス交響楽団を使って、恵まれない子供達のために放課後活動として、ユースオーケストラを始めたことです。NYのクラッシックラジオ局でも、この話は、グスターボ・ドゥダメルの話が出るたびに繰り返されています。
(グスターボ・ドゥダメルとユースオーケストラの子供達のステージ)
その昔、ローマ帝国でも、貴族のすることはチャリティであったように、アメリカ人は、国にお願いすると言う姿勢ではなく、持っている人が持っていない人に施すと言うメンタリティが強くあります。語弊を恐れず言うと、日本は福祉は政府がするものだと思っている社会主義の国ですから(ヨーロッパも同じ)、寄付によって色々なことが賄われるアメリカの社会とは、ちょっと違います。学校だって、父兄に寄付ばかりお願いしてますから。
この子供のためのオーケストラですけど、グスターボ・ドゥダメル自身もベネズエラでこんなオーケストラ出身だったこともあって、世の中に恩返ししたいと思ったと言うのが発端です。それで、コーチはロサンジェルス交響楽団を始め、近隣のオーケストラの団員のボランティアを集めた。グスターボ・ドゥダメルはコンサート等で子供達の演奏の指揮をする形で参加。子供達は、楽器が買えるような環境にないので、楽器は寄付で賄うと言う仕組み。
だから、筆者も毎年シーズンチケットを買う時に、このユースオーケストラへの寄付を、強請られました。結構、これは、執拗です。第一、引っ越した今ですら電話がかかって来るんですから。
このオーケストラの子供達の多くは、LAの土地柄、ヒスパニックが大多数です。生まれて初めて楽器を触るような子供達。放って置いたら、ギャングになってしまうような子供達に、違う世界を見せた。LAでも黒人が沢山住んでいるサウスセントラルで、その昔、やはり恵まれない家庭の子供たちを集めてテニススクールが作られましたけど、あの有名なウィリアムズ姉妹はそこ出身。放課後にやることを与えるだけじゃなくて、夢を与えると言うのがいいですよね。現実的には、それでスーパースターになると言うのは、物凄く難しいでしょうけどね。
筆者の2人の子供は、このグスターボ・ドゥダメルの始めたユースオーケストラ・ロサンジェルスの設立意義に賛同して、高校時代は、ここでボランティアをしていました。息子は、ピアノ弾きなので、コーラスの練習の手伝いをしたり、宿題のヘルプをしたり。娘は、バイオリンを弾くので、個人レッスンをしたり、オーケストラの練習をヘルプしたり。
二人とも子供達に混ざってグスターボ・ドゥダメルと同じステージに立てたのは、それなりにいい思い出になったようです。まあ、息子の場合は、オーケストラの楽器が弾けないので、オーケストラを伴奏にして子供達と一緒にビートルズの歌を踊りながら歌ったことです。ちょっと可愛かった。ははは。
アメリカでは、日本でもそうですけど、アメリカでも習い事は盛んです。放課後、子供達は、スポーツチームで汗を流したり、ゴルフやテニスの個人レッスンを受けたり、楽器のレッスンを受けたり、色々しています。実際、こう言う活動が将来、大学を受ける時に大いにプラスになりますから、親も子供も真剣です。ですけど、経済的に苦しい家庭の子供には中々そんな機会がない。だからこそ、グスターボ・ドゥダメルのような有名人が肝いりで何かを始めることに、世間は拍手喝采するわけです。
それはさておき、次は、アイーダのチケットを狙います。それでは、皆さま、ご機嫌よう!
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