今週火曜日、仕事でミーティング中に、娘からテキストメッセージがまず入って来ました。それから5分後に息子からも。『クレイのお父さんが亡くなった!』と言うメッセージ。
クレイのお父さんと言うのは、スポンジボブのクリエーターです。日本であまり知られていないかもしれないですけど、アメリカでは、超人気のアニメ。誰でも知ってる。今、ブロードウェイでミュージカルすら興行されているくらい。映画もいくつかありました。スポンジボブのグッズもたくさんあります。とにかく、有名。筆者の子供達も、スポンジボブで育ちました。
(息子の小さい頃のサッカーチーム。筆者の息子は左端。)
クレイと息子は、サッカー仲間で小さい時からの知り合いです。同じチームになったこともあるし、高校時代は、違う学校でしたが、リーグの試合で敵味方で顔を合わせていました。小学生の頃は、週末のサッカーの試合でよく、このお父さんにも会っていました。自分はちっとも運動神経が良い訳でもないし、全然スポーツなんてやって来なかったのに、息子がなんでこんなにサッカー好きなのかなあ、とちょっと嬉しそうに話していたのを覚えています。クレイは、チームのスターでしたから。金髪の髪をなびかせて、とにかく走る、走る。美少年です。
たった一度だけ、クレイのお父さんとスポンジボブの話をしたことがあります。何冊も本が出ているんですけど、その本が面白かったので。子供向けだと思ってストーリーを考えてない、と言ってました。要は、子供の感性、理解力をバカにしていない、と言うことのようです。きちんとした話じゃないと、子供もついて行かない。実際、大人が読んでも面白かったですからねえ。穏やかな人でした。ご冥福をお祈りしています。
クレイのお父さんだったから、遠くに引っ越した筆者も消息を聞くことが出来ましたけど、一般人だったら、知らないうちに、と言うことは沢山あるんでしょうね。ちょっと、考えてしまいました。ある日、突然、誰かから、そう言えば、あの人亡くなったのよね、という具体に。それすら、なくて、いつの間にか、他人の意識から消えてしまう。。。
だからなんですかねえ、アメリカのローカル紙には、死亡記事が有ってどこでお葬式があるとまで記載されています。筆者は、あのページが好きで(好き、と言うと語弊がありますけど)新聞を開けたら、一番に目を通していました。最近は、インターネットのおかげで、ローカル紙はどんどん廃刊されて、本来、人間の営みとして聞きたい話がどんどん失われているのは、残念です。ロスアンジェルスタイムズみたいな大きい新聞にも、地方版に死亡記事掲載はありますけど、紙ベースで読んでいる人が少なくなりました。デジタル化版は、全世界に向けて発信してますから、地方版のニュースはないですからね。ホント、残念。
この死亡記事、亡くなった人の人生が集約されていて、読み応えがあります。ああ、この人は、どこで生まれて、誰と結婚して、子供が何人で、何をしていて、最後は、誰にみとられたんだ、って言うことが分かるんですから。有名じゃなくても、その人には、人生があった、確かに存在した、と言うことがしっかり分かる。かなり、泣けます。それが若い人だったりすると、一体何があったんだろう、病気?それとも事故?と言う心配から読み始めることになります。喪主が親だったりすると、もう切ない。
近頃、アメリカでは、学校でも発砲事件があったりして、どこに居ても子供達は何があっても不思議じゃない。日本だって、何かある時はあります。
筆者の小学校時代は、社会科見学で野菜市場にゾロゾロ列を作って歩いて行っている途中に、居眠り運転のトラックが歩道に乗り上げて子供たちをなぎ倒して行った事件から始まりました。小1ですよ、小1。結局、隣のクラスの女の子二人が亡くなりました。そして、20人だかが救急車で運ばれましたからね。阿鼻叫喚。小3、4で同じクラスになった男子生徒なんか、頭に重傷受けていて、事故後は半年も入院していていましたけど、退院後も定期的に大学病院に検査に行っていました。頭の一部に自分の腿の筋肉を移植していて、髪もとうてい生えないし、その当時の小・中学生では珍しいワンレングスのロン毛にしていた。同級生は、みんな事故のことが分かっているから、からかわなかった。からかわないどころか、カッコいい男子で有名だった。長野君、元気ですか?
世間の人は忘れてしまったかもしれないけれど、筆者の学年の子供達は、身近にこの事故で一生身体が悪くなった生徒たちと育ったから、この記憶は無くなりませんでした。折に触れて思い出す、と言うより、日常にあった。親になった今思うのは、この時の亡くなった子のご両親のこと。どんな思いをしたんですかねえ。
コロンビア大学に在学していた息子の友達が最近自殺したお話をしましたけど、息子の高校の時は、免許を取ったばかりの同級生が16で自損事故で亡くなりました。これも、辛かった。高校の卒業式には、彼の名前も読み上げられました。みんなもらい泣き。若い人が亡くなるのは、ホント、やるせ無い。
死亡記事を通して、赤の他人でも亡くなった人の人生を考えます。だから、死んでも報われるなんて決して思いませんけど、誰の人生も他の人に大なり小なり、何らかの影響をもたらす、ってお話です。クレイ、お母さんを助けて、頑張ってね。応援してます。
アーメン!