道に積もった紅葉した葉っぱを踏みながら、犬の散歩をしています。面白いことに、犬は、好んで、葉っぱの上を歩きたがりますし、オシッコもその上にしたがります。何なんでしょうねえ。
アメリカの大学の出願も本格化して来ました。それで、今回は、音大と普通の大学の両方の学位をもらってしまいたいという欲張りな学生のお話。
世界中の誰でも知っているジュリアードは、芸大のみ。同じニューヨークにあるマンハッタン音大は、コロンビア大学と提携をしていますけど、ジュリアードは、単独。だから、2つ学位をもらっちゃおう、という野望は持てません。残念でした。まあ、ジュリアードに行くような学生は将来も音楽の道を極めようという覚悟が出来ているんでしょうけど。
とは言っても、ジュリアードを蹴って、ブラウン大学に入ったバイオリン青年に、最近会いました。ジュリアードにいたら、簡単にスターになるというわけには、行かないでしょうけど、ブラウンでは、結構、活躍の場をもらっていい感じでした。周りからも、尊敬を集めてますし。でも、バイオリンばかり弾いている時間はないですから、既に、音楽家としてやって行くことを諦めているのかもしれませんけど。はっきりそうは言いませんでしたけどね。
正しい判断であったかどうかは、別問題として、音楽以外でも優秀であったばかりに、彼は悩んだみたいです。この彼、全寮制の芸術高校出身。この高校に進学した時点では、バイオリニストになるのを夢見ていた。だから、ジュリアードに行くことは、元々の計画。ところが、段々と年齢が進むにつれて、いろんなことを考えるようになってしまった。音楽以外の分野にも興味を持ってしまった。バイオリン以外のことが世の中にある!
それでも、彼の場合は、子供の時から夢を見ていたジュリアードへの進学を諦めきれず、受験して合格したんですね。大したもんです。ホント、彼、上手いですもん。バイオリン4重奏を最近、聴きましたけど、勿論、第1バイオリン。
ジュリアードだけじゃなくて、どこの音大を受けるにせよ、まあ、やってみるか、という感じでは、絶対、受験出来ません。課題曲が何曲もありますから、みんな余裕で1年以上もかけて準備します。大体、どこの音大も必ず、バッハ。パガニーニ。それから、バロック以外の時期の協奏曲第1楽章ていうのが普通ですけど、天下のジュリアードこれだけじゃ、不満ということで、20世紀に作曲された曲も弾かないといけない。これが、結構、厄介。つまり、ジュリアード対策が必要。
だから、この彼も、まあ、とりあえず受けるか、という感じじゃなくて、本気で練習に励んだはずです。でも、心に引っかかるところがあって、ブラウン大学にも出願してしまった。合格したのが、普通の州立大学か何かだったら、迷わずジュリアードに進学したんでしょうけどね。結局、悩んだ末、子供の頃からの夢だったジュリアードではなくて、現実的な成功に導いてくれるアイビーリーグを選んだわけです。
(ニューヨークにあるジュリアード)
アイビーリーグと言えば、筆者が知っているハーバードの学生に、やはり芸術高校出身で、高校の時に、作曲家で指揮者のエサペカ・サロネンに師事して国際コンクールで1位を取った子がいるんですが、彼は、ハーバードでは、哲学専攻を選びました。こんな、肩書きなので、スーパースター好きのハーバードには、アーリーアクションで余裕で合格しましたけどね。でも、ちょっと、音楽を続けて欲しいような気がします。ハーバードの大学院は、作曲では、結構有名ですし。
ブラウンに進んだ彼や、ハーバードに進んだ彼のように、音楽だけに絞れない学生は、結構いるのかもしれません。小さい頃から音楽を仕込まれてしまった学生は、大学を選ぶ段階になって、迷う。実際、賞が取れるくらい楽器がうまかったりすると、それはそれで、有名大学進学の際にいい材料になりますけど、そこまで極めた音楽の実力を放ってしまって、普通の大学に行ってしまっていいのか、という迷いも出て来る。
難しいですよねえ。食べて行かないといけないから、将来のオプションはできるだけ多い方がいいと思うのは人情かと。そうすると、本当に音大に行ってしまっていいのか。18やそこらの人間に決めることは、ちょっとねえ。それで、結構、人気のあるのが、音大と併設されている大学に進学するパターン。そこで、音楽とそれ以外の学位をとってしまう。少なくとも、大学にいる間は、モラトリアム。どっちにも真剣に向き合って見て、決める。
そんな大学として有名なのがオーバーリン大学・オーバーリン音大ですけど、その音大側が発行する雑誌を読んでいたら、面白い記事を見つけました。各界で活躍している卒業生の体験談です。この卒業生たちは、全員音大とオーバーリン大学の二つの学位取得者です。ちょっと、カッコいい。
長くなったので、この体験談のお話は、次回に。乞うご期待!