前回は、黒人になりたい白人のオジサンの話をしましたけど、考えさせられましたよね。可笑しいけど、結構深刻。筆者の雪掻き問題も深刻ですけど。
(筆者の家の前。今年4月の雪景色!)
雪掻きの話は、置いておいて、このややこしい人種による優遇措置について続けたいと思います。
大学の願書にも、人種選択の項があります。大学は、学生の多様性を重んじること、そして社会的動議の点からも、マイノリティ(少人数の人種)を積極的に入学させようとしていますからね。あらゆる学生に門戸を開いていると言う自負と義務?
まず、そう言う大学が喜んで入学させたがるのが、一番少ないネイティブアメリカ人(アメリカインディアン)。そして、ヒスパニック(一番恵まれていない環境にあると思われていますから。)そして、黒人。アジア人は、人口構成的には、少数なのですが、成績がいいので、ゲタは全く履かせてもらえません。成績だけで大学が入学を許可すると一流大学は、アジア人だらけになってしまうみたいですからね。
成績優秀で、マイノリティである学生は、ホント、引く手あまたです。アイビーリーグ全てに合格した高校生の話とかがニュースになったりしますけど、そう言う人は、まあ、マイノリティのグループに属します。だから、どの人種に属するのかは、結構、アメリカでは重要です。筆者の娘が通っていた高校にも、ハーバードとスタンフォード両方に受かった年子の黒人姉妹がいました。カリフォルニアに住んでいたこともあって、結局2人ともハーバードを蹴って、スタンフォードを選びました。羨ましい選択ですねえ。この2人、成績は良かったですけど、その高校で、1番とかではありませんでした。まあ、トップ10%に入るか入らないか、と言うところでしたねえ。ねっ、ちょっと分かるでしょ。
(いかにもカリフォルニアのスタンフォード大学)
以前、某有名私立大学に通うアメリカインディアンの学生と話をしましたけど、受けた大学全てから合格通知をもらったとか。で、入学して見ると、インディアンなんて誰もいなくて、大学にあるインディアンの会に自動的に代表として入れられた。大学は、インディアンもいるよ、と世間に言いたいので、何かことがある度に、インディアン代表として参加させられると苦笑していました。だから、こう言う人は、レッドカーペットみたいですねえ。でも、前回話したように、インディアンの規定は、厳しいですから、勝手にインディアンだって言うのは、ムリですからね。ご注意を。
大学願書の問題は、単にチェックマークをつけるだけで、人種の証拠を出す必要はないので、どこまで、本当に出しているのかは、不明です。(後で、バレるとマズイんでしょうけど。)
例えば、4世代前の先祖のたったひとりがスペインから移民して来て、その他の先祖は、全部イギリス人の場合だってあります。見かけは、アングロサクソンでも、そのたったひとりの為にスペイン人の苗字を代々背負っている。紙に書いた苗字だけから判断すると、アメリカに近頃貧乏で逃げて来たヒスパニックと判断されることも可能かと。メキシコからのロドリゲスさんや、ゴンザレスさん、はたまたロペスさんと同じ名前ですから。(中南米の人はヒスパニックと呼ばれます。アメリカインディアンと同じようにインディオがほとんどですが、支配者層だったスペイン人の血も混じっている場合もあります。いずれにせよ、ヒスパニックは、支配階級だったスペイン人の名前をもらっているので、名前だけで本土スペイン人との区別するのは、不可能。)そんな人が、社会の底辺を構成しているヒスパニックの新移民と同列に扱われていいのかしらん、と言う訳です。
筆者の知り合いのエリアナも、全く、嘘ではないけど、大学側が考えるようなヒスパニックのカテゴリーには、入らないよなあ、と思うんですが、大学の願書には、ヒスパニックの所にチェックを入れたと言っていました。彼女は、スペイン人の苗字を持っていますが、見かけは、どう見ても普通の白人です。ブロンドのカーリーヘア。でも、確かに、父方の祖父母がメキシコからの移民。スペイン人の血が強い祖父母と言うことかと。その上、父親は、アメリカ生まれで、大学出のインテリ。英語しか話せない。母親は、ドイツ系です。実際、両親とも大学出だし、ミドルクラスだし、家族の誰ひとりスペイン語は話していないし、普通考えられるヒスパニックの家庭環境から程遠い。でも、父親のルーツはメキシコだから、堂々とヒスパニックで出願した訳です。嘘じゃないんですけどね。これもちょっとなあ、です。今、第1志望の音大で勉強しています。
もっと言うと、黒人の苗字として多いジョンソンだとか、ジャクソンだとか、ジョーダンだとかの苗字を持っている白人(昔、奴隷所有者だったと言うことですよね)だって、紙上は、黒人と書いても分からないかもしれません。アメリカでは、こう言う苗字の大多数は、まず黒人ですからね。黙っていれば、まず黒人だと誰でも思います。誰でも知ってるマイケル・ジャクソン、マジック・ジョンソン、マイケル・ジョーダンなんて、黒人でしょ。とにかく、願書を良く見せたい、と受験生は思ってるんですから、何があっても不思議ではありません。まあ、普通の人は、良心が咎めて、そんなことはしないと信じたいですけどね。
何だか、このマイノリティ優遇と言うのは、結構、穴だらけであるような気がします。アメリカ国内では、既に、随分混血が進んでますしね。どこまでが、どの人種なのか、規定は、ますます困難になって行くような気がします。でも、全ての人に平等に門戸を開きたい大学は、まあ、書いてあることを鵜呑みにするしかないんでしょうねえ。
個人的な意見を言うと、こんな人種優遇をやめて、ソシオエコノミックス(社会的経済論)の見地から優遇すべきだと思うんですけど、いかがですかね。家庭の収入レベルによって、子供達の育つ環境は、影響を受けるんですから、そのレベルによって頑張った子供を優遇すると言うのがスッキリするような。そうすれば、白人のオジサンも黒人になろうとは思わないだろうし、受験生も自分の人種を出来るだけマイノリティに見せるように記入しないだろうし。
ポイントは、『強欲がどこまで良心を駆逐するか?』と言うことなんでしょうね。
それでは、どちら様も、自分で思う『正しいこと』を全うなさいますように。ごきげんよう。