10月に入って僅か2日目の今日、犬の散歩をしていたら、なんと、雪掻きサービスのサインをダンキンドーナッツの店の横に見つけました。雪掻きですよ、雪掻き。
(お宅の雪掻きします、のサイン)
ここは、NYのマンハッタンの中心から僅か、3キロしか離れていないハドソン川を隔てたニュージャージー側ですが、雪がかなり積もります。ロスアンジェルスから移住して来た筆者は、今年の1月にここに居を構えてから、4月まで、これでもか、これでもかと言うくらい雪が続いて、驚きましたけど、また、あの長い冬が始まるのだなあ、と感慨深くサインを眺めてしまいました。雪掻きが商売になるくらい雪が降ります。
何でもインターネットで済ますことの出来る時代になっても(フレックスラーニングもインターネットでサービスを提供してますけど)、自然には敵いませんよね。やっぱり雪掻きをしないといけないんですから。人間、自然と折り合う努力をして来たからこそ、文明が進歩して来たのでしょうけど、その自然に挑戦するような興味深い記事をつい先日ワシントンポストで見つけました。
ワシントン州の白人男性が、自分は黒人であると認めてもらおうとして、起こしている訴訟の報道です。この人は、1963年に白人の両親の子供として生まれたのですが、マイノリティの自営業者に適用されるビジネスローンだとか、保険だとかの優遇を受けようとして、却下されたことを不当だとして、数年間訴え続けていると言う記事です。自分自身もずっと白人だと思って生きてきた人だったのに、2010年に、自分のルーツを知るために、民間のDNAによる先祖探しテスト(AncestryByDNA test) を受けて、90%ヨーロッパ人、6%ネイティブアメリカ人(アメリカインディアン)そして、4%サハラ地域のアフリカ人と言う結果をもらいました。そこから、彼のクエストが始まった訳です。
アメリカ人は、自分の祖父母くらいまでのルーツしか知らなくて、一体、自分はどこの誰なんだろう、と思っている人が、沢山います。(まあ、移民国家ですからねえ。)それで、一時期ルーツ探しのビジネスが流行しました。その中の一つがこのDNAによる先祖探し。ところが、このDNAテストは、今となっては、すっかり科学的には、古いとされていて、あまり信憑性がなく、この業者は、テストをやめてしまっていますけどね。
まあ、それはともかく、この男性は、このテスト結果を見て、『ふーーん、なるほどね。』で終われば、問題なかったんですけど、これを使って、恩恵を得ようとした訳です。2013年から、これを証拠として、黒人として優遇レートの保険をまず受けようとしました。でも、見かけが全くの白人なので、却下され、彼の訴訟人生が始まったと言う訳です。
アメリカには、マイノリティ(白人がマジョリティ。つまり、マイノリティとは、国民の少数を占める人種を指す。)だと言うことで、差別を受けて来た人たちを救うための特権サービスが色々あります。銀行もそう言う人たちを、優遇するローンの利率を提供したり、国や州もそう言う人たちが持っているのお店だとか、会社に対して、手助けをしたりとか、まあ、色々あります。もちろん、大学もそう言うマイノリティには、ゲタを履かせてくれたりする訳です。そうすることが社会正義である、と言うコンセンサスに基づいて。
だから、白人だと全く受けられない恩恵をこの男性は、受けたい、と思ったと言うことでしょうね。実際、白人側は、損をしてばかりなので、『逆差別だ!』と言う文句を小声で言ったりしています。(大声で言うと、差別主義者に見えたりするので)でも、誰がどう見ても、白人にしか見えないこの人は、あちらこちらで申し込みに却下を受けて、不当の申し立てをしていると言うお話。
ちょっと面白いのは、なんで黒人の比率よりも高いネイティブアメリカンとしての優遇を申し出をしなかったかと言うと、法的にこちらの方は、きちんと規定があったからです。ネイティブアメリカンと言うのは、すでに、どのインディアン部族出身であることがきちんと分かっていて、国にもそのように登録してある人たちだけに限られています。だから、黒人としての応募しか出来なかった、と言う訳です。このあたりも何だか、この人の強かさを感じさせられますよね。
ヨーロッパとアフリカは、非常に近いし、生物学的にもヨーロッパ人は、アフリカ人から発生したと言われていますから、DNAで出てきても不思議ではないような気がするんですけどね。だから、ひいひいおじいちゃんが黒人だった、なんてことではなくて、大昔に、アフリカの血が入っているとうことだけだったりして。日本人だって、ほら、北方系だとか南方の海洋族だとか、色々、混じっているみたいですしね。もっとも、この人の先祖の誰かに黒人の血が混ざった可能性は、あるかもしれませんけど。なんせ、アメリカの黒人は、アフリカの黒人と比べると良く分かりますけど、純粋な黒人と言うのは、少ない。まあ、奴隷時代にかなりお手付きがあった、と言うことなんでしょうねえ。(これも、大声では言えませんけど。)
でも、どこまでが、黒人で、どこからは、白人と言う線引きは、非常に難しいと思います。ちょっと、前までなら、見かけが白人なら、なるべく黒人の血が入っていることを隠して、メインストリームのアメリカ人で通したい、と思っていた人が大多数で、大声で、黒人だよ、って言う人は少なかったと思います。このマイノリティ優遇の浸透によって、世の中随分、変わって来たんでしょうね。
まあ、早い話、人間、誰でも得したいと思っていますから、何でも使っちゃおうと言うことなんでしょうけど。何だか、人間の強欲を見せつけられるようで、ちょっとねえ、です。
次回は、大学出願バージョンで、お話を続けたいと思っています。
それにしても、雪掻きどうしようかなあ。前の冬は、物珍しくて、自分でやっちゃいましたけど、段々と嫌になったし。。。では、どちら様もごきげんよう。