第3回 『どうやって大学授業料を払うか?』 | 双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子の子供を2人ともアイビーリーグに入学させた母親であるフレックスラーニングのシニアカウンセラーがニューヨーク近郊から発信しています。フレックスラーニングはアメリカ大学進学相談、オンライン家庭教師のプロです。

もう、9月も終わりですねえ。早い!犬を散歩していても、ハローウィーンの飾りが目につくようになって来ました。アメリカの私立大学の早期出願(アーリーディシジョン)の締め切りまで、残り1ヶ月。最後の追い込みです。エッセイ頑張って下さいね。

 

受験生も、大変ですけど、スポンサーである親兄弟も、学費捻出の大仕事が佳境に入って来ました。10月1日から、所得申請受付(FAFSA)が始まりますからね。だから、2回にわたって、書いた『どうやって大学授業料を払うか?』シリーズを今日で、ひとまず終わりにします。役に立つと嬉しいんですけど。

 

州立大学の学費免除は、低所得者層と成績優秀者を優遇するお話をしました。それから、アイビーリーグとか、それと比較しても劣らない超人気のトップスクールは、応募者がたくさん居るので、低所得者のみの学費を免除すると言うお話を書きました。では、その他多くの私立大学は、どう対処しているのか?

 

(アイビーリーグの1つハーバード大学)

 

特に、この授業料の問題、リベラルアーツ大学には、深刻です。

 

リベラルアーツ大学と言うのは、教養学部のみの大学です。ここでも一応、専攻はあるのですが、コースは、職業に直結するような例えば、医学部とか工学部とかはありません。それよりも、学問のための学問、例えば、数学だとか、物理だとか、そう言う基礎学問を中心にクラスが提供されています。そして、学生は、自分の興味の赴くまま、他の分野のコースを自由に取ることが許されています。だから、本当の意味での学問をしたい人、まだ専門をどうしたいか分からない人、大学院に行きたい人、なんかにお勧めです。リベラルアーツを出てから、ロースクールに行ったり、メディカルスクールに行ったり、エンジニアリングに行ったり、というのは、良くある道筋です。

 

リベラルアーツは、アメリカでは、少数の優秀な学生を手厚く面倒をみて育てることで定評がありますけど、如何せん学生数が少ない。アイビーリーグを始め、普通の総合大学は、何千人と言う学生を取りますけど、リベラルアーツ大学は、数百人しか取らないので、収入の基盤も小さい。奨学金をバラまくわけには、行かない。だけど、収入源にならない『低所得者層の学生は要らない!』なんて大声で言えない。そんなことをしたら、イメージが悪いですからね。

 

まあ、成績優秀者と低所得者層が合致していれば、問題ないんですけど、残念なことに、SATやACTの点数は、裕福な家庭の子供の方が、点数が良いと言うのは、周知の事実です。そりゃあ、SAT/ACTの準備コースをお金を払って取らせたり、出来るんですから。だから、温情なしに言うと、成績優秀者は、低所得者の奨学金の対象にならないと言うことです。

 

前回にお話したUCサンタバーバラだとか、UCサンディエゴのお話を覚えていますか?UCバークレーやUCLAから、優秀な学生を奪うために、奨学金を喜んで出す、と言うお話。ここでも同じ図式が当てはまります。優秀な学生をアイビーリーグから奪いたいリベラルアーツカレッジは、工夫して、成績優秀者に奨学金を出そうとしています。だって、低所得者層の学生に手厚くお金を出していたら、成績優秀者への奨学金が出せないですからね。

 

じゃあ、具体的に優秀な学生を集めるためにどうしているのか?学費全額出なくても、例えば、理数系の学生を集めたいとかの目標を設定して、理数で高得点を取っている学生に魅力的な奨学金を出す。お金持ちの子供達でも、関係なく、出す。子供達も、自尊心がくすぐられる。収入面から、あまり恩恵を受けることのないミドルクラスの親も、嬉しい。で、低所得者層にも、まあ、体裁が悪くない程度出す。ビジネスですからね。

 

低所得者層の学生、家族で初めて大学進学する学生、マイノリティの学生(ヒスパニック、黒人、アメリカインディアン等。アジア人は人数は少ないけれど、ここには入らない。)を積極的に入学させることをうたっている大学は、世間体はいいですが、特に小さい大学は、経済的に内情大変であると聞きます。授業料と言う収入を閉ざされ、奨学金と言う出費のみ嵩むんですから。あまり、いいビジネスモデルとは、言えませんねえ。損益分岐点を見極める必要があります。

 

今年、『学生ローンは全額免除!』なんてアイビーリーグの1つブラウン大学は、高らかに発表しましたけど、この学生ローン、曲者です。大学卒業後、このローンを背負って、学生たちは、四苦八苦なんて話があるので、ブラウン大学はいい感じで、アピール出来ましたよね。でも、授業料、ミドルクラス以上の親は、親のローンというのもありますからね。お忘れなく!

 

(アイビーリーグ1つブラウン大学の寮)

 

学費から諸々の奨学金を差し引いて、学生ローンも差し引いた金額が親が払えると思われた額と言うことになります。で、この金額の方が、圧倒的に学生ローンより大きい!もちろん、言われたら、そのままその時に払ってもいいんですけど、家を売りますか?売らないでしょ。じゃあ、定期を崩しますか?株を売りますか?市場が悪いかもしれないんですよ。で、親は、取りあえず、出せと言われた金額を借りて、支払って、卒業後、何年もかけて返して行く、と言うのが普通です。いやはや、借金地獄。4年で出てくれても、親の負担は、$200,000 (2千万円くらい)になります。うーーん、厳しい!

 

日本からの留学生には、低所得者への奨学金は出難いかもしれませんが、海外学生の奨学金もあること、(多くはないみたいですけどね)それから、成績が優秀なら出る奨学金もあります。(アイビーリーグじゃなければ、ですけど)

 

で、『どうやって授業料を払うか』の結論は、どうやってお金を捻出するか?と言うよりも、まずは、どれだけ、学費を免除してもらえるか、でろうかと。もちろん、資産の開示をする時に、開示しなくても良い部分に出来るだけ、移動させておく、とかの小手先の対策は出来ますけど。

 

とにかく、学費を全く免除してくれない大学に行く意味があるのか、それとも、自分を認めてくれる大学に行って、優遇措置を受けるのか、よーーく考えて、最終決断をすることになるんじゃないですかね。そのオプションを残すためにも、まずは、お勉強に励んで下さいね。それと、注意深く、大学を選ぶこと。どこなら、どの奨学金が出そうか。どこなら、親兄弟が仕方ないなあ、と言ってくれるのか。

 

いずれの選択をするにせよ、ご両親と、弟、妹の為に死ぬほど働いてくれるお兄ちゃん、お姉ちゃんの温情に深謝と言うことで。


アメリカ私立大学共通エッセイ題目

 

フレックスラーニングのサービス