第2回 アメリカ版『孟母三遷の教え』 | 双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子の子供を2人ともアイビーリーグに入学させた母親であるフレックスラーニングのシニアカウンセラーがニューヨーク近郊から発信しています。フレックスラーニングはアメリカ大学進学相談、オンライン家庭教師のプロです。

お約束通り、いよいよ少女Aのお話です。

 

少女Aは、LA郊外の不動産の高い地区にお母さんと二人で、住んでいました。お父さんは、台湾に会社を持っていて、せっせとそちらで、働き、二人に仕送りをしていました。

 

(少女Aが母親と住んでいた市にある公園)

 

ご存知のように、台湾は、戦後、中国との関係が良くなったり、悪くなったり、将来の行く末も流動的だという状態が長く続いていたので、お金持ちは、いつ何があっても良いように、アメリカに逃げ込めるよう布石を打っています。まず、子供をアメリカで産む。日本と違って、アメリカ国籍は、ご当地主義で、不法滞在の子供であろうと、アメリカ国内で生れれば、国籍が獲れます。それで、沢山の台湾人女性は、大きいお腹を抱えて、アメリカにやって来て、子供を産みました。少女Aもそんな子供のひとりです。(1回目の引っ越し)

 

ついでに言うと、台湾のお金持ちは、もう、出尽くした感があって、今は、中国人が同じことをしているようです。実際、そう言う身重の女性を収容するアパート経営と言うのが闇であって、それが3、4年前、問題になりました。そんなアパートの近所に住んでいる住人が、入れ替わり立ち替わり、住人が変わるアパートを怪しんで、警察に通報したのが発端でした。アメリカの事情もわからない女性を世話をして、産婦人科を紹介して、通院もさせる、と言うサービス業者の経営するアパートだったのです。お金があれば、国籍も買えちゃう、ってお話です。

 

少女Aの母親は、知り合いのお宅にご厄介になって、少女Aを産み、台湾に戻ったそうです。(これは、ご本人から直接聞きましたから、間違いないです。)そして、アメリカの正式な義務教育の始まるキンダー(幼稚園の年長)が始まる時に、カリフォルニアの公立学校区ナンバー1の地区に、高い家を買って、母娘生活を始めました。(これで、2回目の引っ越し)因みに、この学校区は、豪邸が並んでいますが、少女Aの家のような台湾人のお金持ち集まっていることでも有名です。

 

余談ですけど、散々、お話に出したビバリーヒルズ。これも学校のランキングが高いですけど、こちらは、パーレビ革命の時にイランから逃げて来たお金持ちのユダヤ人が集まっています。アメリカに住むと、世界の政治情勢の変化を身近に感じることが出来ます。ビバリーヒルズの学校は、そんな父兄が多いので、お知らせは、英語とペルシャ語の二本立て。少女Aの学校区は、英語と北京語の2本立てです。こんなちょっとしたことからも、世界を覗くことが出来ます。面白いですよね。

 

少女Aのお話に戻ります。引っ越した地区は、勉強熱心な親が集まっていて、大学進学率もほぼ100%。大量にUCLAを始めとするカリフォルニア大学に生徒を送り出しています。人口わずか2万の小さい市なので、小学校から高校まで、みんな文字通り、一緒に育ちます。全員、言わば、幼馴染。ここでは、小学校時代は、優秀な子供を集めるクラスを別に作らず、全校上げて、優秀クラスの授業をしているような学校区です。『アメリカ人』の少女Aを養うと言う名目で、母親はビザを取得し、高級住宅街に居を構えて、子育てのみに注力し、夏休み毎に、夫のいる台湾に戻ると言う生活をしていました。

 

ところが、この学校区にいると、思わぬ障害に気が付いたのです。そう。皆んな賢い!

 

カリフォルニア州は、恵まれていない子供たちにも高度教育を解放しよう、と言う主旨の元、州内のどんな高校に居ても、上位9%にいれば、無条件でカリフォルニア大学にいれてくれます。公立大学とは言いながら、有名私立と並んで称されるUCバークレーやUCLAを筆頭にして、カリフォルニア大学は全部で10校ありますが、その中のどこかに必ず入学が許可されます。保証されるのは、下位のリバーサイドだとかメルセッドとかになりますけどね。で、その学校区だと、上位9%なんて、メチャクチャ大変な訳です。実際、200人しかいない1学年で、100人は、カリフォルニア大学に進学するんですから。そこの上位9%は、有名私立狙いですしね。そして、有名私立を狙うとなると、その学校での成績がオールAとかじゃないといけない訳で、賢い生徒ばかりいる学校だと、テストも難しいし、競争率も高いし、好成績確保も難しい。

 

少女Aは、中学から高校に進む時の判定試験の結果、優秀な生徒の入れる特進クラス(オナークラス)に入れなかった!これに入れないと、先々、アドバンスドプレースメント(AP)と言う、大学レベルのコースまで到底、辿り着けない!で、母はどうしたか!ご名答!引っ越しました。(これで、3回目の引っ越し!)

 

高級住宅街の家をそのままにして、その家から一番近いブルーカラーの集まる地区に家を借りて、高校の1年の後半に、引っ越しました。ほとんど、実際には、住まなかったみたいですけど、住所が必要ですからね。(じゃあ、引っ越した、とは言えないか!)そこは、大学進学率も高くないし、競争率も低い。その高校での成績判定テストは、もちろん、その学校のレベルからすれば、ピカピカ!で、難なく、特進クラス入り。その中で、Aをキープ出来ました!そこで、卒業の時は、1番だったとか。

 

少女Aは、どこの大学に入ったのか。UCバークリーにも受かりましたが、アイビーリーグと比べても遜色のないノースウェスターン大学に進学しました。学年1何ですからね。ちょっと、凄いでしょ。元の学校区からもノースウェスターンへの進学者を出しましたが、こちらは、ずっとオーナークラスで、ふらふらになりながら、頑張った白人の少年ただ一人。『孟母』(いや、猛母か)やりましたねえ。

 

(ノースウェスタン大学)

 

ずっと教育環境の整っていな学校区で育つと、勉強癖をつけるのが大変ですけど、少女Aの場合は、小さい時から切磋琢磨される環境で育って、基礎力を作ってから、最後にレベルの低い学校に行って、そこでスーパースターになったと言うお話です。ホント、作戦勝ち!

 

次回は、ついでに、学校を転々とした韓国人の女生徒のお話をします。これも、ちょっと凄いです。乞うご期待!

 

フレックスラーニングのサービス