孟母ですよ、猛母じゃなくて。でも、やることを考えると、猛母かもしれないけど。
孟子のお母さんは、『子供の教育は、環境が大事』って言って、息子がきっちり勉強出来るようになるまで、引っ越しをして環境を整えました。どこの親も、昔から子供の勉強には、熱心だったというお話ですけど、どちら様も、出来るだけいい学校に子供を入れたい、と思っていますよね。
『いい学校に行かせたい!』ということを考えると、公立だったら、学校区のどの高校にしようか、私立だったら、いつからどこに行かせようか、と逡巡するんでしょうけど、アメリカでもまあ、そうです。しかも、アメリカの場合、公立高校なんて、その学校区に住んで入れば、無試験なんですから、どの高校に入れるか、を考える時、ちょっと、日本と違って来ます。
私立と言えば、アメリカで一番に考えられるのは、プレップスクールです。東海岸には、伝統的に、寄宿舎のある進学校、ボーティングスクールがあります。そこから、アイビーリーグに行く、というのが基本路線ですが、これは、お金も高いし、親元を早くから離れないと行けないし、中々、決心は難しいですよねえ。私立のプレップスクールは、ボーディングスクール以外に、日本と同じく通学出来る学校も各地にあります。いずれにせよ、こういう私立に子供を行かせるのなら、”猛母”は、引っ越ししないで、単に、子供のお尻を叩いて、お受験の準備をして、突っ込むというパターンになります。
私立に行くと、大学向けのお勉強は充実しますけど、学校の施設も小さめですし、生徒数も少ない。だから、公立と違って、スポーツチームも充実していないし、課外活動も制約されます。映画に出て来るような、カッコいいフットボール選手がいて、憧れのチアリーダーがいて、というパターンは、やはり公立でしかお目にかかりません。親にしてみれば、子供の色恋沙汰は、あまり関係ないどころか、ウェルカムじゃないと思うかもしれませんけど、子供が世の中でやって行くための経験値を上げる為には、結構必要かと。可愛い彼女をゲットすることで、自信もつきますしね。逆も然りでしょうけど。
なんやかんやを考えて、公立に行かせよう、という結論に辿り着くのが、アメリカでは、大多数です。それで、どの学校に入れるか、が問題になって来る訳です。覚えていますか?筆者が先日書いた『アメリカの学校の正しいお金の集め方』というブログを。ビバリーヒルズのお話をしましたよね。父兄がどれだけ力を入れて、学校を支えるか、というお話でした。
アメリカの各州は、統一テストを実施して、それぞれの学校のランクづけをしています。テストの本来の目的は、基本指導要項に沿って、どの学校も子供を教育して、きちんと成果が出ているか、をチェックすることですが、副産物として、学校の出来不出来があからさまにされる訳です。自分たちの評価に響く教師たちの野心と、子供をいい学校で教育したいという父兄の希望がうまく合致して、このランクづけは、ますますエスカレートしています。
そうです。成績のいい子供のいる郊外の学校は、ますます、点数を上げて、都市部の生活保護をもらっている家の子供が通う学校との差をますますつけています。だから、就学年齢の子供を持つ親は、出来るだけ、上位ランキングの学校に通わせたと思うわけです。もっともでしょ。公立は、タダだし、誰でも入れるし。
学校は、タダなんですけど、問題は、ランキングの高い学校のある学校区の不動産は、そのランキングに比例して高くなります。世の中、甘くないですね。私立に行かせて、授業料にお金を使うのか、それとも、優秀な学校区の高い不動産物件を買うのか。これも悩みどころです。家の安い地区でも、マグネットスクールに通わせるという手もありますから、この問題は、もっと複雑になりますけど、今回は、学校区を巡る攻防を中心にして、お話します。
で、『アリシアのお母さんが実際に何をしたのか?』についてお話ししようと思います。
『この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。』と言うことは、全くなく、実話です。マズイ?じゃあ、名前を変えます。『少女A』と言うことで。
設定が出来たところで、次回から。ごきげんよう!