その5ーアメリカの子供の正しい夏の過ごし方 | 双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子の子供を2人ともアイビーリーグに入学させた母親であるフレックスラーニングのシニアカウンセラーがニューヨーク近郊から発信しています。フレックスラーニングはアメリカ大学進学相談、オンライン家庭教師のプロです。

子供たちの夏は、もう終盤です。カリフォルニア州の学校の多くは、もう新学期が始まってしまいました。州立大学の中には、もう新学期が始まった所もあります。私立大学も、アスリートは、シーズンが始まるので、大学に戻りました。新入生のオリエンテーションも、開催されつつあります。と言うことで、『アメリカの子供の正しい夏の過ごし方』も今回で、終わりです。

 

(そろそろ、犬が枕にしている代数の教科書を取り戻す必要があるかも)

 

夏休みは、スポーツキャンプと並んで、音楽キャンプも盛んです。スポーツキャンプと違って、直接、スカウトに結びつくと言うことはありませんが、大学進学や将来を見据えて、音楽キャンプに参加する子供は、たくさんいます。

 

政治を目指すか、音楽を取るか真剣に悩んだクリントン大統領が、高校生の時に行った音楽キャンプが、人生で最も楽しい時間だった、と自伝に書いてましたけど、若い時に同じ目的、同じ趣味の友達、ライバルを得るというのは、孤独な音楽の修練を続けるためにも、役に立つことなのかもしれません。クリントンは、機会がある毎に、お得意のサックスフォーンを演奏するのが、アメリカ人には、人気でした。そう言えば、中国に公式訪問した時に、丁度、コンサートをしていた弟のロックバンドに飛び入りで参加して、喝采を得た、なんてエピソードもありました。音楽は、無駄になっていないんですねえ。今、気が付いたんですけど、公式訪問の時にも、自分の楽器を持参していたと言うことですかね。ちょっと、嬉しいかも。

 

音楽キャンプにも色々な形があります。小学生の頃から、参加出来るもの、大学が提供するサマースクールの一貫としてのもの、音楽祭の一部としてのもの、有名な奏者に集中レッスンを受けられるもの、色々です。スポーツキャンプと一緒で、高校生レベルまで来ると、本人の覚悟が必要ですが、小学生レベルのものに参加するのも非常に意味があると考えられています。将来的に、音楽をさせたい、したいと思っていれば、真面目に取り組んでいる他の子供たちに小さいうちに会って、切磋琢磨させることにも意味がありますし、自分がどのくらいの位置にいるのかを知るというのも、役に立ちます。覚悟が出来ますから。そんな子供達が世界中から集まって来るのが、ミシガン州にあるインターラーケンです。

 

インターラーケンには、誰でも入れる訳ではなく、半年前に、自分の演奏している録音、録画を送って審査を受けます。ですから、ここに行くと、その世代でトップクラスの子供たちに会うことが出来ます。インターラーケンは、何と、このアメリカで、キャンプ中に制服を強要することで有名です。夏休み中ですよ!普段ですら、制服がないアメリカで、ですよ!女の子は、膝上の今の常識から考えると長めのショーツ(キュロットの方が近いイメージ)が規定ですが、正式な集まりの際は、ニッカボッカーという日本では、とび職の親方しか履いていない、あのぼってりしたズボンを履かせられます。男の子は、正式な集まりの時は、もちろん、長ズボン着用。ですから、ここのキャンプに行くと、100年前に戻ったかのような錯覚を覚えます。もちろん、携帯もコンピューターも許されていません。親への連絡は、公衆電話からのみ。こんな体験を今時の子供にさせるのも一興であるかと思います。最近では、音楽以外に、バレエや、アート、演劇の子供たちにも門戸を開いています。

 

(インターラーケンのカフェテリア)

 

高校生レベルなら、インターラーケンのようなキャンプが、例えば、マサチューセッツのタングルウッド、カリフォルニア州のアイドルワイルドにもあります。それから、音楽祭と称して、有名なソリストが教えてくれるキャンプもあります。あの有名なイーザック・パールマンが主催するバイオリンのサマーキャンプなんていうのもあります。こういうのに参加するには、推薦やオーディションのビデオを準備して、合格する必要があります。本気で、音楽に取り組んでいる才能のある学生のみを集めていると、考えるといいでしょう。事実、そう言うキャンプには、音大もリクルートに出かけて行きます。

 

夏には、学生対象のコンクールも多々あります。アメリカでは、芸大でなくても、普通の大学の願書にも、アート作品や、楽器を演奏しているビデオを提出して、自分の興味や特技を披露して、アピールすることが出来るので、子供の時から、頑張ってやって来た音楽を無駄にすることは、ありません。

 

何をするにせよ、大学進学のことだけを考えながら、夏休みを過ごすと言うのは、あんまりですから、少なくとも自分探しに使う時間だと思うといいかもしれませんね。それと、サマースクールやサマーキャンプで、ちょっと可愛い子やイケメンに会えるかもしれません。そんなことでも思いながら、頑張って下さい。きっとイイことがあります。グッドラック!

 

それじゃあ、このシリーズの続きは、来年と言うことで!皆さまも、新学期に向けて、ネジを巻き直して下さいね!