その4ーアメリカの子供の正しい夏の過ごし方 | 双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子の子供を2人ともアイビーリーグに入学させた母親であるフレックスラーニングのシニアカウンセラーがニューヨーク近郊から発信しています。フレックスラーニングはアメリカ大学進学相談、オンライン家庭教師のプロです。

 

ニュージャージーにある筆者のオフィスの窓からは、ここ2、3日見えるのは、曇天ばかり。カリフォルニアでは、山火事が猛威を奮っていることを考えると、別世界にいるような。東海岸に移って来て始めての夏。知識で知っているのと、体験するのでは、大違い。日本でも激しい夏のようですが、どこも天候は、極端化しているようですねえ。異常気象お見舞い申し上げます。

 

 

今回は、スピンオフです。テレビドラマでも漫画でも、人気のある作品には、スピンオフ作品と言うのがありますけど、このブログも、サマースクールとスポーツキャンプからのスピンオフです。筆者のブログが人気だったかと言うことは、棚上げで宜しくお願いします。始めたばかりですから、ご愛嬌と言うことで。

 

人生、気がついたらずっと野球をしていた、と言う知り合いの坊ちゃんがフル奨学金をもらって、今年ディビジョン1の大学に入ることになりました。その大学は、ディビジョン1の中でも、野球の名門校で、プロ選手を数多く生み出しています。だから、これは、凄い快挙です。

 

アメリカでは、各大学は、所属しているリーグによって、ディビジョン1、2、3に分けられます。レベルはこの順番。ディビジョン1大学には、それこそ高校ではスーパースターの選手のみがスカウトされて入ります。その選手のレベルによって、奨学金の額も決まります。この選手たちは、いわゆるその大学の広告塔で、スポーツ中心のカリキュラムで大学生活を送ることになります。このディビジョン1の大学の試合は、全米でも放送されることが多々ありますし、プロのスカウトが注目しています。但し、アイビーリーグ大学もこのディビジョン1に属していますけど、別扱い。アイビーリーグ大学には、自負があって、スポーツだけ出来る学生は、取りませんし、スポーツ奨学金も出しません。いずれにせよ、この坊ちゃんは、凄い。

 

ディビジョン2は沢山の州立大学が属しています。奨学金も一部出ます。ディビジョン3は、有名私立、例えば、シカゴ大学とか、ニューヨーク大学とかが属していて、文武両道を目指す学生向きです。ここに入るには、大学からスカウトされる必要もありますが、普通の学生と同じように合格する必要があるので、結構、それなりに厳しい道です。ディビジョン3では、アスリート用のコースは、用意されていません。それから、スポーツ奨学金もありません。ここからプロになることは、稀ですけど、きちんとお勉強も出来る訳ですから、将来、有望です。

 

この坊ちゃんの一家は、親子共々、年中、野球漬けで、それはそれは、でした。家の庭には、バッティングケージもありましたし、ピッチングマシーンも備え付けてありました。因みに、この坊ちゃんは、左投げの速球投手です。野球のための体作りの目的で、小学校時代は、水球までしていました。この努力がかなって、高校の1年(日本でいう中3)の時に、メージャーリーグが持つユースリーグのチームにスカウトされて入り、試合のために全米を飛び回っていました。(これは、飛行機代もホテル代もチーム持ち。)このユースリーグにいると、メージャーリーガーのパーティーにも親子一緒に呼んで貰える、と言う特典までついています。筆者の友達は、いつもの練習の時は、父親任せでしたが、そのパーティーだけは、嬉々として出かけて、写真をいっぱい撮っていました。いやあ、羨ましい!

 

坊ちゃんは、高校の1軍には、高1(9年生・中3)の時から入っていて、その時から投げる、打つどちらでもスターでした。ローカル新聞にもその活躍が報道されていましたが、それでもスカウトを確実にするために、自費で大学やプロのスカウトに技術を見せるショーケースだのに出かけていました。高校のチームにもクラブチームにも両方入っていますし、家でもトレーニングしているんですから、起きている人生のほとんどの時間は、野球をしていた、と言っても過言ではありません。古いですけど、星飛雄馬みたいでした。

 

高2の時には、既に、複数の大学からリクルートされていました。その中には、アイビーリーグ大学もあったようですけど、一番プロになる道が拓けている大学で、奨学金が良い所、と言う観点から、カリフォルニアの有名私立を選びました。めでたし、めでたし。後は、肩を壊さず、良い記録を維持しながら、高校生活を過ごせば、と、終われば良かったのですが、彼にとって、まさか!のどんでん返しが起こりました。スポーツ漫画でも、あまりに順調だと、面白くないですからね。要は、スポーツ入学とは言え、一応有名私立大学なので、他の学生との兼ね合いもあり、余りに無残な学業成績は、マズイ、と大学側から言われたのです。ああ、無情!

 

真っ青になったご両親から、筆者は、仕事柄、相談を受けました。アメリカの若者風に言えば、”OMG!" (これは、オーマイゴッドの短縮版)状況です。Dが並ぶ通知表をどうにかしないといけません。それで彼は、高3(11年生)になる前の夏休みを野球ではなく、通っている高校の提供するサマースクールにせっせと通い、授業の取り直しをすることになりました。目標はC。笑ってはいけません。彼の人生、野球しかやって来なかったのですから。それに、良い成績を取るよりも厳しい世界で、トップにいるんですから、私たちは、笑える立場にはありません。やる時は、やる。スポーツで養った根性で、サマースクールの後は、生まれて初めての塾通いまでして、見事、3教科BとCを手に入れました。良かった、良かった!筆者もご両親と一緒に冷や汗をかきました。

 

 

ね、スピンオフだったでしょう。本当は、スポーツキャンプに行くべき高校生がサマースクールに行ったんですから。この坊ちゃんには、大学に本当に入学するまでには、もう少し、エピソードがあります。別の機会に、お話したいと思っていますので、乞うご期待!