その3ーアメリカの子供の正しい夏の過ごし方 | 双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子の子供を2人ともアイビーリーグに入学させた母親であるフレックスラーニングのシニアカウンセラーがニューヨーク近郊から発信しています。フレックスラーニングはアメリカ大学進学相談、オンライン家庭教師のプロです。

皆さま、猛暑の中、いかがお過ごしですか。

 

久しぶりに、蝉のE♭で出す羽音を聴きながら、仕事をしています。イライラするくらい、夏だなあ、という実感を30年ぶりに感じております。長年、住み慣れた南カリフォルニアからニュージャージーに移り住んで、初めての夏ですが、暑いし、煩いし、雷つきの夕立があるし、ホント夏です。寝る前に、犬の散歩をすると蛍まで見かけます。マンハッタンからハドソン川を挟んで直線距離で、たった3キロしか離れていないんですけどね。その点、カリフォルニアは、乾燥していて、蝉もいないし、蚊もいないし、蛍なんて見ることもありませんでした。まあ、四季がなかったですから、夏を考えることもありませんでした。で、夏です。

 

 

引き続き、アメリカの子供が夏に何をしているか、のお話です。前回、前々回にサマースクールのお話をしましたが、皆んな勉強ばかりしているのか、というとそうでもありません。将来のことを考えて、スポーツキャンプに参加するのも人気です。

 

 

日本でも、夏休みに部活の練習だとか、合宿だとかありますよね。青春マンガには、予備校の夏期講習を受けて、頭のいい彼女と同じ大学に行くことが出来た主人公の話とか、部活の夏練に参加して、合宿に行って、先輩にシゴかれた主人公が頑張って、レギュラーの地位を獲得した、とかが出てきますけど、アメリカもまあ、同じです。でも、ちょっと違うのは、お金をかけて、自分の意志でスポーツ合宿に参加しないといけないことです。

 

小学生の頃は、親の趣味だったり、本人が好きだからと言って始めたスポーツも、学年が進むにつれて、取り組み方が変わってきます。中学で、1軍に入れると、『結構、俺ってやるじゃん』って思ったりして、『そのまま高校でも続けるかなあ』というのが人情かと思います。そうなるとまず、学校のサマースクールに組み入れられているスポーツ(大抵は、午後)のコースをやっぱりお金を払って、取る必要があります。これが結構、大切です。何せ、学校の新学期が始まる前に、コーチが実力を査定してチーム作りをしますから。

 

高校で、1軍に入っていて活躍していると、大学に願書を出す時にも、そのことが書けて、プラスになります。スポーツもすると決めれば、本気の取り組みが期待されます。大学側は、何に興味があって、どれだけ情熱を持って取り組んだのか、に注目しています。とは言え、アスリートとしては、それほどじゃなくても、キャプテンとしてリーダーシップを発揮したとか、いうのも大学には、好ましい材料です。遠征に行くための費用を、寄付を呼びかけて集めた、なんていうのは、凄く好ましいです。アメリカでは、集金能力というのは、非常に高く評価されます。こういう能力は、単に運動が出来ることよりも、社会で通用する能力があると考えられるからです。まあ、そうでしょうね。日本の政治家だって、そうですもんね。

 

さらに、大学出願時にアピールするだけじゃなくて、大学でもやっぱりそのスポーツをしたい、ということになると、もっと話は、大変で、学校のサマースクールでちょこちょこやっているだけでは、足りません。どうにか、スカウトの目に留まらないといけないので、色々な、トレーニングキャンプとか、リクルートキャンプに出かけて行く必要があります。大学のスカウトも広いアメリカ全土に、当てもなく出かけて来ませんから、どうしても志願者側からの働きかけが大切になります。

 

大学側は、夏に、1週間毎とかのサイクルでキャンプを開催しています。そこで、高校生は、コーチに自分を見てもらうべく、売り込みます。こういうキャンプは、エアコンの効いた予備校で、彼女の隣に座って、自分のペースで勉強するのと違って、暑い戸外で、しかもキャンプの期間中ベストな状態を維持しないといけないので、半端ないプレッシャーです。考えただけで、ストレスで胃が痛くなりそうです。しかも、1大学のキャンプじゃなくて、複数行く必要がありますから、結構なイベントになります。それに、色々な大学のスカウトやプロのスカウトまで来るショウケースというのもあります。こういうキャンプは、基本的に持ち出しですから、費用も半端ないです。やっぱり胃が痛いです。

 

ホント、アスリートの夏は、大変ですよね。いくら蝉が煩くても、エアコンの効いた部屋で、この雑文を書いている筆者は、大人で良かったなあ、と思っている次第です。それでは、高校生以下の皆さま、後、残り少なくなって来た夏を最後まで、有意義にお過ごし下さい。