旧盆も過ぎて、また厳しい日常生活に戻られたことと思います。小中高生の皆さんは、夏休みの終わりが見えて来て、ちょっと、マズイなあ、と思っていませんか?
アメリカでは、9月最初の月曜日であるレーバーデーが夏の終わりと考えられていて、学校もこの後に始まるというのが、普通でした。近頃は、世知辛い世の中になったというお話を前回しましたけど、学校区によっては、8月の半ばから新学期が始まっています。理由は簡単。大学進学のために高校生が必死で受けるAPテストという全米共通テストがあるのですが、それが、5月なので、受験重視の高校では、とにかくその準備が万全になるように、授業をその前までに終わらせようとします。ですから、逆算して、学校も早めに新学年を始めてしまおう、という魂胆な訳です。同じ学校区にある小中学校もしわ寄せで、開校が早まっているのです。いやはや。
日本でも、アメリカでも、学校は大学進学に向けて、突っ走っている感があります。ですから、子供達の多くも、ロープにぶら下がって、遊んでいることも出来ずに、夏休みは、学校区(表向きは、PTA主催)が提供するサマースクールという夏期講習・補習に行かされるというという羽目に陥っています。
サマースクールは、終業式が終わってすぐから始まって、だいたい6−8週間くらい続きます。だから、夏休みと言っても、やっぱり学校に通います。このサマースクールは、小学校にも、中学校にも、高校にもあります。小学校の段階では、算数、英語の教科以外に、理科の実験クラスだとか、映画を見て話合うクラスだとか、アートとかゴルフのクラスなんて言うのまで、あったりします。中学生の場合は、特に、補修中心になります。高校は、補修が必要な生徒のためのクラスもありますが、通常、1年間とかでやる授業を集中的に行うクラスが人気です。これで、例えば、夏に一気に世界史を取ってしまって、学校が始まったら、これはもう済んでいるからスキップして、次のレベルのクラスが取れると言うわけです。もう、ここまで来ると、日本の学校の補習どころでは、ありません。普通の学期です。夏学期。きちんと、中間・期末テストまであって、通知表に成績も載ります。
さっきも、ちょっと言いましたけど、アメリカの進学校では、AP(アドバンスド・プレースメント)コース、つまり大学レベルのコースを教えています。一流大学は、どのAPをいくつ取ったか、合格判定の際に考慮するので、一流大学志望の学生は、APコースに辿りつくために、夏休みを利用して、普通のコースを出来るだけ終了しようとする努力をしています。高校側もよくそのあたりが分かっていて、集中授業をし、きちんと成績を出してくれます。高校のカリキュラムは、普通にやると高校在学期間中かかってしまいますから、それを短期間に済ませて、大学レベルまで行き着くには、どうしても、サマースクールを使う必要がある訳です。息が抜けない!せめて、密かに思いを寄せている彼女の背中を見ながら、授業が受けられることを祈るばかりです。グッドラック!
サマースクールのクラスは、その学校区の学校に在籍していなくても、取ることが出来ます。ですから、自分の高校では、オファーしていない教科も隣の市の高校で取るというのも可能です。もっと言えば、日本人の子供もアメリカのサマースクールに通えるということになります。
少し値段は高いですけど、私立校、プレップスクールにもサマースクールがあります。ですから、夏だけでも、プレップスクールの授業を取ることが可能です。例えば、高校からその学校に行こうかなあ、と考えている中学生は、その学校の授業を受けてみることが出来ます。面白いのは、春先、結構、私立校は、日本の塾や予備校のように、夏季講習の宣伝をしています。
大学も高校生向けのクラスを提供しています。こちらの方は、願書を出して、受かる必要がありますが、その大学で寝泊まりして、大学教授の講義を受けるという擬似大学生体験ができます。大学側も優秀な学生を集めたいと思っていますから、いいスクリーニングになりますし、学生の方も、キャンパスライフを経験することで、志望大学の絞り込みにも役に立ちます。大学によっては、大学の単位を出してくれるところもあるので、目的に合わせて選びたいものです。はっきり言って、これは、結構、高いです。公立のUCLAでも寮費と食費が入るので、2週間で$3,000くらいします。いやはや。
それでは、どちら様も工夫して、残暑を乗り切って下さい。