今日は中秋の名月そして満月の夜。
皆さんきっと空を見上げて「きれい~・・・」とつぶやいたことでしょう。
月にちなんだアーサナもいくつかありますが、今日ご紹介するのは「アンジャネーヤアーサナ」。
別名「三日月のポーズ」です。
「アンジャネーヤ」とは、神通力を持った猿「ハヌマーン」の別名。
上のイラストがハヌマーンです。
ハヌマーンの母の名が「アンジャナー」。「アンジャナー」の息子=「アンジャネーヤ」と呼ばれます。
同じ一匹のお猿さんの呼び名ですが、アーサナとしては別の形を持っています。
「ハヌマーンアーサナ」は、前後開脚で両腿をぺったり床に着け、両腕を頭上に上げるポーズ。
「アンジャネーヤアーサナ」は立った状態から足を前後に肩幅の3倍くらいに広げ、前になった足の膝を90度位にを曲げて腰を落とし後ろの足の膝から下を床につけ、両腕を頭上に上げて上体を後ろに反る・・・というポーズです。この反った背中と腕と足の曲線が「三日月」の弧を描くところから「三日月のポーズ」とも呼ばれるのです。
美しいアーサナですね。
さて、「アンジャネーヤ(ハヌマーン)アーサナ」が持つ物語・・・
「ハヌマーン」のお話はヒンズー教の聖典にもなっている叙事詩「ラーマーヤナ」に紹介されています。ハヌマーンはインド神話におけるヴァラナと呼ばれる猿族の一人です。
<エピソード>
猿の王都キシュキンダーの王スグリーヴァは、兄ヴァーリンによって都を追われてしまいます。
スグリーヴァは、世界を維持する偉大な神様「ヴィシュヌ」の化身である「ラーマ王子」に助けを請い、ラーマ王子はヴァーリンを倒してスグリーヴァの王位を回復します。
ハヌマーンはその際スグリーヴァに使え、スグリーヴァの王位回復の後、ラーマ王子に請われて、魔王ラーヴァナに捕らえられ行方不明になった王子の妻「シータ妃」の捜索に力を貸します。
ハヌマーンは空も飛べると言う偉大な力を持ち、王妃が囚われているランカー島を見つけ出し、島に渡る際には、はるか沖に浮かぶ船に一足跳びで跳び乗ったとされています。この一跳びに海をまたぐ姿が、足を前後に広げるポーズである「ハヌマーンアーサナ」や「アンジャネーヤアーサナ」の名前の由来だということです。
ハヌマーンはランカー島で獅子奮迅の働きを見せ、シータ妃は無事救い出されます。
ちょっと桃太郎を彷彿とさせるお話の展開ですね。
また、戦闘で傷ついたラーマ王子の弟ラクシュマナの傷を直す薬草を採るためにヒマラヤへ上り、薬草が生い茂った地面を山頂ごと担いで持ち帰ったとされ、身体の大きさが変えられたり空を飛んだりと、様々な神通力を持っているため、「孫悟空」のモデルになったお猿さんだとも言われています。
インドに生息する「ハヌマンラングール」という猿は、この猿王ハヌマーンの眷族とされ、手厚く保護をされているそうです。
また、この神通力を持った猿ハヌマーンは、「ハヌマーンに頼めばどんな困難な問題でも解決してくれる」と信じられ、民間の信仰の対象として今でも人気が高い存在なのだそうです。
日本でも蛇や狐が神様の使いとして信仰されていたりしますね。
身の回りの様々な生き物や物に神性を見出す気持ちは、世界のいたるところに共通にあるようです。
このダイナミックで想像力豊かな物語は、現代の私たちが読んでも今なお新鮮です。
猿と神様の化身が仲間になったり、戦ったり、山を担いだり・・・ぶっ飛んでますな(笑)
アンジャネーヤアーサナはこの形。

