小学校の入学式の前日の夜、
胸がドキドキして眠れなかった。
新しいランドセルを背負い、
母と手をつないで小学校の門をくぐると、
目の前にはたくさんの親子の姿があった。
クラス発表で「1年2組」と書かれた自分の名前を見つけたとき、
真っ先に思ったのは
「知っている人はいないかな?」
ということだった。
けれど、
知り合いの名前は見当たらなかった。
その瞬間、
胸がきゅっと縮むような感覚に襲われた。
知らない人ばかりの環境でどう振る舞えばいいのか分からない。
そんな不安は、
あの頃も今も変わらない。
大人になった今でも、
誘われて参加した異業種交流会や飲み会のような場では、
かなり居心地の悪さを感じてしまう。
自分を客観的に見ているもう一人の自分がいる。
『こんな振る舞いでいいのかな』
『周りからどう思われているのかな』
と考えてしまう。
その自分自身からの視線が一番怖いのだ。
誰も自分のことを気にしていないと分かっていても、
自分自身が自分を見張っている感覚から逃れられない。
それはコンプレックスと言ってもいい。
なぜこうなったのか、
理由はまだはっきりしない。
幼稚園の入園の時も同じような不安を感じていたのを覚えている。
でも、小学校入学時の強い不安がその始まりだったのかもしれない。
名古屋の小学校は、
ひと学年に6クラスあり、
全校児童は1,200人以上の規模だった。
ボクにとってはそんなに多くの人がいる環境は初めてだったのだ。
あのときの教室の匂いや窓から見えた風景を思い出すたびに、
幼い自分が抱えた不安が胸に蘇る。
このように、ゆっくりと過去を振り返りながら、
今の自分を少しずつ理解していきたいと思う。
あなたにも、
知らない環境で自分を客観視してしまった経験がありますか?
その理由を探ることは、
過去の自分を受け入れる第一歩になるのかもしれません。
この旅はまだ続く。
焦らず、
少しずつ、
自分の過去と向き合いながら、
いつかこのコンプレックスを解消できる日が来ると信じている。

