幼い頃、祖母が電車に乗り込む姿を見るたびに涙が止まらなかった。

「帰らないで」と引きとめるボクに、祖母は必ず笑顔でこう言った。

「はいはい、今日は帰らんよ。明日帰るかねぇ」

祖母はボクにとって、ただ優しいだけの存在ではなかった。

強く、堂々とした生き様そのものが、幼いボクに安心感を与えてくれていたのだ。

祖母は母を生んで数年で祖父を亡くし、女手ひとつで母を育ててきた。

戦後間もない厳しい時代、シングルマザーへの偏見は日常茶飯事で、女性が仕事を得ることも簡単ではなかった。

それでも祖母は、昼は保険や化粧品の営業、夜は男性に混ざって土木工事と、誰にも負けない努力を続けた。

営業では九州トップの成績で表彰され、95歳まで現役を貫いた。

母が「若い頃は厳しい人だった」と言っていた祖母だが、ボクには一度も叱ったことがない。

ただただ優しく、何でも受け入れてくれる器の大きい人だった。

祖母がボクに教えてくれたのは、迷いなく自分の選んだ道を進む強さだった。

それは、幼いボクにとって安心感そのものであり、大人になった今のボクにとっても、生き方の基盤となっている。

祖母について語りたいことはまだたくさんある。

その教えや生き様は、幸せな人生を送るための見本そのものだ。

これからも祖母から学んだことを折に触れて綴っていきたいと思う。

『自分を信じる強さ』を胸に、ボクもまた自分の人生を切り開いていきたい。

そして、そんな教えを次の世代に伝えていければと思っている。