最終章は時間が切り刻まれて全てを解き明かす。在りし日のヤンの至福の顔、生き残ったラウは無間道を行く。警官として生きることを決めたラウに安息の日はない。サムが送り込んだスパイが警察にまだ潜んでいる。証拠を抹殺すべくその人間を追うが、彼もまた追われていた。
ラウはカウンセラーののリーに接触して情報を盗んだ。ヤンにとってカウンセリングは唯一の眠れる場だった。リーに思いを寄せ、ヤンが死んだ今、リーはヤンを思って涙にくれる。ビデオに写る柔らかなヤンの顔を知り、そこはラウに憧憬のようで、彼はヤンに自分を重ねた。妄想とも幻想ともとれる映像が挟まれる。
同じ警察にいる保安部ヨンの存在がラウを憔悴させた。ヤンを調べるうちに、ヨンがかつてのボスであるサムと接触していることを掴む。証拠を得るためヨンの監視を始める。しかし、ヨンのラウを見る目も怪しかった。
ラウの善人への渇望を描きながら、ヨンは果たして内通者なのか否か、尻尾を掴んだのはどちらか、本作もまたスリルを失わない。殉じた者の魂は引き継がれて残る。生きることのほうが地獄であるというような結末はとかく悲しい。
解説者の「必死さの差が出た」というようなコメントを聞いてテレビを消した。聞き間違いだったかも知らん。“大舞台を楽しむ”を実践し、結果を残す日本ハムを否定するつもりはない。しかしストイックにただ、勝利を求める落合中日の野球を誇りに思い、強さを証明するために切に願うことはただ一つ。
ある特定のチームを熱狂的に応援するのは修羅の道。思い通りになんて九分九厘いかず、今日のような全てが裏目に出る試合は拷問に近い。突きつけられた現実は厳しくとも、日本一だけを見据えるスタンスはシーズン前から変わっていない。中日は今年、悲願を達成する。
荒木にも待望のヒットが出たものの、打線の湿り気は早く払拭したい。ミスをして勝てないのは当たり前。流れが悪いのも世間的に中日が悪役のようで仕方ない。しかしうちはとてつもなく強いことを念頭に置いて、巻き返そうではないか。負ける器でないということを声を大にして言いたい。
1作目から翻って若かりし頃のヤンとラウ、ウォンとサムの交錯するそれぞれの運命、シンメトリカルな因果応報が描かれる。ノワールは健在だった。
ヤンが警察学校を除隊させられたのは、マフィアのハウが異母兄弟だったことが判明したからだった。そんなヤンをウォンが拾い、ハウの下に忍び込ませて潜入捜査をさせる。ラウも同時期、警察学校にいた。ボスであるサムに命じられてスパイとなる。香港はイギリスから中国に返還される激動の時代。マフィアのドンであるクワンが殺され、風雲急を告げていた。
クワンの次兄ハウが跡を継ぎ、4人の幹部は代替わりを機に上納金をためらった。しかしハウは辣腕ぶりを一瞬にして見せつける。4人が一堂に会して食事中、1本の電話で彼らは核の違いを知らされた。その場に立ち会った同じく幹部のサムは静観を決め込んでいた。クワンが死んでからちょうど4年後、4人はハウの手により同時刻に粛清された。サムにも魔の手が忍び寄っていたが、妻マリーの助言により難を逃れる。それぞれのシーンの緊張感たるや、カットを短く刻んで場面を切り替え、暴力が連動した。クロス・カッティングは他にも多く見られ、複数である主人公が偏りなく丹念に掘り下げられている。
ハウの逮捕に心血を注いでいたウォンだったが、相手のほうが一枚上手で窮地におとしめられた。ウォンの苦悶は続く。その部下、ヤンもまた苦悩を受け継ぐ。それは前作で知っていること。生き残っているラウにも次作で降りかかるだろうこと。
3つ年下の近藤真市から遅れること20年、山本昌はノーヒットノーランを達成した。1軍初登板が初先発にして偉業を成し遂げた彼とは対照的に大器晩成を地で行く、少なくとも僕が知る限りドラゴンズ史上最も尊敬されるべき男だと思う。1988年から4度の日本シリーズで先発投手を任され、今年こそは初勝利をあげてほしかった。逆転タイムリーを許して降板する昌の、あんな悔しそうな表情を今まで見たことがなかった。2戦目を落としてタイに持ち込まれたよりも、昌が残念でならない。
打線は八木に抑えられた。物怖じしない素晴らしいルーキーだった。第6戦までもつれた時は雪辱を。荒木のスランプが心配だ。
井上を歩かせて満塁策で谷繁勝負なんて、もし僕がアンチ中日だったら発狂する。その後も日本ハムは若さを露呈し、楽勝ムードかと思ったが、もっと相手のミスにつけこんでほしかった。何にせよ短期決戦は結果オーライだ。初戦を拾ったのは大きい。2年前を経験して中日のほうは緊張していなかった。
「このハゲ」を連発していた序盤から、川上は粘って終盤は「ナイスフサフサ」に言い換えた。立て直すことができるのはエースの称号に恥じない。ダイレクトで岩瀬に繋げるとは思ってもみなかった。井端が美技を惜しみなく見せて、どこか垢抜けないガッツポーズも冴える。
上位打線にヒットはなかったが、ウッズには必要以上に相手がびびり、森野は調子が良いようで、アレックスもおそらく気負いから解放された。順風満帆だ。
稀に見る配色のダウンジャケットを見つけてしまい購入に至る。季節的にまだ着れないにも関わらず、清算後の財布に札が1枚もなくなるこを承知で。冬が待ち遠しく、家でコーディネートを楽しんだ。あまりに派手で合わせづらく、逆にそれが良いのではないかと自分を肯定したが。
ポケットに手を入れるとその位置がちょうど腹に触れる。そこが、丸みを帯びていることを確認させられた。体重計に乗って愕然した。えらい勢いで太り中だった。このままではいけない。モテない。モテたい。この腹を引っ込めなければ。
日本ハムには勢いがある。新庄を中心とした楽しむ野球は脅威だ。しかし中日の日本一を信じて疑わない。キーマンに投手は中田、野手は荒木を挙げる。
同じ投手に2度やられては勝ち目が薄いことを中日ファン皆が知っている。ノー・モア・石井貴。両軍ともに先発は4人で回すと予想される。オーソドックスに行くならば中日は川上、山本昌、朝倉、中田の順で、日本ハムはダルビッシュ、八木、金村、武田勝だろう。10も年が離れた二十歳に川上が、半分の年齢に近い同じ左腕に山本昌が、2度辛酸を舐めることは許されない。というかあり得ない。諸事情で鬼気迫るピッチングを見せられても、考えのない(と思われる)朝倉にとってそれは無関係だろう。おそらく先発の機会が1度であろ う中田、4戦目をきっちり勝つことで自ずと優勝が見える。
打者では、井端と福留が大ブレーキになることを想像するのは無理な話だ。たとえ打てなくても井端はチーム・バッティングができる。福留が大舞台に強いのは周知の事実で、日本シリーズに賭ける意気込みも彼の場合は不出場だった2年前から容易に想像できる。ウッズに関しては打率を求めず早め、できれば序盤1,2戦のどちらかの浅いイニングでの1発で及第点である。恐怖心を植えつけるだけで良い。ただ好不調の波が大きい荒木が乗ること。森本の株を奪う帰還率が求められる。
負ける想像なんて微塵もしていない。それは過信ではなくあくまで自信である。古今東西これ以上の最強チームを僕は知らないから。
