第22話 決戦、九龍グループ | 坂道&ジャンルマルチブログ

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坂道シリーズを中心に、他の話題もたまに語るかも?なブログです。
現在の主な推しメンは遠藤さくら・賀喜遥香(乃木坂)、藤吉夏鈴・森田ひかる・山下瞳月(櫻坂)、小坂菜緒・正源司陽子(日向坂)です。

マジ女一行がクライシス財閥のクリーナーと、無名街のSWORD連合が九龍の構成員達と激しい抗争を繰り広げていた中、政府がカジノ建設計画を進めるべく、無名街の爆破セレモニーを全国中継で開催することが明らかになった。彼らが隠蔽しようとしている公害の証拠となる研究資料、そして有害物質に体を汚染されたスモーキーを連れた琥珀達、マジ女一行がセレモニーを阻止すべく動き出していた中、SWORD地区の中枢にある爆破セレモニーの会場では、多くの取材班やスタッフ、九龍と政府に癒着する一部の警察関係者が集まる中、カジノ計画の担当大臣が壇上に立とうとしていた。その様子を上の階から眺めていたのが、善信善龍、克也龍一郎、源龍海、家村龍美、上園龍臣といった九龍の会長達である。

上園「・・・源さん、家村さん。RUDEの頭を始末したという報告はまだないのですか?」

源「うるせえっ!・・・へへっ、今やってるよ?」

スモーキーを始末したという報告が届かないことに源は苛立っていたが、彼と共に刺客を差し向けている家村や善信は、未だに冷静さを保っていた。

家村「研究資料が見つからなくても、RUDEの頭さえ仕留められりゃガキ共に勝ち目はない・・・最悪の場合、無名街と一緒に消し炭になってくれりゃいいんですが」

善信「まあ、その辺りの後始末は植野と藤森に任せるとしてだ・・・克也、黒崎さんはどこで何してるんだ?」

克也「・・・親父の具合がまた悪くなって、屋敷に付き添ってるところだ」

善信「そうか・・・この計画が上手く運んだ暁には、そろそろ跡目の件も考えてもらわねえとな」

善信はスモーキー達の排除と無名街の爆破により、カジノ計画が順調に進んだ場合、自身が次期総裁として選ばれることを望んでいた。上園と共に不敵な笑みを浮かべる彼を、黒崎の派閥として動く克也、源、家村は静かに睨み付けていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、無名街の守りをタケシ達RUDEとノボルら山王のメンバー達に任せ、琥珀、九十九、雨宮兄弟、コブラ、ヤマト、鬼邪高の連合はバイクやダンプカーに乗り、スモーキーと研究資料を運びつつ爆破セレモニーの会場へと向かっていた。だがその道中、鬼邪高の番長・村山があることに気づく。

村山「・・・あれ、日向ちゃん達は!?」

司「そういえば・・・無名街に陣取る前から、達磨の姿を一度も見てねえな」

楓士雄「えっ、こんな時に尻尾を巻いて逃げちまったのか?」

轟「あの達磨に限って、そんなはずはねえと思うが・・・」

鬼邪高、山王、RUDEが無名街に集まり、Rascalsはマジ女の援護に向かっていた中、SWORD最後の一角である達磨一家がここまで何の動きも見せていないことに、動揺する村山や楓士雄達。すると、先頭を走っていた琥珀のバイクがブレーキをかけ、仲間達も思わず停車してしまう。

広斗「おい、何やってんだ!?」

日向「・・・よう、遅かったな」

広斗が先頭で停車した琥珀に怒鳴っていると、その前方から青年の声が聞こえた。一同が視線を向けると、そこには何かしらの装備を施したアメ車に搭乗する日向ら達磨の姿があった。

ヤマト「お前ら・・・何そんな所でのんびりしてんだよ!?」

加藤「あぁ?九龍と政府が無名街を吹っ飛ばそうとする動きを先読みしてやってたんだよ!」

日向「だが会場に続くこの先の道には、財閥が雇った羅千の囚人共がウロチョロといて、簡単には近づけねえ」

九十九「んなもん、蹴散らしゃいいだろ?」

加藤「そんなことやってる間に爆発したら意味ねえだろうが!」

日向「俺達が道を開ける!合図したら突っ切れ」

雅貴「・・・合図って?」

日向「まあ見てりゃ分かる・・・達磨流じゃ」

加藤「お前らはここで待っとれ!行くぜぇぇ~~っ!!」

加藤の号令と共に、日向率いる達磨は次々とアメ車を走らせる。道先の橋に集まっていた羅千のプリズンギャングもこれに気づいて襲い掛かろうとした瞬間、アメ車に装備されていたいくつもの筒から玉が放出され、煙を出しながら上空に飛んだ玉は色鮮やかな花火となって次々と舞い散っていった。

楓士雄「うおぉ~っ、すっげえ!」

司「花火・・・!?」

達磨が放った花火の衝撃に羅千のプリズンギャングだけでなく、楓士雄や司らも目を奪われていた。ここで村山が持っていた携帯のテレビ機能を繋ぐと、無名街を映していたセレモニー会場のモニターが花火によって覆い尽くされていたのである。

村山「あぁ~っ!日向ちゃん達が打ち上げた花火で、セレモニー会場がカオスになってる!」

コブラ「フッ、あいつら・・・」

スモーキー「・・・日向」

琥珀「あいつらも、お前が育った街を守る為に戦ってる・・・俺達も急ぐぞ」

スモーキーを同じバイクに乗せた琥珀、九十九、雨宮兄弟、コブラ、ヤマト、そして鬼邪高の生徒達は、花火の衝撃で動揺したプリズンギャングの群れを突っ切り、再びセレモニー会場へと向かう。囚人達は我に返って後を追おうとするが、その行く手を遮ったのが達磨一家だった。

日向「さあ・・・達磨の祭りを始めるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、さくらとゼロは負傷したツクヨミを抱えながら、九龍グループ総裁・九世龍心がいると思われる本家の屋敷へと足を運んでいた。3人は自分達を先へ行かせる為にマジ女校舎に残り、薬を投与した財閥のクリーナー達と1人で対峙するパルの事を気にかけていた。

さくら「・・・さっきの人、大丈夫かな?たった1人でクリーナー4人を相手にするなんて・・・」

ゼロ「あの人はクリーナーの事を知ってた・・・シャドウも驚くぐらいの顔だったから、多分心配ないでしょ」

ツクヨミ「はぁ、はぁ・・・うぅ・・・っ」

さくら「っ!菜緒・・・!」

クリーナーのバイオに刺された傷が疼き、苦しむツクヨミ。さくらとゼロは彼女を案じて、一旦身を休めることにした。

ゼロ「・・・さくら、アンタのスカーフ貸して」

さくら「えっ・・・?う、うん」

さくらが身に着けていたスカーフを借りたゼロは、道端で散らかっていたゴミの中からほんの僅かな長さの布を取り出し、その布を湿布代わりにツクヨミの腹の傷に張り、スカーフで結びつけた。

ツクヨミ「痛・・・っ」

ゼロ「あくまで応急処置って感じだけど、その内痛みも和らいでくるはず・・・だからって、後で無茶し過ぎるのも良くないから」

ツクヨミ「・・・分かってる」

ゼロがツクヨミの傷を手当てしていると、上空に無数の花火が飛び交った。琥珀達をセレモニー会場へ向かわせ、無名街の爆破を足止めさせる為に日向達が放ったものである。

さくら「花火・・・あれ、爆破セレモニーのお祝いで・・・!?」

ゼロ「いや、まだ空も明るいのに花火って・・・もしかすると、祭りの利権を仕切ってる達磨ならやりかねないか」

ツクヨミ「・・・フフ・・・凄いなぁ、SWORDの人達は・・・」

さくら「えっ・・・?」

さくらとゼロが色鮮やかな花火に唖然としている一方、ツクヨミは不意に笑みを浮かべていた。彼女は今も戦い続けている男達の名を1人1人上げながら語り始めた。

ツクヨミ「コブラ達は、道を外しかけた琥珀の心を取り戻して・・・ROCKYやスモーキーは、自分が傷ついてでも守るべきものの為に戦って・・・楓士雄は、どんな強敵が相手でも正面からぶつかって・・・村山も、一度タイマンを挑んだ私の思いを受け入れてくれた・・・琥珀と雨宮兄弟だって、大切な人を九龍に奪われたっていうのに・・・ただ怒りで拳を振るうんじゃなく、違う方法でけじめをつけることを選んでいた・・・彼らは、器が大きすぎる・・・復讐心に囚われていた私が・・・敵わないわけだ・・・」

さくら「菜緒・・・」

ゼロ「・・・アンタだって、これからそうなるよ」

ツクヨミ「・・・!」

ゼロ「あいつらが隠してる公害の事実さえ暴ければ、カジノ計画は中止になって九龍も潰れる・・・なのにアンタは、わざわざ頭の所に行って片を付けようとしてんだから、充分度胸があるよ」

ツクヨミ「・・・ゼロ」

さくら「・・・今の菜緒になら、どこまでも付いていける。だから菜緒も・・・私達のこと、もっと頼ってもいいんだからね?」

ツクヨミ「さくら・・・うん・・・ありがとう」

ツクヨミは自分のことを評価してくれたさくらとゼロに、感謝の気持ちを伝える。そして2人は再びツクヨミを抱えて、休めていた足を運び始めた。

さくら「・・・行こう。琥珀さん達が戦ってる今、私達もやるべきことをやらなくちゃ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、SWORD地区の中枢に位置する爆破セレモニー会場――そこへコブラと九十九、雨宮兄弟、そしてスモーキーを連れた琥珀がついに辿り着いたのである。

雅貴「・・・ここが爆破セレモニーの会場だな」

九十九「達磨の奴らが打ち上げた花火も、いつ煙が晴れるか分からねえ」

琥珀「このまま壇上を目指す。資料を持たせたヤマト達と合流して、全てを告発するぞ」

琥珀の言葉に仲間達が頷き、一行は駐車場から中へ入ろうとする。しかし、彼らの前に立ちはだかる1つの軍勢があった。

???「・・・わりいな、ここから先は通行止めだ」

広斗「・・・!テメエらは・・・」

敵の姿を見て険しい表情を浮かべる広斗達。現れたのは少数精鋭の武闘派である克也会の構成員達、そして九龍が湾岸地区から雇った傭兵集団・MIGHTY WARRIORSのICEとJESSEだった。

ICE「フフフ・・・こんな所で会えるとはな」

スモーキー「・・・MIGHTY WARRIORS」

九十九「こいつら、よりによってこっちに来てやがったのか・・・!」

JESSE「俺達も今後の仕事の為に金が欲しくてな・・・公害の件をバラすのはここで諦めてもらうぜ?」

コブラ「邪魔すんじゃねえよ・・・!」

JESSE「おうおう、熱いねぇ。矢場久根のGirlsはなかなか楽しめたが・・・お前らはどうかな?」

ICE「・・・Are You Ready Everybody!!」

ICEの叫びを合図に、克也会の構成員達が一斉に襲い掛かる。対する一行はコブラと広斗が前線に立ち、公害の証拠となるスモーキーを守りつつ応戦する。

琥珀「・・・フンッ!」

琥珀は中学時代に左目を負傷し、義眼というハンデを背負っているにも関わらず、その強靭な肉体と圧倒的パワーを用いて群がる敵を一掃する。コブラと九十九、雨宮兄弟も連携攻撃を仕掛け、次々と構成員を退けていく。

ICE「オラァァァッ!」

すると、MIGHTYのリーダーであるICEが雨宮兄弟を狙って殴り掛かり、JESSEも並外れた身体能力を発揮し、一瞬でコブラの懐に入り込んでいく。

コブラ「っ!?テメエ・・・!」

JESSE「お仕事ですからね・・・Make Money♪」

ICE「・・・あん時の続きだ」

雅貴「何か強そうだな、このガングロ野郎・・・!」

広斗「・・・兄貴、ここは引き受けた」

雅貴「・・・えっ?」

コブラ「琥珀さん、九十九さん!スモーキーを連れて先に行ってください!」

琥珀「コブラ・・・!」

コブラ「こいつらを片づけたら、すぐに後を追います・・・!」

九十九「おいお前ら、先にくたばんじゃねえぞ!?」

雅貴「待った!広斗、さっきなんて・・・」

広斗「いいから早く行け!!」

雅貴「あっ、おい!?・・・んだよ、聞き間違いかな?」

コブラがJESSE、広斗がICEとの一騎打ちに望むのを余所に、琥珀と九十九、雅貴はスモーキーを護衛しつつ進もうとした。しかし、そこに更なる刺客が接近し、4人に向けて刃を振り下ろした。

琥珀「・・・!?下がれっ!」

琥珀はスモーキーを庇いつつ、雅貴と九十九に声をかけて回避させた。4人を襲撃したのは、九龍の二大派閥・黒崎会の若頭にして、峰がノコギリ状の刀を携えた暗殺者・源治だった。

九十九「こいつもコンテナ街にいた野郎だ・・・!」

源治「ムゲン、雨宮兄弟、RUDEのリーダー・・・始末する・・・!」

雅貴「そんなもん振り回しやがって・・・!」

雅貴と琥珀が揃って源治に立ち向かうが、源治は刀を駆使して2人に襲い掛かるだけでなく、さくらとゼロがコンテナ街で対峙した時もまるでビクともしない体の強靭さを持ち、彼らを是が非でも突破させない壁そのもののような存在だった。さらにそこへ克也会の構成員も乱入し、琥珀達は追い詰められようとしていた。

九十九「くそっ、これじゃ埒が明かねえ・・・!」

琥珀「・・・ッ!来い!」

雅貴「よっしゃあっ!」

止むことの無い源治達の攻撃を、辛うじて避け続ける4人。すると琥珀は、道に倒れていた鉄の板を盾代わりにして源治の刃を捕らえ、彼の後ろに構成員達が群がったところを雅貴が飛び蹴りを繰り出して一蹴した。

琥珀「九十九、スモーキーを頼む!」

九十九「俺だけでどこまで守り切れるか分かんねえぞ・・・!」

雅貴「分かってるって。すぐに追いつくからよ」

源治「行かせん・・・!」

雅貴「こっちの台詞だ!」

スモーキーを連れて中へ入っていく九十九。彼を追おうとする源治を雅貴が喰い止める中、琥珀は構成員の1人を捕まえてコブラと広斗の背後にいる群れを薙ぎ払った。

ICE「・・・!Crazy Boy・・・」

コブラ「余所見してんじゃねえよ・・・!」

JESSE「何だよ、焼き餅かよ?」

広斗「うるせえ奴らだ・・・雅貴と同じくらいにな!」

広斗&コブラとICE&JESSE、琥珀&雅貴と源治、駐車場の中で激しい戦いが続く一方、会場の別地点では研究資料を運ぼうとしたヤマトと鬼邪高が上園会と戦闘を繰り広げていた。

村山「何人いやがんだよ・・・100人なんて余裕で越えてっぞ!?」

資料には触れさせまいと、上園会に抗い続ける村山達。ヤマトも全力でこれを迎え撃つが、そこにICEと同じ傭兵の経験を持つPEARLが突進してくる。

PEARL「・・・You Guys Ready?」

ヤマト「は?」

PEARL「ハハハッ、Let's Go!」

ヤマト「だから、何言ってんだ!?」

MIGHTYのメンバーであるPEARLと対峙するヤマト。それを余所に、楓士雄もナイフを握って襲い掛かる構成員らを相手に果敢に立ち向かうが、その群れの中を突っ切ってきた人物に青龍刀で斬りかかられる。

楓士雄「うおっ!?危ねえだろうが・・・!」

劉「我々と父の理想の為・・・今日がSWORDの終わりです」

九龍の総裁である九世龍心の息子にして、本家直属の暗殺者である劉は、青龍刀の連続攻撃で楓士雄を追い詰める。さらに同じMIGHTYのメンバーであるBERNIE、PHOが劉に加勢し、PHOの体当たりを受けて楓士雄が吹っ飛ばされてしまう。

楓士雄「ぐあっ!・・・ちくしょう、こっちは早く秘密を暴きてえってのに・・・!」

バーニー「甘いねえ、そう簡単に辿り着けるわけないでしょ?」

司「楓士雄・・・!?」

司達が助けに入ろうとするも、上園会の構成員に遮られてしまう。3対1と不利な楓士雄が、そのまま劉の刃に倒れるかと思われたその時、横から刃先を受け止めて劉を殴り、窮地の楓士雄を救う者が現れた。

楓士雄「・・・!サッチー!?」

佐智雄「・・・随分手こずってたじゃねえか」

楓士雄「・・・うるせえ、これから本気出そうと思ってたんだよ」

強がりながらも笑みを浮かべる楓士雄に手を差し伸べ、立ち上がらせたのは、鳳仙の番長・上田佐智雄だった。そこにPHOが再度体当たりを仕掛けるが、今度は嵐ヶ丘のリリィーが駆けつけてPHOを遮った。

PHO「子供・・・!?」

リリィー「私達の、革命の邪魔はさせません・・・!」

MIGHTYが楓士雄とヤマトを襲撃している間に、会場にはROCKY率いるRascalsと、彼らのバイクに乗り移っていち早く到着した荒地のネロが鬼邪高に加勢し、上園会を押し退けつつあった。

楓士雄「・・・よーし、こっから反撃開始だ!」

佐智雄とリリィーに助けられた楓士雄は、首を回しながら再び気合を高め、MIGHTYと劉に立ち向かう。その頃、琥珀と雅貴も2人がかりで源治と戦い続けていたが、源治の異常な耐久力の前に決定打を与えられずにいた。

源治「・・・ッ!」

琥珀「こいつ、化け物だな・・・」

雅貴「俺とお前がタッグを組んでるってのに、どうすりゃいいんだよ・・・!?」

攻め手を欠いた2人は、いつしか源治の攻撃を受け流すことしかできず、防戦一方の状況に立たされていた。しかし、琥珀に振り下ろされる源治の刀を雅貴が蹴って防いだ瞬間、雅貴はある物を踏んだことに気づく。

雅貴「・・・!」

そのまま琥珀と源治の攻防が続き、再び源治が琥珀を追い詰める。その時、足に鎖を巻いた雅貴が再び源治の刃を弾き返したのである。

源治「・・・?」

琥珀「雨宮・・・それは?」

雅貴「ただ殴って蹴るだけじゃ勝ち目はねえ・・・だったら、その攻撃に重さを加えたらどうだ!?」

雅貴はもう1つの鎖を琥珀に渡し、琥珀も彼の策に乗るかのように腕に鎖を巻き付ける。源治もこれを受けて立つべく刀を構え、再度2人に斬りかかる。すると、琥珀が腕の鎖で源治の刃を捕らえた隙に、同じ鎖を巻いた雅貴の蹴りが源治の顔に炸裂した。

源治「・・・ッ!?」

初めて怯む様子を見せた源治にすかさず琥珀が追撃する。琥珀の拳を受けながらも源治は頭突きして対抗するが、源治の刀は琥珀に捕らえられたまま思うように振るえず、そこに雅貴の蹴りが腹に直撃し、源治が身動きを止める。

琥珀「雨宮っ!」

雅貴「おうっ!」

琥珀と雅貴、鎖を巻いた状態の2人の一撃が、源治の刀を粉砕する。そして、SWORD連合と九龍・MIGHTYの戦況も大きく変わろうとしていた。

ヤマト・PEARL「おおおぉぉぉぉっ!!」

ヤマトとPEARLは、互いに連続で蹴り技を仕掛けていたが、徐々にヤマトの力がPEARLに勝り、PEARLが怯んだところをヤマトが強く胴体を蹴り飛ばす。

ヤマト「Hey!ダイジョウブ?」

PEARL「・・・ッ、それ日本語じゃねえか!?」

ヤマト「No!!」

一方、リリィーとPHOの一戦。ヤマトらに負けず劣らずのパワーを誇るPHOがリリィーを圧倒していたが、会場の壁に抑えつけていたところを逆手に取られ、リリィーがネックハンギングを仕掛けたことでPHOが体勢を崩す。

PHO「ぐぁ・・・っ!?」

リリィー「百合の花を見納めに・・・地獄へ行きな!!」

百合の花の刺繍をしたスカートを翻し、リリィーが強烈な蹴りをPHOにお見舞いする。その隣では、楓士雄とBERNIEが常人の目に留まらぬ速さで一進一退の攻防を見せていた。

BERNIE「いい加減に・・・Get Down!」

楓士雄「やられねえよ!さくちゃんとヨミちゃんもけじめつけようと必死になってんだ・・・俺だって負けるわけにはいかねえんだよ!」

BERNIEに何度殴りつけられても、楓士雄はその痛みを堪えて連続で殴り返す。さらにスライディングしてBERNIEの足を転ばせると、楓士雄は二度フェイントを挟んで油断したBERNIEにドロップキックを直撃させた。

楓士雄「鬼邪高を・・・なめんじゃねえぞっ!!」

楓士雄の咆哮が辺りに響く中、佐智雄も劉との体術勝負を繰り広げる。拳のぶつかり合いでは佐智雄が有利と判断した劉は、咄嗟に隠し持っていたナイフを取って反撃するが、それでも佐智雄に彼の刃は届かない。

劉「くっ!SWORD以外でこれほどの手練れがいるとは・・・」

佐智雄「殺し屋・鳳仙、なめんじゃねえぞ・・・!?」

鋭い眼差しを向けながらナイフを奪い取り、劉を追い詰める佐智雄。劉は地面に転がった際に落ちていた青龍刀を再び用いて貫こうとするが、佐智雄は足にありったけの力を込め、劉の青龍刀を今一度蹴り飛ばした。

コブラ「うおおおぉぉぉぉっ!!」

駐車場でJESSEとの一騎打ちに望んでいたコブラは、蹴っては蹴られての繰り返しで壁に衝突しながらも、プロレス技を駆使してJESSEの体力を削る。背中からの肘打ちで拘束を解くJESSEだが、すぐさま低い体勢から駆け出したコブラの飛び膝蹴りがJESSEをダウンさせた。

JESSE「がっ!・・・あれ、ピンチじゃん?」

コブラ「俺達は皆、これが最後だと腹括って喧嘩してんだよ・・・その覚悟がテメエらにはあるか・・・!?」

強い覚悟を秘めながらJESSEに立ち向かうコブラ。そして、コンテナ街から続く広斗とICEの因縁対決も、次第に広斗の技量がICEを上回りつつあった。

広斗「・・・来いよ」

ICE「面白え・・・ウリャアァァァッ!!」

広斗の挑発に敢えて乗ったICEは、今まで以上の猛攻で広斗に襲い掛かる。だが、幼い頃から兄・尊龍に指導を受けていた広斗は、彼の遺志を胸に抱きつつ、カウンターで隙を作っては怒涛の連続パンチでICEを圧倒する。

ICE「ウオォォ・・・ッ!?」

広斗「どうした・・・?あの時より腕が落ちたか?」

ICE「・・・言ってくれるじゃねえか」

広斗・ICE「うおおらぁぁぁぁっ!!」

互いに疲弊しながらも、全力でぶつかり合う広斗とICE。そして、琥珀&雅貴のタッグと源治の戦いも佳境を迎えようとしていた。

源治「グ・・・アアアアッ!」

源治は刀を横に振ったが、既に刃が折れた彼の攻撃は雅貴に届かず、雅貴の蹴りを受けた源治を琥珀が二度殴りつける。並の人間以上だった耐久力も底を尽こうとした時、源治は2人に強い眼差しを向けながら不敵に笑っていた。

琥珀・雅貴「・・・オオオオァァァァッ!!」

琥珀と雅貴は同時に渾身の一撃を直撃させ、源治を大きく吹っ飛ばす。止まっていた1台の車へぶつかっていった源治は、その中から起き上がってくることはなかった。

雅貴「はぁ、はぁ・・・流石に疲れたな、野郎の相手は・・・っ」

琥珀「まだ終わってねえ・・・九十九と合流するぞ」

琥珀と雅貴は、スモーキーを連れて先に進んでいた九十九の後を追う。全てに決着をつけるその時は、いよいよ目前へと迫っていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

源「くそぉ・・・っ、まだあの煙は晴れねえのかっ!?」

その頃、セレモニー会場の壇上では達磨が放った花火の妨害により、無名街の様子が確認できないことで大臣や関係者、そして九龍の会長達も動揺と苛立ちを隠せずにいた。

家村「このままチンタラしてても意味がねえ・・・さっさと無名街を爆破するよう大臣に指示を・・・!」

克也「待て!ここで俺達が強引に手を下せば、それこそ後事がややこしくなる!」

上園「今更何を怖気づいてるんですか!?我々の理想郷は、もう目と鼻の先だというのに・・・!」

琥珀「・・・爆破は中止だ!!」

会長達が言い争っている間に、爆破セレモニーの会見に乱入する者が現れる。それは、スモーキーと研究資料を運んでやってきた琥珀だった。

琥珀「このカジノ計画の裏には・・・そいつらが隠している事実がある!」

善信「ムゲンの、琥珀・・・!?」

克也「チッ、あいつら・・・一旦退くぞ!」

克也の提案で会長達は一度セレモニー会場を去ろうとした。だが、彼らのいる階に足を運び、行く手を遮ろうとする2人の人物がいた。上園や善信とも因縁を持つ雨宮雅貴とコブラである。

コブラ「・・・逃がしゃしねえよ」

上園「お前ら・・・九龍に逆らってどうなるか分かってんのか!?」

家村「次はねえぞ、コラァ!」

雅貴「ハッ・・・もう二度と会うことはねえよ。上園も、お前らも、ここで終わりだ」

源「舐めたこと言ってんじゃねえぞ・・・っ!」

克也「九龍がそう簡単に潰れると思ってんのか・・・?」

コブラ「大人の喧嘩ってのは勝ち負けじゃねえ、生きるか死ぬかなんだろ?でも、俺達は今ここにいる・・・」

雅貴「認めろ・・・お前らの負けだ」

会見には、琥珀と雅貴が預けていた薬品工場の責任者を連れた警察も駆け付け、スモーキーと研究資料を合わせた3つの証拠が出そろい、隠蔽されていた公害が暴かれようとしていた。とうとう九龍は後が無くなり、善信はやりきれない怒りの感情を見せていた。

善信「・・・クソガキ共がぁ・・・っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツクヨミ「はぁ・・・はぁ・・・っ、着いた・・・」

一方、ツクヨミはさくらとゼロに支えられながら、目的の場所に辿り着いていた。目の前には組織のマークを囲んだ龍の像・・・その後ろには広く巨大な1つの屋敷が建てられていた。

さくら「・・・ここが、九龍本家の屋敷・・・」

 

 

 

 

第23話へ続く