第17話 鬼邪高VS鳳仙 | 坂道&ジャンルマルチブログ

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鬼邪地区のとある河川敷――そこに、突然仲間達を襲い宣戦布告をしてきたとされる鳳仙学園に対抗すべく、鬼邪高校・全日制の生徒達が集まっていた。全日の覇権を争っていた生徒達を団結させた楓士雄や彼をサポートする司、2人と同じ絶望団地出身の辻と芝マン、そして楓士雄の説得と村山の言葉の意味に気づいた轟がその先頭に立つ。

楓士雄「ドロッキー。全部片付いたら、改めて俺と決着だかんな」

轟「フン・・・」

司「・・・!来たぞ」

司の言葉に一同が振り向くと、戸亜留市から進軍して来た鳳仙四天王・小沢仁志の志田健三、仁川英明、小田島有剣が彼らの前に姿を現した。

小田島「まいど~。殺し屋・鳳仙だす」

志田「・・・ったく、無駄な銭使わせやがって」

仁川「どんな奴らかと思えば・・・俺らと大して変わらねえガキじゃねえか」

自分達と対峙する敵が全日の生徒達だと認識する四天王の3人。やがて彼らの後ろに、スキンヘッドの不良の大群が控える。そして彼らを率いるのが鳳仙の番長・上田佐智雄である。

楓士雄「・・・あれ?サッチーだ」

轟「どうした・・・?」

敵軍の頭の顔を見た途端、楓士雄がそれらしき仇名を呟いたことに疑問を抱く轟。一方、佐智雄も全日の生徒達の中心にいる楓士雄の姿を確認すると、不敵な笑みを浮かべた。実はRUDEBOYSがMIGHTY WARRIORSの襲撃を受けていた頃、楓士雄と佐智雄は鬼邪地区と戸亜留市の境目にある神社で顔を合わせており、転倒しそうになった老婆を助けたものの今度は自分が階段から転がり落ちてしまった楓士雄は、手当をしてくれた佐智雄と夕日に照らされる街の景色を見ながら対話していた。

楓士雄『いいよな~景色は。上から見てると、下で起こってる細かいことなんか何も見えねえし』

佐智雄『・・・景色ならな』

楓士雄『・・・?』

佐智雄『・・・お前はテッペン張ったことがあるか?』

楓士雄『いや・・・でも、その内な。そっちは?』

佐智雄『俺は・・・フッ・・・俺もまだまだだな』

楓士雄『そっか・・・お互いまだまだだな。頑張ろうぜ、サッチー!』

佐智雄『・・・おい。そのサッチーっつうのどうにかなんねえのか?』

楓士雄『ハハハハ・・・!』

そんな風に、笑顔を交わしながら話し合っていた頃のことを思い返した楓士雄は、佐智雄が鳳仙の番長だったことを知った上で覚悟を決め、仲間達と共に歩を進めた。

楓士雄「サッチー!まさか、お前が鳳仙だったとはな」

佐智雄「俺も驚いているよ。お前はもっと・・・良い奴だと思ってたからよ」

楓士雄と佐智雄は、分かり合えると思っていた人間が仲間を傷つけたと、互いに同じ怒りの感情を見せていた。本当は誰がそんなことをしたのか・・・それを考える猶予すらない程に。

志田「お前ら!気合入れてけぇぇっ!!」

仁川「潰せぇぇぇぇぇっ!!」

楓士雄「・・・行くぞテメエらぁぁぁぁっ!!」

一同「っしゃああああぁぁぁーーーっ!!」

先陣を切る志田や仁川が叫び、鳳仙の生徒達が一斉に走り込む。鬼邪高側も楓士雄の号令に仲間達が呼応し、同時に突撃。ついに鬼邪高と鳳仙の戦いが始まった・・・否、始まってしまったのだ。

楓士雄「うおりゃぁぁぁっ!」

先頭で走っていた楓士雄は正面の敵の群れにスライディングし、次々と襲い掛かるスキンヘッド達を殴り倒していく。司、轟、辻、芝マンら仲間達も応戦し始めるが、鳳仙側は生徒達が必ず2、3人以上で全日の生徒を1人ずつ片づけるなど、噂通りの団結力を発揮し始める。

司「チィッ!実際に戦ってみると面倒な奴らだ・・・!」

辻「何なんだよこれは!?全然人数変わんねえのに!」

楓士雄をはじめとする実力者達は簡単には仕留められないが、他の生徒達は数人のグループで攻めかかる鳳仙に苦戦を強いられる。そんな中、矢場久根の総長・シュラに双方がぶつかり合う様子を知らされたさくら、ツクヨミらマジ女一行が河川敷に到着した。

さくら「・・・!もう、戦いが始まってる!」

プリンセス「何なのこれ・・・全日の生徒達、鳳仙に一方的にやられてるじゃない!」

シンガー「こいつらの戦い方、捨照護路の連中とあんま変わんないよ!」

タイヨウ「同じじゃない・・・仲間に危害が出た場合は、全戦力をもって容赦なく報復する。それが殺し屋・鳳仙のやり方だから」

ウサギ「でもここまでやるなんて・・・鳳仙に何があったの?」

ゼロ「考えるのは後!今はこの状況をどうにかしないと・・・!」

先に突出したゼロを追いかけるように、さくら達は河川敷の戦いに突入していく。彼女達が乱入し始めたことに、鬼邪高と鳳仙の双方が混乱する。

ツクヨミ「貴方達、今すぐ喧嘩を止めて!」

芝マン「あぁ!?マジ女の奴ら・・・!?」

辻「こんな時に出てきやがるなんて・・・やっぱりテメエらうちの首を狙ってたか!?」

さくら「違うんです!話を聞いてください!」

仁川「うん?何だあのガキ共は?」

小田島「およよ・・・確か前の生徒がここら辺のヤクザとの揉め事で死んで、鬼邪高の軍門に降ったっていうマジ女のヤンキーだな」

仁川「鬼邪高の軍門にだぁ?だったら・・・こいつらも敵ってことか!」

仁川の言葉を聞いた鳳仙のスキンヘッド達は、さくらやツクヨミ達をも敵と見なして攻撃し始める。喧嘩を止めようとする彼女達の説得を、双方はまるで聞こうともしなかった。

ゼロ「こいつら、頭に血が上り過ぎ・・・!」

シンガー「どうするのツクヨミ!?このままじゃ、私達も一方的にやられる!」

プリンセス「それどころか、全日がやられて校舎にまで踏み入られたら、SWORDが大騒ぎになりかねないわ!」

ツクヨミ「くっ・・・鬼邪高の被害を少しでも喰い止めて、喧嘩を終わらせるには・・・鳳仙の頭を抑えるしかない」

さくら「それじゃあ・・・!」

ツクヨミ「私達は鬼邪高に加勢する!鳳仙の生徒達を押し返して!」

ウサギ「わ、分かった・・・!」

ツクヨミが覚悟を決めたことで、マジ女一行は鬼邪高・全日に加勢し鳳仙の不良達と対峙する。シンガーとプリンセスはタッグを組み、ゼロとウサギが単独で鳳仙の群れを突き崩していく中、さくらとツクヨミ、タイヨウは、圧倒的な強さで全日の生徒達を蹴散らしていく佐智雄に遭遇する。

佐智雄「・・・お前らは・・・」

さくら「貴方が、鳳仙の番長・・・!」

ツクヨミ「今ここで、彼らを失うわけにはいかない。悪いけど・・・一旦手を引いてくれないかしら?」

佐智雄「・・・そうはいかねえ」

さくら・ツクヨミ「・・・!」

佐智雄「こいつらは沢村を・・・俺達の仲間を傷つけた。そのけじめをつけなきゃ、あいつらに合わせる顔がねえ・・・!」

ツクヨミ「・・・そう・・・それなら・・・!」

さくら「力づくでも・・・止めてみせます!」

タイヨウ「さくらちゃん!ツクヨミ・・・うわっ!?」

さくらとツクヨミは意を決して、2人がかりで佐智雄に挑む。タイヨウが彼女達の後に続こうとするが、その背後から志田が殴り掛かって来た。

志田「おい女!そんな所にいると危ねえから、速攻で終わらせてやるよ」

タイヨウ「志田健三・・・やるしかない・・・っ!」

タイヨウは1人で志田と交戦し始める。一方、その腕力で鬼邪高生徒を叩きのめしていく仁川に、辻と芝マンが横やりを入れて来た。

仁川「うおっ!?・・・あぁん?何色だよその頭!」

辻「うるせえぞ、このオッサン!」

辻が先に仁川に殴り掛かり、芝マンも続いて攻撃する。そして村山と互角に渡り合う程の強さを見せつける轟も、志田や仁川と同じ四天王の1人・小田島と対峙する。

小田島「お前は他のカスとは違うんだな~。俺とやるか・・・?」

轟「お前ら・・・ホントよくしゃべる!」

轟は素早く小田島に攻めかかるが、小田島も轟の動きを冷静に見切りながら反撃していく。最早どちらかが倒れない限り、事態は収束できない状況と化していた。

さくら「やあぁぁぁぁっ!」

さくらはツクヨミと共に佐智雄と戦っていたが、幼い頃から空手を習っていた佐智雄は2人の攻撃をものともせず、確実に拳をくらわせて2人を追い詰めていく。

ツクヨミ「くぅ・・・っ!何て強さなの・・・っ」

志田「ウラァァァッ!」

一方、鳳仙一の武闘派である志田は、驚異的な猛攻でタイヨウを翻弄していた。どうにか隙を見つけて反撃したいタイヨウだが、体を志田に投げられて車にぶつかってしまう。

タイヨウ「あぅ・・・っ!」

さらに志田は攻撃を繰り返し、タイヨウは彼の背中を車にぶつけて抵抗する。だが、ここで志田はタイヨウの頭を捕まえ、力強く押し潰そうとした。

タイヨウ「ぐあああぁぁぁ・・・っ!!」

志田の拘束に耐えられないタイヨウは、さらに膝蹴りと鉄拳を連続で顔にくらいそのまま倒れてしまう。その別方向では辻と芝マン、仁川が一進一退の攻防を繰り広げていた。

芝マン「どりゃああああっ!」

仁川「ええい、邪魔だ!」

辻と芝マンは息の合ったコンビプレイで仁川を追い詰めるが、鳳仙でも№2の実力を持つ仁川は膝を屈さず、重い一撃で2人の体力を削っていく。再び芝マンが仁川の体を捕まえ、そこを辻が突進しようとするが、仁川は芝マンを持ちあげて辻の体当たりを回避した。

芝マン「ぐあっ・・・!?」

仁川「オラ、もっと来いやあぁぁぁっ!」

辻「この・・・、野郎ぉぉっ!!」

そして轟と小田島の一騎打ち、策士タイプでありながらタイマン勝負も強い小田島だが、ここでついに轟が全力を出し始める。追い打ちをかけようとする小田島を突き飛ばすと、連続攻撃で彼に大打撃を与えていった。

小田島「うぐっ!?こいつは、やべえかもな・・・」

轟「そろそろその口、黙らせてやる・・・!」

鬼邪高の実力者と鳳仙の幹部がしのぎを削る中、楓士雄と司は向かってくるスキンヘッドを返り討ちにし、鳳仙の戦力を減らしつつあった。そこに、タイヨウを倒した志田が現れる。

志田「おい!テメエらはどっちが強えんだ!?」

楓士雄「ハッ・・・お前が決めろよ」

司と自分のどちらか強い方と戦いたい志田に対し、楓士雄は自らジャンプした勢いで殴り掛かる。志田は同時にラリアットを繰り出して楓士雄を強く引っ張るが、彼の追撃を楓士雄は掴んだ状態で背負い投げし、さらに膝蹴りを入れて間もなく背後に回り込み足を狙って怯ませるなど、鋭い身体能力で志田を圧倒する。

志田「なっ!?何だこいつは・・・!」

そのまま連続パンチをお見舞いする楓士雄だが、志田も負けじと殴り返す。そしてタイヨウを倒した時と同じように楓士雄の首を腕で絞め付けようとするが、楓士雄は全身に力を入れて志田の拘束を解こうとする。止むを得ず投げ飛ばそうとした志田だが、楓士雄はそれを利用して低い体勢で走り回り、再び足を狙って彼を転倒させた。

さくら「楓士雄さん・・・ぐうっ!?」

佐智雄と戦っていたさくらは、志田を追い詰める楓士雄に気を取られてしまい、佐智雄の猛攻を受けてしまう。ツクヨミがこれを阻止しようとするが、佐智雄は気配を察知して標的をツクヨミに変更し、拳と蹴りを交互に繰り出して押し退ける。

ツクヨミ「うぅ・・・っ!」

さくら「菜緒・・・っ!うあああああっ!!」

佐智雄「・・・!」

ツクヨミが一方的にやられるのを防ごうと、さくらは背後から佐智雄に殴り掛かった。しかし佐智雄にさくらの拳は届かず、背後に回り込まれたところを叩き伏せられてしまう。

ウサギ「さくら、ツクヨミ・・・!」

シンガー「ちくしょう・・・!いつになったら片付くのよ!?」

プリンセス「私達も、これ以上は持ちこたえられない・・・っ!」

鳳仙の不良達を抑えつけていたウサギ、プリンセス、シンガーも、徐々に体力の限界が近づいていた。それでも鳳仙の報復は終わらず、鬼邪高生徒は揃って潰されかけていた。

仁川「でりゃああぁぁぁっ!!」

辻「ぐはぁぁ・・・っ!」

仁川は上半身にしがみついていた辻を思い切り投げ、地面に叩きつけた。芝マンもかなりのダメージを負っており、簡単に立ち上がれずにいた。そのまま仁川が辻に止めを刺そうとしたところを、勢いよく走ってきたゼロが蹴りつける。

仁川「ぐわっ!・・・何だ、今度は娘が相手か!?」

ゼロ「少しは黙ってなよ、デカブツ・・・!」

今度はゼロが仁川に勝負を挑む中、本領を発揮した轟は小田島に膝をつかせ、そのまま彼を蹴り倒した。

小田島「あぁ・・・っ、こっちも体力の限界だ・・・」

轟「・・・はぁ・・・っ」

楓士雄「オラアアアァァァッ!!」

志田「がはっ・・・!?」

楓士雄は渾身の一撃を志田に叩き込み、志田は楓士雄の服を掴んで踏ん張ろうとするも、彼も力尽きてダウンする。

佐智雄「・・・ハアッ!」

さくら「ぐ・・・っ!あ・・・うぅ・・・っ」

同じタイミングで佐智雄もさくらを殴り飛ばし、体力が底をついたさくらはそのまま倒れてしまう。彼女と共に佐智雄に挑んでいたツクヨミも、傷が重く起き上がれる状態ではなかった。

ツクヨミ「う、くっ・・・さく・・・ら・・・」

さくら「はぁ・・・はぁ・・・っ」

佐智雄の猛攻を受けて倒れたさくらだが、その目はまだ死んでいなかった。薄く開いていた彼女の目を見た佐智雄は何かを思い始めたように黙り込んでいたが、そこに楓士雄の蹴りが襲い掛かった。

佐智雄「・・・っ!?」

楓士雄「ボーっと突っ立ってんじゃねえよ!俺らの仲間だけじゃなく、さくちゃん達にまで手ぇ出しやがって・・・!」

佐智雄がさくら達を倒したことに怒りを向ける楓士雄。だが鳳仙側も、四天王2人と多くの人数が倒れたものの、未だにゼロや轟、司達を取り囲もうとしていた。

佐智雄「・・・1回死んで反省しろ」

さくら「楓士雄さん・・・、駄目・・・っ!!」

さくらの必死の叫びも届かず、楓士雄は鳳仙の生徒達に囲まれたまま佐智雄と戦おうとした。だがその時、どこからか激しい走行音が鳴り響き、そこに3台のバイクと大きなダンプカーが突っ込んできた。

司「!?あれは・・・!」

村山「・・・はーい、そこまで~~!」

ダンプやバイクに乗って現れたのは、番長・村山良樹をはじめとする定時の生徒達と、鬼邪高と鳳仙が争う原因を探っていたシャドウやツル達、そして山王連合会のノボル、ダン、チハルだった。

タイヨウ「シャドウ達に、山王の・・・!」

ツクヨミ「村山・・・良樹・・・」

ゼロ「はぁ・・・間に合ったか」

仁川「間に合った・・・?まさか援軍が来るまでの時間稼ぎか!?」

楓士雄「いらねえよ、援軍なんか!俺達は堂々と看板背負って喧嘩してんだ・・・途中から割り込んでくんじゃねえよ!!」

さくら「楓士雄、さん・・・っ」

鬼邪高の看板を自ら背負ったからこそ、自分達だけで勝敗を決したかった楓士雄。さくら達も思わず感じ入っていたが、村山はそんな彼の覚悟を分かった上で話を続けた。

村山「おう、その通り。でもな~・・・この喧嘩、いくらカッコつけても大義がねえんだわ!」

村山の言葉の意味がまるで分からない全日制と鳳仙の生徒達は揃って怒号を上げる。その間に、ダンプから降りたツルが傷ついたさくらの体を起こした。

さくら「ツル・・・何か、分かったの・・・?」

ツル「うん。鬼邪高と鳳仙の人達を、争わせようとした犯人のこと・・・!」

佐智雄「・・・何?」

シャドウ「単刀直入に言わせてもらうが・・・SWORDと戸亜留市、この2つの街でレッドラムを売り捌いていたのは鬼邪高と鳳仙のどちらでもない!全ては湾岸地区を拠点に活動するスカウト集団・DOUBTの仕業だ」

轟「DOUBTが・・・!?」

仁川「適当なこと言ってんじゃねえぞ、この野郎!」

ダン「だから話を聞かんかいっ!」

シャドウから告げられた話を信じようとしない仁川を、ダンが必死に制止する。続けて元・鬼邪高生徒でもあるチハルが、双方に鋭い質問をした。

チハル「つうかお前ら、鬼邪高と鳳仙の生徒に手を出したっていう自覚がそもそもあんのかよ!?」

村山「そう!良い質問だね、チハルちゃん」

司「・・・確かに俺達は、一度も戸亜留市に足を踏み入れたことがない。鳳仙の情報も噂を耳にしていただけだ」

仁川「けど、こっちの仲間はちゃんと鬼邪高の奴らにやられたと言っている!」

ノボル「それについては、もう1人証人がいる・・・話してくれ」

ノボルが誰かに話をするよう促すと、ダンプから姿を見せたのは頭に包帯を巻き、傷が完治していない体をシスターとメンドウに抱えられた鳳仙四天王の1人・沢村正次だった。

小田島「・・・ありゃ?沢村・・・」

志田「あいつ、目ぇ覚ましてたのかよ・・・」

沢村「・・・こいつらの言っていることは、本当だ。此間の夜・・・俺達を襲ったのは鬼邪高じゃなく、佐智雄の妹に手を出してた奴らだった」

佐智雄「・・・!?まさか・・・」

ノボル「ああ。沢村達を襲撃したのは平井というDOUBTの幹部で、以前MIGHTYに襲われた定時の生徒達から剥がした身ぐるみを利用して、鬼邪高の不良になりすましていたんだ」

辻「ちょっと待て・・・!それならうちの奴らを襲ったハゲ軍団はどう説明すんだよ?」

ノボル「それはおそらく、羅千刑務所の<プリズンギャング>という奴らの仕業だ。DOUBTが直接手を出したわけじゃないが、連中が金で雇って襲わせたんだろう」

芝マン「じゃあ俺達は、結局何のために戦ってたんだよ・・・!?」

村山「DOUBTがROCKYちゃん達との喧嘩を、俺らに邪魔させないためだよ」

チハル「それだけじゃない。あいつらはRascalsを倒した後、鬼邪高やRUDEみたいに戦力が削られたシマに攻め込んで、確実にSWORDを乗っ取ろうとしてたんだ」

ダン「今頃、黒白堂駅にはコブラ達が助けに向かっとる。これ以上お前らが潰し合う必要もないんや!」

チハルやダンの話を聞き、動揺する双方の不良達。すると、シスターとメンドウに支えられてた沢村が自ら膝をつき、頭を深く下げた。

沢村「・・・すまない。俺がもっと早く目を覚ましていれば、お前達に無駄な喧嘩をさせることもなかった・・・!」

沢村の謝罪に鳳仙の生徒だけでなく、全日の不良達も思わず黙り込む。そして、鳳仙の番長である佐智雄が部下達に言った。

佐智雄「・・・お前ら、終わりだ」

志田「佐智雄・・・」

仁川「・・・帰るぞ!!」

佐智雄の指示と仁川の号令で、鳳仙は鬼邪高を潰すのを止め、一先ず戸亜留市へ帰ることを決断した。沢村はノボル達が元いた病院に帰すと約束された中で、佐智雄は楓士雄とすれ違う瞬間に呟いた。

佐智雄「・・・テメエじゃねえことが分かっただけでも、良かったわ」

佐智雄はそう言って、楓士雄達の前から去っていく。おそらくは心のどこかで、仲間を傷つけたのは楓士雄ではないと未だに信じていたのかもしれない。

さくら「・・・楓士雄さん」

楓士雄「・・・フッ、そうだな・・・俺も良かったよ。お前が悪い不良じゃなくて」

楓士雄も全日の仲間を傷つけたのが佐智雄ではないと知り、安堵していた。こうして鬼邪高・全日制と鳳仙学園の激闘は、どうにか事なきを得たのだった――

 

 

 

 

第18話へ続く