第10話 捨照護路との決着 | 坂道&ジャンルマルチブログ

坂道&ジャンルマルチブログ

坂道シリーズを中心に、他の話題もたまに語るかも?なブログです。
現在の主な推しメンは遠藤さくら・賀喜遥香(乃木坂)、藤吉夏鈴・森田ひかる・山下瞳月(櫻坂)、小坂菜緒・正源司陽子(日向坂)です。

嵐ヶ丘学園・花組のリリィーと共にツル達の誘拐騒動を解決したさくらとゼロ。彼女達はマジ女に戻り、今回の騒動に捨照護路高校のジロウとオーラが関与していたことをタイヨウやシャドウ達に伝えた。

タイヨウ「捨照護路の生徒が・・・!?」

シンガー「あの高校のことは正直よく知らなかったけど、そこまで腐った連中だとは思わなかったよ」

ウサギ「それに、人質を利用してゼロを捨照護路に引き入れようとしたなんて・・・」

プリンセス「私達を潰す為なら、手段は選んでられないようね」

ゼロ「捨照護路には必ず借りを返す。あやめまで巻き込んだけじめをつけないと・・・」

モデル「アンタ・・・随分雰囲気が変わったわね」

プッシュ「全くだよ。生徒会とラッパッパの集まりにちゃっかり顔を出すなんて」

ゼロ「・・・色々あったからね」

ツル「それで・・・ツクヨミは?」

ツルがツクヨミの事を聞くと、タイヨウ達は顔を俯かせる。どうやら彼女達の話に全く耳を貸してくれないようだ。

さくら「菜緒・・・」

シスター「それで・・・捨照護路とはどうするつもりなんですか?」

ミュゼ「捨照護路は矢場久根、激尾古と同盟を組んでいた・・・シュラをはじめ実力者の多い矢場久根が離脱して、今回の誘拐騒動も失敗に終わったとなると、そろそろ本格的に動き出すかもしれないわね」

メンドウ「次に全部終わらせに来るって感じですかね・・・?」

シャドウ「ツクヨミの判断を待っている余裕は無いだろう。捨照護路が動き次第、こちらも全力をもって奴らを叩く・・・いいな、タイヨウ?」

タイヨウ「・・・分かった。皆で私達のマジ女を守ろう」

さくら「はい・・・!」

さくら達や四天王、モデルとプッシュ、そしてゼロが同意し、捨照護路への対抗心を燃やす。一方でシャドウとミュゼは、捨照護路の動向により警戒していた。

ミュゼ「誘拐騒動に関与していた捨照護路の生徒はたった2人・・・向こうはまだ戦力を隠しているはずよ」

シャドウ「激尾古もまだ奴らの手の内にある。次の戦いは一筋縄じゃいかないかもな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、捨照護路高校の軍勢が動き出していた。荒々しい服装を纏う不良少女達を先頭で率いるのは、ツル達やあやめをさらって九龍グループやDOUBTに売り付けようとしていたジロウとオーラだった。

ジロウ「マジ女のクソ野郎共・・・散々アタシらの邪魔しやがって、今日という今日はぶっ潰してやる!」

オーラ「熱くなり過ぎよジロウ。この戦力で片がつかなくても、その内向こうが増援を連れてくる・・・マジ女側はどうせラッパッパと転校生のお仲間ぐらいしか来ないわ」

ジロウ「そうだな・・・ガタガタのマジ女なんて数で呑み込んでやる、ツクヨミの首を獲るのはその後だ・・・!」

ジロウの意気込みに、後ろの生徒達が雄たけびを上げる。そうして目的の場所へ捨照護路の軍勢が向かっていた様子を、1人の男が見つめていた。

???「・・・あいつらは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、捨照護路が動いたとの報せを聞き、マジ女一行は廃墟ビルにやって来ていた。さくら、ゼロ、タイヨウら四天王、ツル達にモデルとプッシュの2人組が待ち構えていると、そこにジロウとオーラ率いる捨照護路の軍勢が姿を現す。

ジロウ「おうおう、マジ女の馬鹿共が雁首揃えてやがるぜ」

モデル「はぁ?そこらのギャング使ってうちの生徒をさらおうとした奴の言えることじゃないでしょ!」

オーラ「あらあら怖いわねぇ。でも・・・威勢が良い割にそっちは数が足りてないみたいだけど」

シンガー「捨照護路の相手なんて私らだけで十分だよ・・・!」

ジロウ「言ってくれるじゃねえか・・・後悔すんなよ!?」

ジロウが合図を送り、捨照護路の不良少女達が一斉に襲い掛かる。マジ女側も気合を入れて駆け出し、さくらとゼロ、タイヨウが先陣を切って敵の群れを蹴散らしていく。

3人「やああああっ!」

昨日の騒動でさくらと共に戦うことを決めたツルやシスターは、不慣れな動きではあるものの捨照護路の生徒を1人1人殴ったり蹴り倒したり、メンドウは竹刀を使って相手の武器を防ぎつつ、確実に一撃をくらわせていく。

モデル「あの3人組、やればできるじゃない」

プッシュ「私らも負けてらんねえな!」

モデルとプッシュは連携プレイで、2人を囲む不良達を返り討ちにする。他の四天王も、素早い動きを見せるウサギが敵の群れを裂き、そこをシンガーとプリンセスが突いて数を減らす。

ジロウ「オラアァァァッ!」

さくら「・・・っ!?」

数人を殴り倒していたさくらだが、背後からジロウが襲い掛かりさくらは気配を感じて回避する。矢場久根の同盟破棄と誘拐騒動の失敗により、ジロウはさくらに激しい怒りを抱いていた。

ジロウ「おい転校生・・・アタシにとっちゃ、ラッパッパとかツクヨミはどうでもいい。正直テメエが一番目障りなんだよ!!」

さくら「どう思っても構いません・・・でも、私だって負けるわけにはいかない!」

ぶつかり合うさくらとジロウ。その様子を見ていたオーラはジロウに加勢しようとするが、そこにゼロが割って入る。

ゼロ「アンタの相手は私だよ・・・!」

オーラ「おっと、孤高の叛逆者さんじゃない。私の相手をご所望かしら?」

ゼロ「そんな名前はもういらない。今の私は1人じゃない・・・ただ、あやめを巻き込んだけじめだけは自分で付ける!」

ゼロはオーラに向かって蹴りを繰り出し、それをかわしたオーラもゼロに攻撃を仕掛ける。マジ女と捨照護路の激しい攻防が続く中、さくらは怒りに身を任せて迫りくるジロウの動きを見切りつつ、隙を突いてダメージを与えていく。

ジロウ「ぐっ・・・!?」

さくら「まだ・・・!」

タイヨウ「・・・!?さくらちゃん、危ない!」

さくら「えっ・・・うあっ!?」

さくらがタイヨウの叫びに気づくも一足遅く、後ろから武器で殴られた衝撃が背中に走った。捨照護路の下っ端達が、ジロウとさくらが一騎打ちしているにも関わらず乱入したのである。

ジロウ「ハハハハ・・・オラァァッ!」

さくら「く・・・っ!」

再びジロウがさくらに殴り掛かり、さくらは起き上がって避けるもさらに下っ端達が木刀や鉄パイプを振り下ろしてくる。防御しつつこれらを倒すさくらだが、気を取られている内にジロウがさくらに飛び膝蹴りをぶつけた。

さくら「ぐあ・・・っ!」

ジロウ「余所見してんじゃねえよ・・・!」

ツル「さくらちゃん!」

ゼロ「さくら・・・!?くっ!」

さくらを心配して駆け寄ろうとするゼロやツル達だが、オーラと捨照護路の不良達がこれを遮る。捨照護路の喧嘩のやり方に、ゼロは徐々に苛立ちを覚えるようになった。

ゼロ「1人で喧嘩せずに数頼み、どこまで卑怯な手口が好きなんだよ・・・!?」

オーラ「勝てればいいのよ、勝てれば。こっちだって貴女達をタイマンで破れるとは思ってないわ・・・だからこそ、出し惜しみなく押し潰す!」

オーラの不敵な笑みに何かを感じ取るゼロ。その時、無数の足音が廃墟ビルの中に響き渡る。そして姿を現したのは、ナース服を着た不良少女達と新たな捨照護路の生徒3人だった。

ウサギ「あれって・・・!?」

プリンセス「激尾古の看護科!?」

シスター「まだ、あんな数を相手にしなきゃいけないの・・・?」

オーラ「ヒット、マロン、パン!もうパーティーは始まってるわよ?」

ヒット「分かっとるわい!・・・ったく、ジロウとオーラはせっかちやねん」

パン「これでもこの子達を説得するの、意外と大変だったんだから」

マロン「おい看護科共!さっさと動け、働け!」

捨照護路生徒の1人・マロンの号令に、激尾古の不良少女達は複雑な表情を見せながらマジ女一行に襲い掛かる。先ほどまでは捨照護路の軍勢を相手にそれなりに戦いを有利に進めていた一行だが、激尾古の加勢によって戦況が一変する。

モデル「うわっ・・・!容赦なく群れて攻めてくる・・・!」

プッシュ「まるで自殺覚悟の特攻じゃねえかよ!」

激尾古・看護科の生徒達は叫びながらぶつかってくるだけで、今のマジ女や矢場久根のように喧嘩が強いわけではない。しかし、それが数によって突進力が強まり、モデルやプッシュ、ツル達を追い詰めていた。

メンドウ「お、抑えきれない・・・キャアッ!」

シスター「メンドウ・・・!うあああっ!」

ウサギ「このままじゃ・・・!」

ウサギが全速力で駆け出し、数の波に呑まれようとしていた仲間の退路を開くべく捨照護路と激尾古の生徒達を蹴散らす。だがそこにヒットが襲い掛かり、ヒットは激尾古生徒を巻き込みながらウサギを追い詰める。

ヒット「ほらほら、四天王の子兎を捕まえたれ!」

ヒットに押された激尾古生徒達を取っ払おうとするウサギだが、武器を用いた捨照護路の不良達が激尾古諸共ウサギに攻撃をくらわせ、さらにヒットが弱ったウサギを強く蹴り飛ばしてしまう。

ウサギ「あうぅ・・・っ!」

プリンセス「ウサギっ!よくも・・・!」

プリンセスはウサギを助けようとするが、捨照護路と激尾古の群れを押し返すことができない。タイヨウも大群を率いるマロンとの勝負で、身動きが取れずにいた。

マロン「流石のラッパッパもこの戦力には太刀打ちできねえか・・・?まあ、テメエら如きじゃそれが限界だろうけどな!」

タイヨウ「うるさい・・・!ああぁぁぁっ!」

タイヨウはマロンに怒涛の攻撃を仕掛けるが、激尾古生徒の突進に追撃を阻まれ、さらに捨照護路の下っ端1人に捕まってしまう。マロンはこれを逃さず、タイヨウの腹部に連続パンチを叩き込んだ。

タイヨウ「ぐあああ・・・っ!」

マロン「全く、こんな奴らを満足に仕留めきれねえなんて・・・矢場久根の奴らも甘えな」

シンガー「タイヨウ・・・うあああっ!」

パン「はいはい、貴女はこっちの相手よ?」

シンガーもパンの蹴りを受け、さらに激尾古生徒の波に押し潰されてしまう。さくらとゼロも、ジロウとオーラ達に苦戦を強いられていた。

さくら「はぁ・・・はぁ・・・っ」

ゼロ「敵の頭に、追いつけない・・・!」

オーラ「アハハハハ!ホント、マジ女の力も落ちたものね」

ジロウ「これでテメエらは終わりだ・・・後でツクヨミも地獄に送ってやるよ」

ツル「私達・・・このまま、やられちゃうのかな・・・っ」

タイヨウ「く・・・うぅ・・・っ!」

一方的な攻撃を受け続ければ、確実にさくら達は負けてしまう・・・絶対絶命かと思われたその時、捨照護路の下っ端の1人が突然蹴飛ばされた。

一同「・・・っ!?」

ヒット「何や・・・!?」

シャドウ「・・・ここまで卑劣な手段を取るとは・・・お前達は不良の喧嘩というものを何も分かっていないようだ」

廃墟ビルに姿を現した人物・・・それは、金色のマジ女マークが刻まれた紫の羽織を身に着けるマジ女の生徒会長・シャドウだった。思わぬ援軍の登場に、双方がどよめきだす。

さくら「シャドウ、さん・・・っ」

ツル「生徒会長が、喧嘩しに来た・・・?」

ジロウ「ほほう、まさかテメエが出てくるとはな・・・けどな、仲間1人増えたぐらいでこの状況は変わんねえぞ?」

パン「貴女達、マジ女の生徒会長を囲みなさい!」

パンの指示に従い、捨照護路と激尾古の両生徒達がシャドウを囲む。しかし、シャドウは笑みを浮かべるほど余裕の態度を見せていた。

シャドウ「フッ・・・この俺の首が欲しいか?そんなに欲しければくれてやる。だがな・・・」

シャドウはその場で、紫の羽織を自ら脱いだ。そして露わになった彼女の両腕には、赤と灰色のスカーフがそれぞれ結び付けられていた。

シャドウ「・・・半人前の雑魚共にやれる程、安くはねえぞ?」

プリンセス「あのスカーフは・・・!?」

タイヨウ「歴代のラッパッパ部長・大島優子やソルトが着けていた・・・!」

ジロウ「ハッ、そんなもん見掛け倒しだ・・・やっちまえ!」

ジロウの指示に従い、捨照護路生徒達が一斉に襲い掛かる。次の瞬間、シャドウは下っ端の木刀を掴んだ直後に拳をくらわせ、次に襲い掛かった不良を蹴り飛ばし、攻撃を回避しながら二度殴りつけるなど、数の群れを相手に驚異的な強さを見せ始める。

メンドウ「す、すごい・・・!」

シスター「あんなにいた捨照護路のヤンキーが、いっぱいやられてる・・・!」

ヒット「ああもう、何押されとんねん・・・!」

ヒットとパンがこの状況に耐えかね、シャドウに挑む。しかしシャドウは2人の連続攻撃をものともせず、パンの拳を弾いた直後に殴り返し、腹に強烈な一撃を叩き込んだ。

パン「ぐは・・・っ!?」

ソルトのスカーフが結ばれた右腕の拳でパンを怯ませ、さらに顔面に蹴りを入れて倒すシャドウ。指揮する1人が倒れたことで、捨照護路・激尾古に動揺が走る。

シャドウ「・・・立て!馬路須加女学園!!」

ウサギ「うぅ・・・負け、ない・・・っ」

シンガー「こんな奴らに・・・負けらんない・・・!」

プリンセス「マジ女を・・・なめるなっ!!」

シャドウの叫びに、ウサギ、シンガー、プリンセスが奮起し、動揺した捨照護路勢を押し返していく。ツル、シスター、メンドウ、モデルとプッシュも立ち上がり、さくらとゼロに迫る下っ端達を取っ払った。

ツル「さくらちゃんは、私達が守る・・・っ!」

さくら「ツルさん・・・皆・・・」

モデル「ゼロ、こんな奴さっさとやっつけちゃいなさい!」

プッシュ「下っ端は私らで引き受けっからよ・・・!」

ゼロ「フン・・・言われるまでもないよ」

ヒット「どうなっとんねん!?たった1人味方が増えただけで、戦況がこんな・・・!」

シャドウ「俺が来ようと来なかろうと、あいつらなら立ち上がるさ」

戦況がひっくり返って焦るヒットの前に、シャドウが立ち塞がった。シャドウは鋭い目つきをしながら、一歩一歩ヒットに近づいていく。

ヒット「ひっ・・・!?」

シャドウ「これが、マジになった不良の意地だ・・・お前らみたいなクズには分からねえだろうがな」

シャドウはそう言い残し、大島優子のスカーフを着けた左腕でラリアットを繰り出し、ヒットを圧倒した。またも捨照護路側が1人倒れたことで、マロンが苛立ち始めていた。

マロン「畜生・・・!おい激尾古!何怖気づいてやがる、さっさと――」

タイヨウ「ハアアアアッ!!」

マロンが激尾古を刺激しようとしたが、そこにタイヨウが勢いよく突進しマロンを殴り飛ばす。徐々に戦意を失くしつつあった激尾古を操り続ける捨照護路に、タイヨウは怒りを燃やしていた。

タイヨウ「自分の拳で戦おうともしない貴女達が・・・いつまでも他人の心を踏みにじらないで!!」

この発言に怒ったマロンが殴り掛かろうとするが、タイヨウはマロンの拳をガードして頭突きをくらわせ、さらに追い打ちでマロンの顔面に渾身の一撃を振り下ろし、彼女を地に伏せた。

タイヨウ「・・・激尾古の皆、貴女達もそれでいいの!?こんな人達の言いなりになって生きていくのなら、命を賭けて戦った先代の生徒達が泣いてるよ・・・」

タイヨウの言葉を受け、激尾古の生徒達は完全に戦意を失い廃墟ビルから逃げ去っていく。これを見たジロウとオーラも動揺し始めていた。

ジロウ「お、おいテメエら!勝手に逃げてんじゃねえぞ!?」

ゼロ「散々勝手な真似をしてきたアンタ達に、そんなこと言える死角ないでしょ・・・」

オーラ「何ですって・・・ぐあっ!?」

周りに味方がいなくなったオーラにゼロは蹴りをくらわせて追い詰める。ゼロもまた捨照護路のやり方に、亡き親友であるねるの命を奪ったいじめ行為を重ねて見ていた。

ゼロ「そうやって周りを言いなりにさせて、傷つけて、それで誰かにしがみついて醜く生き残ろうとする・・・アンタ達みたいな生き方する奴が、私は一番嫌いだ・・・!!」

ゼロはオーラを回し蹴りで吹っ飛ばし、そこから体を逆方向に捻って強烈な蹴りを入れてオーラを倒す。マジ女と激尾古の戦いも、残すはさくらとジロウの一騎打ちとなった。

ジロウ「何なんだよ、訳分かんねえよ・・・テメエはラッパッパの・・・ツクヨミの敵じゃなかったのかよ!?」

さくら「私は・・・菜緒の敵になんかなりません。どんなことがあっても、菜緒の友達であり続けます」

ジロウ「奴のやろうとしてることは、テメエらを勝手に巻き込んで見殺しにするようなもんだぞ・・・?」

さくら「そんなことはさせない。菜緒も、マジ女も・・・私達が守ります」

ジロウ「・・・テメエの言う事はいちいち、癇に障んだよっ!!」

ジロウは怒りに身を任せてさくらを殴ろうとする。さくらも同じタイミングで拳を繰り出し、顔面に直撃させたのはさくらの拳だった。ついにジロウも倒れ、捨照護路との喧嘩はマジ女の勝利に終わった。

ツル「やった・・・!」

シスター・メンドウ「さくらちゃんが勝った!」

モデル「それを言うなら、『マジ女が勝った!』でしょうが・・・」

マジ女一行は、体力を大きく削って崩れ落ちながらも勝利を喜び、笑いあった。そんな中でゼロは、援軍として駆けつけたシャドウにお礼の言葉をかけた。

ゼロ「・・・アンタが激励してくれたおかげで助かった」

シャドウ「フッ・・・何だ、お前まで弱気になっていたのか?」

ゼロ「いや、私はまだ十分やれた!助かったのは仲間の方・・・」

シャドウ「やれやれ・・・まだまだ素直じゃないな」

ゼロ「・・・でも、アンタがあそこまで喧嘩が強いと思ってなかった。あんな強さ、どこで身に着けたの?」

シャドウ「・・・伊達にあの人達に喧嘩の仕方を教わったわけじゃないからな」

シャドウの強さは、亡きラッパッパ部長達の意志を背負っているだけでなく、ある人物達の指導のおかげだという。それが誰なのかゼロが問いかけようとしたその時、また1つの足音がその場に近づいてきた。

さくら「・・・!」

さくら達の目に映ったのは、鋭い眼光を放つ現ラッパッパ部長のツクヨミだった。彼女は仲間達に視線を向けることなく、さくらに敗れたジロウを至近距離で見下ろしていた。

ジロウ「ぐ・・・テ、テメエ・・・っ」

ツクヨミに見下ろされたジロウは傷ついた体を起こそうとしていた。ところが、ツクヨミはその時間を与えまいかのように拳を振り下ろし、ジロウを再び叩き伏せた。

ウサギ「あっ・・・!」

タイヨウ「ツクヨミ・・・!?」

タイヨウら四天王はツクヨミの行動に驚いた。まともに戦える力も残っていない筈のジロウを殴るだけでなく、彼女の腹を蹴って転がし、そこから胸ぐらを掴んで何度も拳をくらわせていくのである。流石にやりすぎだと感じ、タイヨウとさくらはツクヨミを抑えようとする。

タイヨウ「ツクヨミ、もう止めて!捨照護路との戦いは終わったんだよ・・・!」

ツクヨミ「まだ終わってない・・・!私から大事なものを奪ったこいつらに、復讐するまでは・・・!!」

さくら「菜緒っ!!」

さくらはツクヨミの頬を強くビンタして、彼女の動きを止めた。その間に傷ついたジロウはオーラに抱えられ、捨照護路の軍勢は一目散に逃げていった。

ツクヨミ「・・・さくら・・・っ」

復讐の対象に逃げられたツクヨミは、怒りの眼差しをさくらに向ける。義理の姉であるおたべを失ったツクヨミと、彼女を追ってマジ女に転校したさくら・・・一度袂を分かった2人の運命が、再び交わろうとしていた――

 

 

 

 

第11話へ続く