中3 大問1(標準問題)
問1
若干(4)「もよおし」が読みにくいでしょうか?
問2
障、辞、委あたりは標準問題としては比較的難しいレベルでしょう。
問3
(1)の「閉鎖⇔開放」という対義語もなかなか出にくい。
「解放」って書いた生徒多そう。
(2)も「召し上がる」とか「いただく」のような定番モノではないのが逆に解きにくい。
尊敬語は「お(連用形)になる」、謙譲語は「お(連用形)する/いたします」の形を使えばだいたい敬語を作れる、という原則を知っていましたでしょうか?
「お書きになる、お読みになる」だと尊敬語。
「お書きする、お書きいたします、お読みする、お読みいたします」だと謙譲語。
だから、今回は「お貸しします、お貸しいたします」が正解、ということです。
問4は簡単ですが、問1~3はどれも全体的に結構きついですね。
中3 大問2(知識、資料)
問1
当塾生は全員できていました。
文末の書き換え問題では「~することです」が出ることが最も多いですが、今回は「使役」できましたね。
こういうタイプの問題は、とにかく「頭の中で音読する習慣」が最も重要です。
書き換えパターンを習得しただけでは、パターンに当てはまらない問題が出たら即死ですからね。頭の中で読んで(実際に声を出さないように)違和感をおぼえた箇所を直す。まずはここから。
問2
「たいしょう」「ついきゅう」という、両方とも同音異字がいっぱいあるパターンを出してきましたね。
今回の中3道コンは、標準・裁量ともに平均点下げてやろうという意図が明確に見えるような気がします。
「たいしょう」
対象=「相手」という意味。子供を対象とした作品。
対称=「数学の図形」のアレ。左右対称の図。
対照=「反対の性質」という意味。対照的な性格の兄弟。
大将=あんたが。
「ついきゅう」
追求=「ほしいものを求める」。利益をとことん追求する。
追究=「明らかにする」。原因をとことん追究する。
追及=「犯人を追いつめる」。社長の責任を追及する。
特に「ついきゅう」のほうは当塾生も壊滅的な出来ぐあいでしたね。
「たいしょう」は割とできていたのですが。
問3
(3)が良い問題ですね。今までの道コンでありがちだった「ただ資料から該当する箇所を抜き出すだけ」というつまらない問題ではなく、図をもとに自分である程度頭を使って書かなければいけない問題ですから。
ただ、解き方としては(1)もそうですけど要するに「対比」です。
(1)では「before-after」を対比して、何が違うのかを発見する。
(3)では「海外-日本」を対比して、何が違うのか(日本のマイナス点)を発見する。
パッと見は別の問題でも、脳みその使い方にはそんなにバリエーションはないのですね。
当塾生も細かい失点はあれど、ほぼほぼ完答している生徒ばかりでしたし、難易度としては高くないものかと思います。でも良い問題だと思います。
中3 大問3(小説)
問5の採点基準はちょっと物議をかもしそうな気がします。
というか物議をかもさせたい。
問1~4
特に問題としてコメントするようなことはありません。
標準的な良問かと思います。
文章全体の心情の流れは以下のとおりです。
以下の流れのうち、読み取れていない箇所があればもう一度確認してください。
(リード文)私=華道を極めたい&人には言ってない
(本文)森太=丸形ラケットvs卵形ラケット……「飛ばない」丸形を使うのは「変なやつ」
→私=「ちゃんと真ん中に当てれば飛ぶ」丸形を使うのは、何もおかしくない
→森太=納得いかない
→私=自分以外にも同じ考えの人がいることに興味
→私=丸形をあえて使う考え方を「真面目だ」と思う=真ん中でしっかり当てる訓練をしたい、ということだから
→私=森太を「結果しか考えず、過程を大切にしない人間」と評価
問5
森太のどんなところがダメなのか? という問いです。
模範解答は「過程の大切さに気づいていない」ところ、となっています。
この模範解答には何の問題もないのですが……
「結果ばかりを大切にする」ところ、という答えを✕としているところについて、今回の採点基準の大きなポイントがあります。
結論から言えば「結果ばかりを大切にする」、という解答は△(1~2点)を与えるべきだとわたしは考えていて、さすがにこれを✕とするのはちょっとやりすぎかと思います。
たとえば、「結果ばかりを大切にする」ではなく「結果を大切にする」という解答であれば、文句なしで✕にしていいと思います。
「結果を大切にする」ことそれ自体は決して悪くないですから、森太のどこが問題なのか?という質問にまったく合わない。
ただ、いま問題となっているのは「結果ばかり大切にする」という答案の是非です。
「結果ばかり大切にする」という答案の「ばかり」は「only」の意味ですから、すなわち「結果以外のものをないがしろにする」という意味がきちんと籠められているわけです。だったら、模範解答「過程の大切さに気づいていない」という意味も内包されることになるんですよね。
「結果しか見ない」と「過程を気にしない」はほぼイコールと解釈してよいでしょう。
もちろん「結果しか見ない」という言い方には「過程」という重要語句が抜け落ちているわけですから、
「具体的に、何を見ていないのか?」
「本来は、何を見なければいけないのか?」
という疑問にストレートに答えられていない答案であることも事実です。
だから「内容があいまい、抽象的すぎる」という観点でマイナス1点するのは妥当だと思うんですよね。ただ✕はやりすぎだろう、と。
これを✕としてしまうと、最初に述べた「結果を大切にする」というダメ答案と、いま問題としている「結果ばかりを大切にする」という答案を、同じくゼロ評価するという意味になってしまいます。
「結果を大切にする」という答案は、本文・設問の趣旨をまったく理解していない答案なので、これは✕にして当然です。
「結果ばかりを大切にする」の場合は、不完全ではありつつも要点はしっかりと押さえている内容なので、であればこれは△にすべきだというのがわたしの見解です。
……ただ、当塾生で「結果ばかり大切にする」って書いてきた生徒じつは一人もいないんですよね。
全然違う答えを書いていて問答無用で✕か、模範解答どおり「過程」にしっかり触れているかにハッキリ分かれる結果となりました。
中3 大問4(裁量問題・説明文)
小説もなかなか良問だと思いましたが、この裁量問題もとてもいいですね。
……これも小説と同様、採点基準に関する疑義はあるのですが、それを差し置いても安直に傍線部前後を適当に抜き出すだけでは全くと言っていいほど点数にならず、きちんと全体を理解した生徒とそうでない生徒で明確に差がつき、かつ文章の内容としても「学べる」新鮮かつ身近な題材です。
こういう問題を毎回出してくれたら、国語をナメてかかるナメた受験生が激減していって、ひいては北海道の中高生の国語力全体が向上する結果になるんじゃないかなぁ、と思います。
採点基準についてのあれこれは置いておいて、今回の作問を担当された方にはGood Jobと申し上げたいところです。
問1
裁量の漢字として考えれば「やや易」というところでしょう。
問2
問題としては良いと思うのですが、採点基準に疑問が残ります。
まず、道コンの出している採点基準を要約してみます。
A 「世界がそもそも無常であること」が示されている → なければ1点減点。
B Aに対して「ヨーロッパ人が不変を求めたこと」が示されている → なければ3点減点。
C Aに対して「日本人が変化するもの=木を求めたこと」が示されている → なければ3点減点。
C別解 Bに対して「日本人が不変なものを遠ざけたこと」が示されていてもOKとする。
C注意 ただ「木に愛着をもった」と書かれている(=木の「変化する性質」に触れられていない)場合は、1点減点。
Aが、最も生徒にとって書きにくい場所でしょう。
日本人が「変化する木を愛した」のも、ヨーロッパ人が「不変を求めた」のも、その根本原因は「世界の無常性」にあります。
ここが書けている生徒は「本当に文章全体がわかっている」生徒だけだと思いますし、正直「1点減点」などとケチなことを言わず、ここを書いた生徒と書いていない生徒にもっと差をつける基準でもいいのかな、という気もします。
……まぁ、そこまで厳格化すると完全に大学受験レベルになってしまいますが。
ということで、わたしが異議がある採点基準はAではなくBとCです。
Cの「注意」というところを見てください。
「木に愛着を持つ」と書き、そしてその理由として「木に変化する性質がある」という内容も示す。この2点が書かれていてパーフェクト評価。
前者の「愛着」しか書かれていない場合は△、ということですね。
妥当な採点基準かと思います。
一方、Bはどうでしょうか。
おそらく、数多くの生徒がBの内容を書こうとして「木を畏怖する気持ち」という内容を書いて✕にされているのではないかと思います。
「木を畏怖する気持ち」という内容は採点基準に一切触れられていないので、そのまま素直に基準を受け取るなら✕になるはずです。
しかし、本当に「木を畏怖する気持ち」は✕にすべき答案なのか?
ヨーロッパ人の「木を畏怖する気持ち」というのは、日本人の「木を愛する気持ち」と対になる内容ですから、本来であれば模範解答に入れるべき内容だと思うんですよね。
そしてヨーロッパ人が「なぜ木を畏怖するのか?」という説明が「不変なものを求めるから」という内容になる。
要するに、BとCは内容的に全体が対になっているわけですから、だったら解答も対のものとして示すべきではないかと。だから「ヨーロッパ人が木を畏怖する心」と「不変を求める心」は両方書かれるべき内容だと思うんですね。
よって、わたしなら模範解答はこうします。
「世界の無常性ゆえにヨーロッパ人は不変を求め、変化する木に畏怖の念を抱いたが、逆に日本人は無常を自然なものとして受け入れ、木を親しみ深いものと捉えたから。」
しかし実際の模範解答では「ヨーロッパ人が不変を求める」はポイントになっているのに、「ヨーロッパ人は木を畏怖する」はポイントとして数えられていない。
「木を畏怖する」という解答にも、せめて1点は与えないと、基準BとCの間でバランスが取れなくなってしまうように思います。
問3
これも問題としては良いと思うのですが、模範解答に疑問ありです。
模範解答「木でできた桶は、自在に組み立てることも木片に戻すこともできるし、用途が固定されていないし、使っていくうちに見た目が変化するものだから。」
これだと、傍線部3「生きた道具」であることは説明できたとしても、傍線部4「心が通い合う」の内容に全く触れられていません。
わたしが模範解答を作るなら、こうです。
「木の桶は使い方、組み立て方、見た目いずれの面でも常に変化し続けるため、変化を受け入れる日本人の無常観に合うものだったから。」
最後の「変化を愛する日本人と、変化する木がピッタリ!」という内容を入れないと、傍線部4「心が通い合う」の説明にはならないですよね。
模範解答は、本来6点中3~4点しか与えてはいけない答案だと思います。
文章も問題も本当に良いぶん、もうちょっと文章内容に向き合って、芯を食った模範解答、そして適切に出来ぐあいを評価できる採点基準を作っていただきたいかな、と思うところではあります。
でも文章と問題は本当によいです。今後もこんな感じにしてほしい。
中3 大問5(古文)
注釈はやや多いものの、高校受験としてはまぁこんなものか、という範囲ですし、内容的にもちゃんと読もうとするとそれなりに読みごたえがある良問かと思います。
問1
会話の流れから主語を把握し続けるのは、高校古文の基本的な技術です。
高校入試というよりは、大学入試古文の入門編ともいえる問題かな、と。
問3がちょっと消去法的に解かないと解きにくかったかもしれないですね。
侍の「身分が低い」ことを明示するのはリード文だけですので、リード文への意識が甘いと自信をもって正解が出せなかったのではないかと思います。
中3 全体を通して
過去の道コンよりも明確に難易度も上がり、難易度だけでなくテストとしての質も大幅に向上したと感じています。
模範解答、採点基準にいくつか文句は言ったものの、全体としては良い試験と言ってよいかと思っています。
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