中1 大問1(漢字)
(2)「へる」がやや難しかったかと思います。これ、高校生に古文を教えていても、「経て」を「へて」と読めない生徒結構いるんですよね。
逆に言えば、高校生になって古文でも必要になる漢字ですので、読めるようにしておきましょう。
「へない、へて、へる、へる時、へれば、へろ」と活用しますので下一段です。
あとは標準的なレベルかと思います。
中1 大問2(資料、対話)
問1~2
空欄問題はまず空欄前後の条件チェックをするところから。
問1は、直前の「ここ三年間で~」と内容から、資料(B)を見ればいいのはすぐわかりますね。
問2も、前の「練習内容はスピーチしなくてOK」という内容がわかればよいわけです。
問3
こういう資料問題の記述問題は、とにかく「質問内容」「条件」を外さずにチェックすることが必須です。
どんなに資料を読み込んでも「質問内容」「条件」を見落とした段階で思いっきり点数が下がっていくものです。
今回の場合は「3つの文」という条件があるので、その時点で「書くべき内容も3つある」ことがわかります。こういうときに「同じことを2回、3回繰り返して書く」のがダメです。同じことを繰り返して書いても点数は増えません。
で、1文目が「平日は~」で書き始めるということは、ここに「平日の練習スケジュールを書けばよい」ことはわかりますよね。
そして、3文目にも「バスケ部のよいところ=空欄①の直後の内容」を書けばいいこともわかります。
つまり、「2文目に何を書くか」だけが、問題文に条件指定されておらず、自分で導かなくてはならないということになります。
1文目で「平日は~」と言っているわけですから、2文目に「土日」の予定を書かなくてはならないことは推測可能でしょう。
問4~5は特にコメントすることないです。
解説のとおりでよいと思います。
中1 大問3(小説)
ひとことで小説と言ってもいろいろなパターンがありますが、今回は「読み進むにつれて謎が解き明かされていく」タイプの小説と言えます。
冒頭では「少女が何者なのか?」「なぜ花にこだわりを持っているのか」がまるで不明な状態ですが、読み進むにつれそれらの謎が具体的に説明されていきます。
となると、読み方としては評論、説明文とさほど変わらないことになります。
「今、何がわかっていないのか?」を理解して、その「わかっていない情報」を探し、埋めていくように読み進めていけばよい。
抽象的な内容を、徐々に具体的に明らかにさせていけばよいわけです。
(ちなみに、他に入試小説でよく出るものとしては「心理的葛藤/主人公の思索タイプ」と「心情変化/人物の成長タイプ」があります。「心理的葛藤」を描いたのが中3、「成長と変化」を主に描いたのが中2ですね。)
問1
小説も、結局は同じ「国語」ですので、「本文に書かれてある内容」から答えを作っていく点では他のジャンルと全く同一です。
「心情」だからと言って、自分で勝手に類推・創作してよいものではありません。
今回でいえば、
(状況)
少女が花を見ている→絹子にその姿を見られる
(心情)
3行目「慌てたように」
4行目「みーちゃんが落としたんじゃないの」
6行目「信じてもらえるだろうかというように不安げに」
これら4か所を文中から抑えられていれば、模範解答のような解答が無理なく作れることに気づくはずです。
さらに、その後に絹子の心情として「彼女はそれを誰かがもぎ取ったせいだと思ったのだろう」と書かれてあるので、つまり「みーちゃんがもぎ取ったと、絹子に疑われている」とみーちゃんが思っていることも判断できます。
ただ、ひとつ今回の模範解答に細かいケチをつけるとすると……
これ、問6でも同じことが言えるのですが、みーちゃんの目線に立つと、みーちゃんは目の前にいる女が「絹子」という名前だとは知らないはずですよね。
だったら、みーちゃんが不安に思っていることを記載するときに「絹子」という固有名詞を解答に入れるのは本当はNGだと思います。知らないものを答えられるわけがないので。
本来であれば
「自分が椿の花をもぎ取ったわけではないと、家人に信じてもらえるかどうか不安に思っている」
という書き方であるべきだろうと思います。
細かいようですけど、結構大事なことなんですよ。これ。
問2
アとエは、いわゆる「フライング選択肢」です。
少女が花を欲しがっていることは、傍線部2の時点ではまだわかっていない。事実として正しくても、あくまで小説は「人物の立場」で答えるのが鉄則ですので、その人物が知らない、わかっていないことは正解にならないのですね。
(だから、問1のような細かいところも気にしてほしいわけです)
問3
大学入試ではたまに見かけますが、文章の最後まで答えが全然わからない問題は高校受験ではわりとレアですね。
で、結局ヒロくんって誰なのか全然わからないまま終わるという……
問4と問5は特に語ることはないかと思います。
中1 大問4(説明文)
問1 なんで「文節数」で答えさせるんでしょうね?
ふつうにスラッシュ入れさせたらいいと思うんですけど。
今回の問題は、文節に区切る問題で間違えやすいポイントが2つ入っています。
ひとつ「形式名詞」の「こと」です。
一般的に流通している「ネ」を入れて読む方法だと、形式名詞の直前には「ネ」とは通常入らないんですよ。「思索にネ、ふけるネ、ことがネ」とはならないですよね。
でも、ここは文節に区切らないといけないんです。なぜなら名詞は自立語だから。
(「なぜなら名詞は自立語だから」と言われて意味がわからない中学生には、FiveSchools「中学国語基礎Lesson文法編」の受講を強くおすすめします)
もうひとつは、最後の「できない」の「ない」です。
「ない」というのはそもそも「形容詞」と「助動詞」の2種類があり、「形容詞」の場合であれば文節に区切ります。なぜなら形容詞は自立語だから。逆にそれが「助動詞」であれば文節に区切ってはいけません。なぜなら助動詞は付属語だから。
で、今回の「できない」の「ない」は助動詞なので、これは文節に区切ってはいけないのですね。
つまり「思索に/ふける/ことが/できない」で答えは4文節となります。
しかし、今言ったポイントを両方とも間違えて、「思索に/ふけることが/でき/ない」と区切ってしまった場合でも、これも4文節となってしまうので偶然当たってしまうことが十分にありえるわけです。
だから、なんで数で答えさせるの?? という冒頭の疑問が生まれてくるということです。偶然当たってしまうのは、読解問題における選択問題でもそりゃ起こってしまいますけど、容易に防ぐ方法がある場合は防いだらいいんじゃないか、と思うのですが。
問2
これも「問題文の条件」をしっかりおさえることです。
あくまでも、今回求められているのは「例」ですので、一般的・抽象的な説明ではなく、具体例が書かれている箇所でなければ答えにはならない、ということ。
一般論・抽象論でいうなら、2~3行目「自分自身に対する洞察」、10行目「自分の心の声」が「気づき」の説明に該当しますが、これだとまったく「具体例」ではないですよね。
「自分自身の何に気づくのか?」「自分の心の声は何と言っているのか?」が具体的にわかるところを探していく必要がある、ということです。
ちなみに、傍線部直後の2段落以降は「さみしさ、絆」の説明ですので、そもそも傍線部「気づき」と内容的に合いません。
こういう、傍線部直前直後をただ適当に書き抜いてくる生徒を一気にふるい落とす問題はとても良いですね。どんどんこういう問題を出してもらいたいところです。
問3
①は「~状態」というつながりだけで解けてしまうと思いますが、②の前に、すで「外的刺激の遮断」については書かれてしまっているのがポイントですね。
すでに「外的刺激への遮断」が書かれてしまっている以上、同じ内容が②の答えになるわけがない。間違えた生徒の多くは「接続を極力切断する」と書いたのではないでしょうか。
問4と問5
空欄の前後の条件をおさえてしまえば、答えとしては非常にシンプルで答えやすい問題かと思います。中3生だったら「ちょっと簡単すぎるんじゃない?」と言いたいところですが、まぁ中1ですからね。こういう素直な問題もあって良いかと思います。
中1 総評
全体的に見て、文章、設問の難易度ともにほぼすべて適切な試験になっていると思います。
前回の4月道コンのときも褒めまくりましたが、今回もすごく考えられた良い問題だと思いますよ。ちゃんと復習すると、ちゃんと国語力向上に結び付くと思います。学力テストもぜひ道コンさんを見習ってもらいたいところです。