中1 大問1(漢字)
平易なレベルだと思います。
中1 大問2(資料・対話)
各資料をバランスよく読み、必要な情報を引っ張ってくる能力が必要で、中1レベルとして相応な適切な出題だと思います。
中1 大問3(小説)
出典:まはら三桃「鷹のように帆をあげて」
中学、高校入試小説の定番となったまはら三桃さんからの出題ですね。
拙著「やさしい中学国語」でも使わせていただいております。別の作品ですが。
心情はすべて本文に明確に示されていて、しかも傍線のすぐ近くに書かれているものばかりですので、難易度としては平易です。
問3も字数は長めに見えますが、要するに傍線部の前の段落コピペするだけの問題ですから、見掛け倒し。
以前から言っていますが、もうちょっと傍線部と解答箇所を意識的に離してほしいですね。
こういう問題に慣れ切って「どうせ答えはすぐ近くに書いてあるんだろ」とナメてかかるようになると、後々の国語学習の足を大きく引っ張ることになります。
(とはいえ、現実的に高校入試の国語は「傍線部のすぐ近くに書いてる」ことが大半なので、「どうせ答えはすぐ近くに書いてある」という前提を持っておくことも必要ではあるんですよね……)
いずれにせよ、今回の中1小説で得点が取れないという生徒は、「本文から心情の根拠を拾う」習慣そのものがついていないと思います。
何をさておいて、まずは「本文からの証拠集め」ができないと国語は何も始まりませんので、とにかくここからスタートしましょう。
中1 大問4(評論)
出典:榎本博明「<自分らしさ>って何だろう?」
問1
中2同様、最も正解しやすい「逆接」の問題なので、難易度は低かったと思います。
接続語の空欄補充じたい問題形式としてやや時代遅れだと思うのですが、どうせ出すならもっと「順接」を問う問題が増えてほしいです。
問2
品詞分解が道コンで出るのはやや珍しいですが……
そもそも「文節」と「単語」の区別ができているでしょうか?
この問題で「2」と答えた人は、それは文節数を答えてしまっています。
「例/を/あげて」と考えて「3」と答えた生徒も多いでしょうが、なぜ「3」ではなく「4」なのかを理解することが学習上とても大切なんです。
・「あげて」が、活用のある言葉であり、もともとの終止形が「あげる=動詞」であるということに気付けるようになること。
・「あげる」に「て」がついて、連用形「あげ」に変化したということ。
この2ポイントを理解していないと、なぜ答えが「3」ではダメなのかを納得することはできないでしょう。
つまり活用された言葉はどこに単語の区切り目があるのかわかりにくくなるので、動詞、形容詞、形容動詞の活用パターンを頭に入れておくことが本来大事。
なのですが……
そう、動詞、形容詞、形容動詞の活用パターンを学ぶのって、中1ではなくて中2なんですよ。
だから、本来この問2は、中1ではキッチリ理解して解くことはできず、国語が得意な生徒であっても「なんとなく」でしか正解できない問題なんですね。
そういう意味で、中1の試験で品詞分解を出すのはわたしは原則として良くないと思っています。
中2以上で出すならいいと思うのですが、なぜこれを中1で?
という疑問が。
問3
これはものすごく良い問題ですね。すばらしい。
何がすばらしいのか。
「足が速い」という問題文の例は、本文にはまったく書かれておらず、「背が高い」「太っている」という他の具体例から類推する作業が必要なのです。
よって、この文章で筆者が言いたいことを、内容的にしっかりとらえていない生徒には答えられません。
「傍線の近くをコピペする」だけではまったく点にならず、本文のポイントをとらえている生徒だけが正解を出せて、理解できていないと点数にならない。
国語の問題って、こうあるべきだと思うんです。
問4
これも、シンプルかつ良問です。
冒頭の問題提起部分に傍線を引いておいて、その結論を簡潔に答えさせる問題。
これも、傍線の近くを抜き出すことではまったく点にならず、本文を「読めて」いることが不可欠です。
すばらしいですね、この評論は。
出題者に拍手です。
(問2はともかく)
中1 大問5(古文)
出典:「醒酔笑」
ほぼ落語のマクラに出てくるような小噺ですね。
志ん朝師で聴きたい。
中1の古文としては適切なレベルの良い出題だと思います。
2行目「落ちぬ」の「ぬ」は平安時代の文法で言うなら「完了」になるところなのですが、江戸時代の出典だと打消になるケースが多々あります。
高校生がこれを解けばかえって混乱してしまいそうですが、まぁ中学生の場合はそもそも「ぬ」の識別法を知らないので、かえって自然に読めてしまうのでしょう。