昨日の続きです。
こんなに長いシリーズになるとは思ってなかった。
昨日、「形容詞・形容動詞」が日本語学校では「イ形容詞・ナ形容詞」という名称で運用されているというお話を申し上げました。
ただ、中学校文法では「形容詞=『い』で終わる」「形容動詞=『だ』で終わる」と教えることになっているため、
なぜ形容動詞が「ダ形容詞」ではなくて「ナ形容詞」なのか?
という疑問が当然出てくるかと思います。
これがなぜなのかは明確に根拠をもって答えることはできないのですが、わたしとしては以下の2つの理由なのではないか、と推測しています。
① 日本語学校での文法は「丁寧体」を基本としているから
中学校文法では、動詞など活用する言葉は、「終止形」を基本の形として考えますよね。
辞書に載っているのも「走る・見る・来る・する」というように、すべて「終止形」。
ところが、日本語学校での指導は、基本的に動詞は「ます形≒連用形」を基本として覚えます。
外国人学習者向けの単語帳や辞書も、基本的に全部「走ります・見ます・着ます・します」というように、「ます」をつけた状態で書かれていて、日本語学校などの単語テストも全部「ます」がついた状態で行うのが一般的だろうと思います。
つまり、日本にやってきた外国人が、現実に「終止形=タメ語」の形で人としゃべる機会がどの程度あるのか、という問題がひとつ。
また、就労、バイトなどの関係で、いきなり「終止形=タメ語」を覚えさせてしまうと日常生活に支障が出かねない。
「レジ袋いるか、いらないか、どっちだ」
とお客さんに聞く外国人アルバイトになってしまうとお互いよろしくない。
だから、学習の初期段階ほど「ます形」で覚えさせておいて、習熟が進んでから「友達どうしで話すフレンドリー・スタイル」ということで「終止形=辞書形」を教える、というのが通常の流れなのですね。
ということで、形容動詞も「~だ」という「タメ語」の形を基本としてしまってはよろしくないので、名詞を修飾する「~な」の形を基本として「ナ形容詞」という名称にしたのではないか、という説です。
② 「名詞+だ」との識別のため
形容動詞「静かだ・愚かだ・きれいだ」は、名詞に助動詞「だ」がついた形「男だ・パンダだ・山本だ」との区別が問題となってきます。
「名詞+だ」の形のうしろに他の名詞を持ってくると、「男の人、パンダのえさ、山本のかばん」のように「の」の形に変化しますが、「形容動詞」のうしろに他の名詞を持ってくると、「静かな人、愚かな行為、きれいな女」のような「な」の形に変化する。
「名詞+だ」と「形容動詞」を区別するためにも、「だ」ではなく「な」を基本の形としたほうが覚えが早いということもあるのではないかと。
ちなみに、「名詞+だ」と「形容動詞」はそもそもが曖昧な場合が多々あります。
「バカ」なんかは典型的な例でしょう。
これを「形容動詞」と考えて「バカな男」のように「な」の形に変化させることもできます。
ただ、「こんなものはバカの食べ物だ」のように「の」に変化させてもおかしくない場合もあり、この場合は「名詞+だ」と考えた方が自然と言うこともできるでしょう。
なんか細かい話になってきてしまいましたが、おそらく次回でこのシリーズいったん終わりになるかと。
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