昨日の続きです。
中学校文法vs日本語学校文法の、「動詞の活用」に関する主要な違いはだいたい話をしたかなと思います。
あとは、話の流れ上前回最後に「形容動詞」の話が出てきたので、先にこれをピックアップしておきましょう。
・形容詞、形容動詞 → イ形容詞、ナ形容詞
中学校文法では「美しい、かわいい、くさい」のような言葉を「形容詞」、「きれいだ、愚かだ、静かだ」のような言葉を「形容動詞」と名付けていますよね。
ただ、この「形容動詞」という名前は非常に誤解されやすい。
この名前を見ると、あたかも「形容動詞」が「動詞」の一種かのような気持ちになってしまうじゃないですか。
「形容動詞=形容詞の意味を持ちつつ、動詞の意味も持つ言葉」
みたいな感じに勘違いしている大人も結構多いのではないでしょうか。
しかしながら、見てのとおり「美しい」と「きれいだ」って、意味的にはほぼ同じですよね。
違いは、最後が「い」で終わるか、「だ」で終わるかでしかないので、これを「イ形容詞」と「ナ形容詞」というシンプル名称に変えて日本語学校文法では運用します。
なぜ「ダ形容詞」ではなくて「ナ形容詞」なのか?
と思ったと思いますが、それについては今回のシリーズで話したいひとつの大きなテーマと関わることなので、明日お話しすることといたします。
あ、そうだ。
じゃあ、なぜ「ナ形容詞」が「形容動詞」と呼ばれるようになったか。
「形容動詞」って、もともと古文では「愚かなり、静かなり」のように「~なり」の形で表されていたんですよね。
この「なり」の形は、ラ変動詞「あり・をり・はべり・いまそかり」と同じパターンで形が変化していくのです。
「あらず、ありけり、あり。ある人、あれば、あれ」
「愚かならず、愚かなりけり、愚かなり。愚かなる人、愚かなれば、愚かなれ」
どっちも「ら・り・り・る・れ・れ」になっていることがわかりますよね。
つまり、意味的には「形容詞」だけど、活用のしかたが「ラ変動詞」と同じなので、それを合体させて「形容動詞」と名付けたということなのですね。
しかし、これも現代になると「愚かなり→愚かだ」と変化してしまいます。
この「だ」は品詞でいうと「助動詞」なので、実は現代語においては「形容動詞」を「形容動詞」というべき根拠がほぼなくなってしまっている。
いうなれば「形容助動詞」とでも呼ばないと本来は理屈に合わない話なんですけど、学校文法お得意の「古典文法のときの名称を極力変えたくない」力学が作用して、今に至るまで「形容動詞」という名前のまま変わらずにやってきている、という流れになります。
(つづく)
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