教科別専門教室FiveSchools OFFICIAL BLOG

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札幌の進学塾・予備校「教科別専門教室FiveSchools(ファイブ・スクールス)」公式ブログ。毎日更新しようという気持ちだけは胸の中にあるというイメージ。

FiveSchoolsがどのような授業をしているのか、村上がどのように授業準備をしているのかを少しずつ整理して語っていくのも悪くないかな、と思いまして。

 

まず、去年あたりから力を入れて整備しはじめた「小学国語」について話をしてみましょう。

(中学国語Primeクラスも基本的にまったく同じ考え方で授業を作っています)

 

文章読解というのは、わたしは18歳でこの業界に入って以来、ずっと「方法論」を磨いて、それを生徒に伝えることは最優先にして生きてきましたし、今も基本はそうです。

 

文章というものは「正しい読み方」「あるべき解き方」というものがあって(あると想定して)、そのフォームをより合理的なものにすること。

そして、そのフォームが身につくことがすなわち成績アップへの道である。

このように考えて自分の授業を磨いてきた。

 

まぁ、その結果実績出してきましたし、参考書まで出してしまいました。

それなりに成果を出せてきたと自分では思っています。

 

しかしですね、やはり「方法論」主体の授業って、ボキャブラリーを一定水準以上持っている、いわゆる「もともとある程度素養のある」生徒には効果が出ても、それ以前の段階の生徒にはほぼ響かないというのも現実です。

わたしが授業してもほとんど成果が出ない生徒、というのも事実として一定の割合では出てしまう。

(その割合は相当少ないほうだとは思いますが)

この理想と現実のギャップというものに、多くの国語科講師は悩んでいるはずです。

いや、悩んでいない人はたぶんひとりもいないのではないか、と思うぐらい。

 

今述べた「方法論」主体の授業というのは、要するに自分が高校時代に成績を急激に伸ばしたやり方なんです。

 

自分で言うのもなんですが、わたしは3歳でひらがなカタカナ全部書けましたし、自分の名前、両親、祖父母の名前、住所ぐらいはもう全部漢字で書いていました。

小学校に上がるころにはローマ字全部書けましたし、新聞も毎日読んでいた。

そういう子どもだったんですね。

 

だけど、中学に上がってみると、国語の定期テストはだいたい80点ぐらい、学テABCとか入試でも50点(60点満点時代)行けばいいほうだったと思います。

高1になって最初のスタディーサポート的なやつで、国語の偏差値は55ぐらいでした。

 

ところが、いろいろと参考書なり予備校の授業で「国語の方法論」「正しい解き方」的なものを学んでみると、次の進研模試では偏差値74に跳ね上がった。

この成功体験が、「方法論」を追求しようとするわたしの熱意の原点にあるのは間違いありません。

あれだけ本を読んでも全く上がらなかった国語のスコアが、ちょっと「方法論」を勉強しただけでこれだけ上がる。

予備校というのはすごい、と。

もっとすごい「方法論」は作れないか、そうすればもっと多くの生徒を救える、と。そう思ってこれまでやってきた。

 

もちろん、これも一面の真実です。

「予備校の国語の授業」がなければ、たぶん最後までわたしの国語偏差値は上がらなかったわけですから、すごいのは確かです。

 

だけど、それって、要するに幼稚園のときから新聞を平気で読んでいたボキャブラリーの蓄積があればこそ為せる業なんですよ。

「本は読んだことロクにありません」

「新聞なんて天気予報とテレビ欄しか見ません」

という生徒に「方法論」を教えたところで、それ以前のベースが何もない状態なわけですから、成果など出るわけがない。

 

でも、自分の成績を上げてくれた「予備校の授業のすごさ」は認知できても、その前提となる十数年の読書、言語活動の積み重ねというのは自覚しようと思ってもなかなかできるものじゃないんですね。

多くの生徒もきっとそうでしょう。

 

だから、一般的に塾や予備校で授業を「売る」ための商品として捉えるなら、

「イッパツで成績が上がるすごい授業」

という期待を持たせることで売り出そうとするわけです。

それは商売として当然ですし、実際それで上がる層もいっぱいいるわけですから別に悪いと言い切れるものではない。

(日々の積み重ねなんて不必要なんだ、と生徒に誤認させる宣伝方法は業界のモラルとして滅すべきだとは思っていますが)

 

だけど、その前提となる蓄積がそもそもない生徒はどうしたらいいのか。

正直、多くの予備校、多くの塾にそういう生徒さんが通っても「いいお客さん」と化してしまうだけです。

成績は上がらないけど、月謝だけ毎月運んできてくれる存在になってしまう。

 

でも自分で塾をやるからには、やっぱりそれを良しとしたくない自分がいるわけです。

小中学生のうちにしっかりとベーシックな素養を鍛えて、ボキャブラリー水準を十分に持った状態で全生徒を高校に送り出す。

そして高校でガンガンに「方法論」を叩き込んで、受講生全員にキッチリと満足のいく成果を出してもらう。

そういうステップを生徒に踏んでもらいたいという期待がある。

 

そういう思想のもとに、今のFiveSchoolsの「小学国語」あるいは「中学国語Prime」クラスは存在しています。

具体的な内容は次回申し上げることといたしましょう。

 

(つづく)
 

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佐藤です。

前回に引き続き、高校生の取捨選択の重要性について書いていきます。

 

中学生の定期テストは範囲が狭く教科も少ないため、ワークを繰り返す時間は十分に取れると思います。

しかし、高校生は教科の数と内容の難しさが段違いで、対策するのはかなり苦労するところです。

 

正直、私が定期テストで点数を取れていたかと言えばそうでもないのですが、先生に言われたのにできていなかったことを含めてお伝えしようと思います。

 

先生に言われたことは、「学校のワークを必ずしもすべて解こうとする必要はない」ということです。

リスキーに思われるかもしれませんし、そんなことしていいのかと私も実際に思っていました。

 

ですが、時間がないのも本当で、すべての問題に手を付けられたとしても(難しくて放棄したものもあったのですが)繰り返す余裕があまりありませんでした。

 

先生はなぜ上のようにおっしゃったのか。

 

それは、ワークの中には自分には必要以上のハイレベルな問題も含まれていたからです。

例えば、数学には文系では必要ないレベルだけど理系にはマストの問題がありますし、社会でも共通テストではそこまで必要ないけれど、細かく聞いてくる定期テストや私大文系ではよく出る問題などがあります。

今の自分では理解するのに時間を使いすぎてしまう、あるいは解答を読んでも一向に理解できない問題に時間を掛けるよりも、少し頑張れば回答できそうな問題を確実に解けるようにすることが重要なんだと思います。

 

時間をうまく節約しながら理解する、点数を取るには、自分に必要ない問題は最初からやらないで、時間がもしあれば手を付けるくらいの気持ちで良いのかもしれません。

※定期テストの点数が進路に重要になる、推薦狙いの方はまた別のはずです。あくまで一般入試受験者の視点からのお話だということは、ご承知おきください。

 

つまり、中学生は問題を一度解いてみてから分類していましたが、高校生では問題を解く前から分類が始まっていたということです。

自分に必要なのかどうか判断するのが難しいものは、学校の先生を頼ると良いと思います。

教科担任の先生は個人のレベルを把握してくださっていて、次必要なのがどのレベルにいくことなのかも教えてくださいました。そこで自分に必要だと分かったものについては、精度を高める勉強をしていきます。

 

もちろん、定期テストの勉強では後回しにした問題も、入試に向けて解く必要が出てきます。

しかし、段階を踏んで理解しておくと、次に進みやすいのです。知識のベースができているため、そこにまた一つ上乗せすることで解ける問題が増えていきます。

 

変に背伸びせず、低く設定したハードルをいくつも越えていくことが成長の近道なんだと思います。

 

今日の一枚

 

先日、友達に誕生日を祝ってもらった際に行った、LAUGH caféというお店です。

ボンゴレパスタは大好物でずっと気になっていたお店ですが、また行きたいところになりました。

ちなみにこの写真、一人前を3人に盛り分けてもらったサイズです。

一皿のアサリの多さはお分かりいただけると思います。

 

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お久しぶりです。佐藤です。

暑い日が続くようになりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 

今回は取捨選択をテーマに書いていこうと思います。

 

定期テスト終了後の今、生徒との面談の話題は定期テスト対策の振り返りです。

点数が上がったか下がったかではなく、対策した内容がどう結果に表れているかに重点を置いてお話しています。

 

対策が不十分で点数が伸びなかった場合、勉強量を増やしたり必要に応じて応用問題の演習を取り入れたりしていきますが、自分では勉強したつもりだったのに点数が取れなかったという場合にはまた別の対応になるかと思います。

中学生の例としては、ワークを3周もしたのに思ったより解けなかった、あるいは計画通り完璧に勉強したと思っていたのに点数は伸びなかったなどが挙げられます。

 

勉強量を増やすのは大前提ですが、量を確保した後は内容の質です。

質を高めるための一つの案が、

 

「勉強内容を取捨選択する」

 

ということです。

 

中学生の定期テストでは学校のワークや先生が作成したプリントを使った対策が必要で、目安としてワークを最低2周できると良いね、とお伝えしています。

特に国語はワークの問題を覚えていれば解ける問題が多い印象なので、ワークを繰り返すのは有効だと思います。

 

ただ、ワークを闇雲に繰り返すだけでは時間もかなりかかってしまいますし、勉強した気になっているものの理解はできていない可能性も生まれます。

 

ここでおすすめなのは、問題を解くときにどの程度スムーズに解けたかをメモしておくことです。私は以下のように3つに分けていました。

 

×:一度目にすんなり解けたもの

△:時間は掛かってしまったけれど自分で解ききれたもの

〇:わからなかったもの、または教科書を読んだ直後だからできただけに感じるもの

 

このグループ分けをしておくと、復習が楽になります。

ワークの2周目や3周目は、〇→△→×の順に解いていくんです。

2回目ですんなり解けたものは、一回目と違う色で×にすることで、達成感も生むことができました。

時間がない時には×と△の問題は捨てて、せめて〇の問題だけでも復習するようにしていました。

 

〇の問題が2回目、3回目も〇のままだった際には、何か根本的な理解ができていないことを疑います。

解答を読んだらわかったのに...となるのは、回答するときの要素が抜けているからだったり、考え方が覚えられていなかったりするので、一番手っ取り早いのは学校でも塾でも先生に質問することだと思います。

先生は生徒の失敗パターンをいくつも見ているはずです。生徒が今どこに行き詰っているのか把握し、解決策を示してもらえるのではないでしょうか。

 

また、ずっと〇が続いた問題を抽出した間違いノートを作ることも有効だと思います。

自分が苦手とする問題の傾向を掴んだり、テスト直前に気を付けたいポイントをチェックしたりするのに役立ちます。

 

こうして〇の問題を△や×にしていく作業を繰り返していました。

頑張って対策したのに点が取れなかったという人には、ぜひ試していただければと思います。

 

中学生の頃の話が長くなってしまったので、次回高校生の取捨選択方法をお伝えしていきます。

 

今日の一枚

 

cafe KANONという、東札幌に本店があるパンケーキ屋さんが丸井今井札幌にできたので行ってきました。

マスカルポーネクリームとブルーベリーのパンケーキを食べました

赤ワインで煮込んだブルーベリーらしく、なかなか食べられないブルーベリーソースでした。

一人がけの席が多かったのも行きやすいポイントかもしれません。

 

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昨日の続きです。

 

そういう意味でわたしが前から面白いと思っているのは

「他科目(数・理・社など)で、『問題文を正しく読み取る能力』は誰の責任で育てるべき能力なのか?」

という議論ですね。

 

最近の理科などは「単純な一問一答」の割合がものすごく減っていて、

「これ、ほとんど国語でしょ」

と思うぐらいに長い実験設定を読み解いて、図を駆使して、ようやく答えが出せるという問題が多いんです。

北海道は特にそうですけど、他都道府県見てもそうです。

 

となると、他科目の先生から

「最近の子は、なんでこんなに問題文が読めないのか……」

という悩みが上がってきます。その中には

「こんなに問題文が読めないということは、国語教育が悪いんだ!」

という発想になって、

「どうしてこういう問題文が読めるような教育を国語でやらないのか!?」

「今の国語教育はおかしい」

「『作者の気持ち』なんか読み取ってる場合じゃねえだろ」

という圧力へと変化する場合があるわけです。

 

すると言われた国語教育サイドも

「は? それはお前の仕事だろ」

「お前の仕事をこっちに押し付けるな」

という反発が生まれる。Twitterで何度かこの話題で揉めているのを見ました。

 

このケース、結構微妙だと思うんですよね。

「なんでも国語科に押し付けるな」という主張は前回のブログで書いた通りですし、まぁ気持ちはわかります。一定程度正しいと思います。たとえば代ゼミでわたしが他科の講師に上記のようなことを言われたとすれば、まさに上記のように返答するしかないでしょう。

 

しかし、

「理科の問題文を読めるようにすることは理科教師の仕事であって、国語教師には関係ない」

と本当に言い切ってしまっていいのかどうか。

そう言われると、それはそれで疑問なのです。

 

自分が5教科全部教えるようになって実感してきたことですが、やはり

「問題文から条件や設定を読み取ること」

「その問題で、求められているものが何かを理解すること」

は、理科の知識、理科の領域にとどまらない普遍的・汎用的な「国語ならではの」能力を含んでいると思うんですよね。

正直な実感として、大学入試国語の解法を教えているときと、やるべきことがそんなに変わらない。

 

やはり「もととなる文章から必要な情報を正確に引っ張ってくる」というのはまさに国語教育が得意とする領域なわけですから、国語を教える人間が具体的にかかわって解決策を提供していくというのはあるべき方向ではないのかな、と。

受験指導、という全体の中での最適をめざす中で、国語教師がもっと積極的に「問題文読解」に絡んでいく方向は大いにアリなように感じるのです。

 

ただ、現時点で本当にそんなことが実現可能なのかというと……

一般的な国語の先生は理科の問題文なんか読んだことないでしょうし、それに国語の授業は国語の授業で本来やるべきこといっぱいありますからね。

「理科・社会・数学・英語の問題文の読み方」

まで国語の先生の責任範囲ですよ、というのは明らかにオーバー・キャパシティです。

少なくとも今のカリキュラムを維持したままでは不可能です。

 

一方、他教科の先生は先生で心のどこかで

「こういうのって国語科がやるべきことじゃないの」

と思っているから、自らの責任範囲として「問題文をちゃんと読めるよう指導する方法を開発せねば」と取り組んでいる先生は決して多いとは言えない。

 

……ということで、今現在「生徒が問題文を読めるように指導するのは誰の仕事なのか」というのが曖昧な状態のまま、なんとなく誰も責任を負わず宙ぶらりんな感じになっているのが現状なのだと思うのです。

当然、「理科の問題文を読める能力」を育てる場所・身につける場所は明確に定まっていないわけです。

というか、ないんですよ。身につける場所が。

 

世間では「丸暗記はやめよう」「知識のインプットだけではダメ、アウトプット大事」という風潮がずっと強まり続けていて、その要求に応じて問題文が教科を問わず複雑化し続けてています。

でも、ほとんどの生徒はその「問題文を読む技術」を体系的に教わる機会もなく、教えられる指導者も少なく、当然生徒が訓練を積む場所もないまま受験生になってしまうわけですね。

その結果、「ほんのちょっと問題文が複雑になっただけで道コン正答率15%になる」みたいな事態が連発しているのが現状なのでしょう。

 

解決策は……難しいですよねぇ。

わたしが一般的な塾や学校を運営しているのであれば、「国語科を中心にして『問題文の読み方』を汎用的な方法論に落とし込ませて、それを他教科担当に展開してブラッシュアップさせていく」

みたいな方法を模索するんじゃないでしょうか。

あくまで指導の責任は各教科にあるけど、その技術を提供するのに国語科が協力するのはやぶさかではありませんよ、という感じ。そのぐらいが現実的な解なのかなぁという気がします。

 

まぁ、うちの場合はそういう「問題文を読んで正しく答える」技術を伝えるのは得意分野ですから、そんなに困っていないんですが。ここは、わたしが全教科教える今のシステムに一定の強みがあるので、ね。

うちはうちなりに「問題文が読める」生徒を育てるべくいっしょうけんめい指導をしていくだけですが、まぁこんなことをうっすらと考えているのです。

 

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「やさしい高校古典文法」

今回の新刊がどのような本なのか、どのような人におすすめなのか、できるだけ具体的に語っていきたいと思います。

前回の続きです。

 

前回述べたとおり、わたし自身が中高生時代にちゃんと古文を勉強していたわけではなく、後になって自分でまっさらに近い状態から勉強し直した経緯があるのです。

 

で、そこで勉強してみた結果、わたしがなぜ高校時代に古文が全然できなかったのかが理解できてきます。

 

そもそも中学国語の段階で、文法でつまづいていた

 

ことが自分が高校でまったく古文についていけなかった根本的な原因であったのだ、と。

 

そして、実地で多くの生徒に教えていく中でも、決してそれがわたし個人のn=1な問題ではなく、相当に幅広い層の生徒が同じ要因で古文につまづいているのだと実感していくことにもなります。

 

(関東での話になりますが、中学受験をクリアしてきた層は、小学校段階で文法をしっかり取り組んでいる生徒が多く、高1古文でつまづくことも少ないというのがわたしの経験上の印象です。公立中出身の生徒は、たとえ地域最上位の高校に進んでいたとしても中学国語文法が身についていないケースがかなり多いように見ています)

 

まず、高校古典文法で必要な「文法概念」にはどのようなものがあるでしょうか。

 

まず、高1の初期段階で学ぶ必須事項として、次の4点があげられます。

 

・品詞(動詞、形容詞、形容動詞など)

・活用形(未然形、連用形など)

・活用の種類(四段活用、上二段活用、サ変など)

・係り結び

 

高校古文のメインは「助動詞」と言われることが多いですし、実際に読解をスムーズに行うための決定打が「助動詞」であることは間違いないと思います。

 

ただ、そもそも「助動詞」を身につけるには、品詞と活用がきちんと「使いこなせる(≠暗記している)」状態になっていないとスムーズに進まないものなのですね。

助動詞に何が接続するのか(そもそも「接続」という概念がわかっていない生徒も多い)、助動詞じたいがどのように活用していくのかを理解しないと何にもなりませんから。

 

たとえば、わたしが「完璧になるまで、見た瞬間に識別できるようになるまで身体に叩き込め」と毎年言い続ける「ぬ」の識別。

これも「未然形とはどのような形なのか」「連用形とはどのような形なのか」が瞬時にイメージできるようになっていないと、とてもじゃないですけど実戦の大学入試で使えるレベルには仕上がらない。

 

そして「未然形とはどのような形なのか」「連用形とはどのような形なのか」を理解するためには、そもそも「活用」概念、「活用形」概念、「活用の種類」概念が理解できていないといけない。

全部つながっていくものなのです。

 

であれば、古文を勉強したいなら、根本的な「活用とは?」「活用形とは?」「活用の種類とは?」という概念、定義から本当は理解し直さないといけないはずです。

 

ただ、これらの根本的な概念は、高校では初出なのではなく、すでに中学の「現代国語文法」で既習なのです。

既習扱いなので、ゼロから丁寧に教えてくれる高校は少ない(そもそもカリキュラム的に余裕がない)。

 

だから、中学でそれら基本概念を理解しないまま卒業してしまった生徒が、軒並み高校古文でつまづく結果になっているのではないか、と。

 

基本概念がわかっていないから、ただ何も考えずに丸暗記するしか手がなくなり、何のためにその文法事項を学んでいるのかがわからない。

勉強する意味がわからないから、古文はつまらないものだというマイナスイメージがどんどん強くなってきて、やる気自体が減少していき、古文を「捨てた」状態のまま高校を卒業することになる。

 

これがわたしが指導していく中で立てた「古文ができない生徒」についての仮説であり、そしてその仮説は相当程度の割合の生徒に当てはまると今も確信している、ということです。

 

ここまで読んで気づいた方もいるかと思いますが、今まさに、小学英語と中学英語の間で起きている問題と本質的に同じだと思うんですね。

 

小学英語で多くの単語や文法が既習扱いになっていて、でも実際は全然身についていなくて、そのまま既習扱いとして中1英語が進められる結果中1当初から置いて行かれる生徒が続出している、というアレです。

中学国文法と高校古典文法の間に起こっている問題とまったく同じ構造です。

 

よって、この「中学国文法」と「高校古典文法」のギャップをスムーズに埋めることがわたしがやるべき仕事だと考えて普段の授業も取り組んでいますし、今回の「やさしい高校古典文法」も、前回の「古文漢文をひとつひとつわかりやすく」もその基本思想のもとで作りました。
 

(つづく)