老後資金に関する統計数学的考察 | Do More with Less

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メインタイトルは尊敬するCG創設者の故小林彰太郎さんの書から引用しました

ちょっと暇が有ったのでたまにはこういう事も書いてみようかなと。

 

主題はファイナンスやFIREに関する云々と言うよりは統計の話。先日こんな記事が注目を集めていた様ですが

 

 

要は60歳定年時で皆さんどのくらいのお金(貯蓄)が有るのか?少し前にこの金額が2000万円以上じゃないとつらいよなんてのがニュースになりました(真意はそうではないはずですがまあここではそれは論じません)。ちなみにこの記事は退職金1000万円を前提にしている様です。

 

記事によると老後の貯蓄平均は3454万円、これなら安心ですね。しかし記事の中ではさらに46%が1000万円以上、25%は100万円未満という数字も出ています。という事は、、、

 

これを単純に計算した結果が下のグラフの青い点と線です。横軸が上から何%の資産を持っているかの順位率、縦軸が貯蓄額(万円)です。もしこれが本来的な正規分布しているとしたら1次直線になるはずですがご覧の通りの曲線。それで指数近似して数式も載せたので参照ください。

 

 

ちなみにオレンジの直線は平均の3454万円、赤は国が指摘した2000万円です。そして緑の直線はもし正規分布していたとして平均が3454万円だったらこうなるはずだったというモノです。

 

正規分布していたらざっと7割は国の言う2000万円をクリア出来た、しかし実際には上位3割ちょいしかクリア出来てないという事です。この理由は記事でも触れられている様に上位10%が1億円以上持っているのでそれに引っ張られているからです。

 

つまりこの手の話をする時に注意しなければならないのは、何でもかんでも平均値で論じるのは間違いだという事です。平均値が有効なのは本来有るべきとされる正規分布の場合など限られます。ところが世の中には正規分布しないモノが意外と多いのです。

 

ところで正規分布のための条件とは何でしょうか?それは2者択一の状況の時にどちらを選ぶ確立も同様に確からしい、つまり同じな時です。さらに言うなら無作為にやった結果という事です。

 

でも個人が稼ぐお金はそうじゃないですよね。能力や運や怠けているかどうかが関わります。となると正規分布はしないものなのですよ。

 

まあもっとも記事の前提に有る様にこれに退職金が1000万円有るとするならばもう少し楽観視出来て半分とは言わないまでも4割は助かる?という計算ですね。

 

そういう訳でたぶんこうして見ると皆さんの感覚に合うのではないでしょうか。

 

そうは言ってもこれを元にあまり変な反応はしないで欲しいなと思うのですが、例えば国が騙したとか、金融関係者の陰謀だとか(^^)

 

あくまで統計とか数字を見るためのコツを書いたまでです。もし必要であればエクセルの元データを開示しますのでご連絡の程を。