9/5にエントリーした記事を改題してより内容をわかりやすくしました。
要は一言で言うなら標題の通りなのでその方がもっとわかりやすくなるかと思い再エントリー。
旧題は「河野太郎氏が提言した金銭解雇で日本の労働環境は変わるのか?」でした。
これが法制化されるなら、今後は企業の「希望」で退職させる事が出来る様になります。だからと言ってそれは労働者にとって必ずしも悪い事ではありません。金銭が絡むからです。体力の有る企業にとっては朗報だし、同様にスキルの有る労働者にとっても朗報です。
逆に言うと中小企業は、今まで訴訟を恐れる必要が少なく普通に解雇出来たケースでも金銭が必要となり不利な方向です。ただそれ以上に不利と言うか自業自得なのは、スキルを磨かなかった労働者です。日本の労働者は世界で一番自己啓発をしてない事で有名です。もうそんな方向には逃げられないのです。
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さて自民党総裁選の情報がたけなわの中、立候補している河野太郎氏が結構大風呂敷を広げましたね。こちらのまとめがわかりやすいでしょうか。
これは私がずっと言い続けている、いやもちろん私と似たような思想の人達もここ20年は言い続けている事で、まさにアベノミクスでやるべきだったのにやれなかった事なのです。
しかし図った様に感情的な反対論が出ている様ですね。引用サイトでは労働組合の中には賛成の団体が有るかの様ですが、少なくとも私の知っている範囲では反対している所ばかりです。ちなみにそれらは本来の労働組合と言っていいのか疑問な「企業内労働組合」つまり会社の犬、いや言い方悪いので訂正しますかね。会社で第二総務課と言われる団体です。
さてそんな会社でこの金銭解雇が導入されたらどうなるでしょうか?考えてみました。
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・金銭解雇が導入(法律成立)
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・会社としては気に入らない人を金銭解雇しようとする
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・労組に騒がれる
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・断念
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・会社の収益が悪化して赤字決済
(そんな社員ばかり大量に抱えたらそうなります)
↓
・会社と労組が共謀して金銭解雇進める
↓
あれ?それって前からやってたリストラの事じゃないの?
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こんなギャグみたいな話しか思い浮かばないのですが、この金銭解雇って実は日本の労働慣習の中でなぜか赤字決済を出した時にだけ認められて来たいわゆる「希望退職」の事だったのです。もちろんその意味を日本語の字面通りに受け取ってはいけません。実際には会社と労組から標的にされた人が退職金の上乗せを条件に強制的に、ただしあくまで形式上は本人からの申し出という形式でクビになるのです。
となると大企業の場合はたぶん業績がそこそこのレベルを維持している限りこの制度が使われる事は無いでしょう。それでは中小企業はどうか?こちらは現状でも普通にクビ切りはやっているのですが(違法なケースも多い)、企業側としては法的な裏付けが生じる事でスムーズに出来るのはいい事かもしれません。ただしこれもその金銭を払える余力の有る企業に限られます。
元々この解雇規制が問題なのは法的な問題ではなくて最高裁の血迷ったとしか思えない過去の判例で特に大企業が訴訟リスクを恐れてクビ切りを行わなかったのが原因。だとすると定着するにはある程度の時間がかかりそうな気がします。
そう、この法改正を元に労働争議での新たな判例が出るまで、それも最高裁判決が出るまではそう簡単には金銭解雇への移行は出来ないのではないでしょうか?
そういう意味では私は若干悲観的に見ているのですが、しかし実は世の中そんな事よりも意外と現実の移行スピードは早いのです。既に若年層はかつての日本の働き方を求めていません。その理由はかつての様な将来への幻想が抱けないからです。当然ですね、この社会保障費の高騰とその割に自分達へのキックバックが少ない点、不確実な経済情勢、一方で新NISAをはじめとして自己責任ばかり押し付けられる。
基本的に私は河野大臣を支持してはいないのですが、この政策だけは支持するのでぜひ新政権では「金銭解雇推進大臣」になってもらいたい。そして若者達と一緒に雇用の流動化が進んだ日本を形成して欲しいと思っています。