「アルファさん今度ご飯連れていってくださいよ」

「えっ、ああべつにいいよ」

由佳の店に二回目に行った時の事だったか、あまりにもストレートな営業トークに少しひきながら生返事をしている俺がいた。

当然ながらこの時、彼女指名で一人で店に行きだしたのであるが、そのストレートな営業に俺はすでに彼女の術中にあったといっていいだろう…

適当な事言ってると思い、適当な返事をしていたのだが彼女は本気だった。

「でも俺、仕事遅くまでしてるから、同伴の時間より遅くなるで(笑)」

「それじゃ私の休みの日にしましょ?」

「えっ、それじゃ同伴にならへんやん?」

「いいの、いいの。私はアルファさんとご飯行きたいだけやもん」



完全にやられました…



頭のなかで、あわよくばの考えが駆け巡りました(泣)

男は単純です(俺だけか?)

しかも彼女の一人暮らししている地元の駅で待ち合わせですあせる




ええ行きましたとも!
いそいそと(笑)

仕事も早く切り上げて、一張羅のカジュアルシャツに着替えて(笑)





その駅は少し郊外のベッドタウンといった感じで、地元でないとわからないようなコジャレたダイニングバーのしかも個室に案内されたのでありました…
若い時はパブやバー専門で、ホステスのいる店なんかは、違った意味でも必要なかった。

それでもこの10年近くは、地元のスナックで飲むようなり、馴染みの嬢もいたが…

きっかけは、学生時代の悪友の誘いで花街のキャバクラに連れて行かれた事だったと思う。

大人の街、花街にもキャバクラがあるなんて事も知らなかったが、(もっともこの店はクラブと名乗っていたが…)サラリーマン時代に上司に連れてこられて、いやいやながら飲んでいた時の花街とはずいぶんイメージが違った事に少し驚いた。

(花街とは全国的にも有名なあの街の事です)


悪友はスーツなのに、俺は脱サラの職人系でジーンズにTシャツなので、少し気後れしていたのを思い出す。

その店で知り合ったのが、由佳というホステスだった…
他の若い娘に比べて、少し年齢はいってるようだが、男好きのするようなと云うのだろうか、少し派手めな顔立ちが美しい女性だった…

「私、職人さんとかガテン系の人が好きなんですぅ」
「またまた巧い事言って~俺なんか見ての通り貧乏やし、何にも出ぇへんで!」
「そんなん違いますよ~前にほんまに職人の人と付き合ってた事もあるんですよ(笑)」

「あと、トラックの運ちゃんとか」

「ヘェ~変わってんな君」
なんて事を話しながら、どうせ営業やろ!と思いつつもあっさりと携帯アドレスをゲットされていた俺がいた(笑)
妻から全否定されるようになって、数年が過ぎようとしていた…

初めは一時的な感情のもつれで、しばらくすれば以前のように仲良く暮らして行けると思っていたのだ。

「あなたには感情がないのよ。愛情とか優しさとかそういうものが」

「あなたもまだ若いんだし、誰か探してやり直せばいいのよ」

そう言って妻は実家に帰って行った。

その時、彼女がうつ病であると診断されていた事がわかるのには、まだしばらくの時間を必要としていた…