近年の社交ダンスの音楽表現は音楽をよりシャープに
魅力的に演じられる様スピーディで切れ味の有る動きが
求められています。
ステップはより華やかに複雑になり音楽表現は様々な
テクニックを使いより豊かな運動表現と成っています。
中でも回転を伴う音楽表現はより音楽表現を華やかにし
社交ダンスの美しさをより際立たせるものです。
その為多くのフィガーは回転運動を基準として生み出され
スタンダードダンスに於いては常に男女がコンタクト
しながらも位置関係を変える事でより魅力的な踊りと
成っています。
ナチュラルとリバースの回転運動を基準として数多くの
フィガーが作られているのですが上手く回転できない事で
自分の演ずるフィガーやルーティンが単なる足形と成って
二人の位置関係も上手く変化できず苦労している踊り手も
多く見られるのが現実です。
基本的なテクニックとしてボールターンが説明され
男女が互いに規定量の回転を行う事でスムーズに
フィガーやルーティンが演じられるとしているのですが
習った通り踊ろうとしても思い通り男女の位置関係を変え
スムーズにフィガーを繋いで行けるペアは少ないです。
その多くが回転量が足りなかったり回転するたびに
ペアのホールドが崩れてしまったりと社交ダンスの演技の
基本である回転運動が出来ない事で楽しく演じられていない
踊り手を見かけます。
初心者に多い問題は互いにお相手の周りを回ろうとしたり
お相手を自分の周りに回したりと見た印象で踊っている
踊り手が多い事です。
習ったフィガーの回転量を間違いなく行えば上手く踊れる
と信じて疑わず何時まで経っても楽しく踊れていないペアが
少なくありません。
また言葉の説明から内回りとか外回りという言葉通り踊り
互いにズレたり間違ったステップの演じ方と成っている方も
多く実際の回転の方法を習っていないのが現状の様です。
先ずお相手の周りを回ったり自分の周りを踊らせたりする
踊り方は無くてラテンアメリカンダンスを踊る時はまだしも
スタンダードダンスに於いては単に踊りを難しくするだけで
踊る事でかえって美しい上体を崩す原因と成ってしまいます。
どんなに男女が回っても二人のコンタクト面は一定であり
上体が捻じれたり崩れたりする事は有りません。
ステップワークの説明として回転する時ボールターンと言う
テクニックがありますが名前通りボールを回そうとしては
いけません。
結果的にボールで回って見えますがボールを回しているのでは
無くてヒールからヒップ更には背中側を回していてボールは
単に床との接点に過ぎません。
また片脚づつ回すのではなく両足の接点が上体からの運動で
同時に回転をする事を知っていなければなりません。
ボールで直接回るとお腹がボールと一緒に回転を行い
互いにボディがズレる原因を作ってしまいます。
多くの踊り手がただ向かい合ってホールドを取っていれば
美しく立てるのですがフィガーを演じ始めると直ぐに
上体が崩れたり硬直し始めます。
当然ホールドは崩れる事と成るのですが見た目常に美しく
演じる為に最初からホールドを固め男女が如何なる運動を
行っても上体が崩れない様に保つのが日本人の踊り方であり
海外に行くと嫌われる原因の一つにもなっています。
どんなに回転しても大きな運動表現をしても上体を美しく
保つ事が出来るのはナチュラルとリバースの回転運動に
置ける上体の使い方を知る事が重要です。
またこの回転に伴って背中側の回転が踵の回転と成りその結果
ボールで回転する事に成るのです。
複雑なステップも素早い回転運動も足先やボールで行うのでは
無くて上体からの繫がりの有る背中側の運動で行われる事を
シッカリと理解して練習する事が大切です。
踊っている間にペアとしてのスクウェアーポジションが崩れると
ホールドが崩れる大きな原因と成ります。
崩れない様に上体を固めると言うのは余りにも短絡な考えで
特定のお相手とは我慢できても誰とでも楽しくは踊れず更には
自分の音楽表現を育てる事が不可能と成ります。
一曲を通してまるで人形が踊っている様な形だけの踊りは
遠い過去のものであり社交ダンスに限らず現代社会の踊りは
誰もが心も身体も自由に踊れる事が一番大切と言えます。
本当に素晴らしい踊り手は男女共に全身を自由に動かせ
互いのやり取りでホールドもボディ表現も美しく演じて
いるのです。
外見だけが美しくて心から楽しめない社交ダンスは
踊る価値は有りません。
どの様に踊ったらお互いにストレスを感じる事無く
美しい形で演じらえるかの踊り方を多くの方が知る事を
心から願わざるを得ません。