社交ダンスは踊り手がその時流れる音楽やお相手に対し
如何に自分の心を表現するかがとても大切です。
ステップやフィガーと言った踊る為のアイテムを覚え
間違いない様に踊ったとしても見ている人にもお相手にも
感動を与える事は出来ません。
踊る為のテクニックは自分の思いを音楽的な表現として
演ずる事で初めて意味を成し単なる自己満足の踊りでは
お相手の良い反応も得る事が出来ず直ぐにコンタクト面は
硬直しトラブルが多くなってしまいます。
音楽表現を行う時大切なのはお互いにコンタクトして思いを
伝え合う上半身の意思の有る運動表現が必要なのですが
この演技を実際の音楽の感じとして表すには上半身と
下半身を繋ぎ二人の体重をしっかりと移動させる重心の動きが
大切です。
上半身の音楽表現や表情が思い通り継続できるにはペアとして
目的の方向に自由に重心を動かす事が出来る事が重要です。
重心は目に見えませんがイメージとしては下腹から骨盤の中心
に位置する様にして下肢の筋肉を使って前後左右に動かし
ペアとしての音楽表現を創り出します。
その際立脚に重心を集め更に次の中間バランスで新たなる
フットポジションをキャッチするまで下肢の筋肉を使い
スピードをコントロールする事が必要です。
音楽の始まりは左右どちらかの足が次に体重を乗せる場所を
決めた瞬間にあり立脚に如何に重心を引き寄せるかが
美しく力強い表現をする方法と成ります。
力強いステップや表現をしようとすると立脚に強く体重を
乗せようとしたり床を強く蹴ったりしてしまう踊り手が多く
唐突に力を入れたり体重を乗せると反射的に重心が止まり
全身の運動が上手く繋がらず音楽表現が難しくなります。
この事は初心者が習った足形の上に体重を乗せようとして
腰が抜けてレッグが前方に振れず思い踊り踊れない原因と
成っているだけでなく上手く重心が移動が出来ないで
力をもって外見的に美しさを維持しているベテランも多いです。
ステップに因る音楽表現やフィガーの説明ををする事は
有るのですが基本的に下肢の運動表現は上肢の意思の有る
運動表現によって反射的に行われる事が自然です。
私達人類は上肢と下肢の運動機能を切り離して使う事で
脳の発達を促し様々な日常に対応出来る様に成りましたが
全身を使った運動表現が上手く出来なくなり本来ならば
誰もが出来る全身を使った運動や音楽表現が限られた
エキスパートの演技と成ってしまいました。
スポーツや社交ダンスが上手に出来ると言う事は
この私達誰もが本来持っている運動機能が使えると
言う事なのです。
特に下肢の使い方は上半身と下半身を別々に使う事で
反射的に動かせなかったり運動機能が衰えて来ると
意識をもって強制的に動かさなければならなくなります。
社交ダンスを踊る時も一歩一歩ステップを意識を持って
動かしたり体重を乗せる事で演じようとすると途端に
重心は止まりスムーズな運動表現が難しくなります。
社交ダンスの音楽表現をより豊かに思うが儘に行う為には
開脚をしてどちらかの足に体重を乗せる時上体からの
意思有る運動表現により支え足の床をキャッチした力で
重心を引き付ける事で次の立脚にしっかりと体重が乗り
音楽リズムの明確さと力強さが作られます。
その後立脚の横を通過するムービングフットを如何に
次の開脚迄使うかにより音楽表現が大きく変わります。
重心が立脚に集まる事で音楽リズムと合わせる事に
成りますがこの重心を立ち脚に素早く引き寄せると
見た目ハッキリとしたビートや力強い演技と成ります。
その時ムービングフットを如何に引き付けるかによって
種目や演技内容が変わります。開脚した時ムービング
フットを床から離さず重心だけを素早く立脚に引き寄せると
振り込まれるレッグが一瞬力強いシルエットを創り
シャープな踊り姿を演出します。この時重心の動きで
足首が引っ張られいわゆるバレーフットの形になります。
ラテンアメリカンダンスの下肢のレッグシルエットが
音楽リズムと共に示される理由でも有ります。
またスタンダードダンスであってもタンゴの様にリズムと
シャープなボディラインで演ずる事を要求される時
同じ様に体重が立脚に乗った瞬間ムービングフットの
レッグシルエットを強調して踊る傾向が有ります。
ムービングダンスに於いては前後に開脚をした所から
次の開脚迄ムービングフットが途切れる事無く演じられ
立足のライズ運動によってショルダーの上方への運動と
共にスウィングライズの表現が作られます。
この時重心が上りながらムービングフットが進行方向に
振り込まれる事からか次の立脚はボールライズやトウ
ライズに成ります。
支え足の力でライズアクションを行うのではなく自然に
立脚の上でボール並びにトウライズが出来るのです。
ダウンスウィングと言う名前に囚われて立脚の膝を曲げ
床を強くプレスして踊るのではなく身体の運動機能が
自然に働く事で目的の音楽表現に成るのです。
この運動は沢山のフィガーやステップを踊る事以上に
とても重要であり初心者の時から日常生活の歩きと
変わらず演じられる事を知る必要が有ります。
社交ダンスのテクニックは誰もが簡単にできるものであり
演ずる機能は誰にでも備わっています。
自分だけでなくお相手に対しても気持ち良く踊れる様
身体の運動機能の使い方を知る事は大切です。