知識に因る音楽表現を感覚に因る音楽表現に | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

社交ダンスのみならずあらゆるスポーツに於いて

若い頃は上手く熟せていても年齢を重ねるにつれて

次第に思い通り演じられなくなります。

競技をしていてもベテランに成るにつれて若い選手と

同等に踊る事が難しく成り引退を余儀なくされて

自分の過去の栄光に寂しさを覚えたりします。

 

この事は人間であると言うより生き物である事の定め

とも言えますがいつまでも若くありたいと思うように

いつまでも思うが儘に楽しく踊れたらと思います。

しかしながら月日は残酷で有りいつの間にか自分の

身体でありながら思うように動かす事が出来ず

悔しさと寂しさを感じる時期もやって来ます。

年を重ねると言う事は全ての人間にとって同等に

与えられる試練で有り運命でも有ります。

 

社交ダンスを愛する人達にとって死ぬまで踊って

居たいと言うのは常と言えますが多くの踊り手は

その日が来るずっと以前から自らの身体の変調に

悩み運命を受けざるを得ないと感じ始めます。

とは言え中には亡くなるその日まで踊っている方も

いるものです。かつてレッスンをしていた方が

80代の半ばではありましたが踊り終わりしばらく

長椅子に腰かけていましたがそのまま天国に召されました。

眠っているようでしたが日頃言っている通りの最後で

家族の方も何も慌てず静かに教室を後にしました。

 

この様な最後はむしろ特殊と言え多くの場合思い通り

その日まで踊り続ける事は不可能と言えます。

しかし高齢に成っても出来るだけ普通に誰とでも

踊っていたいものです。

その為には身体を健康に保ちシッカリと日々練習を

続けていく事とも言えますがその様に頑張っていても

次第に身体は動き辛く成るのが普通です。

何故頑張って練習を重ねたり身体の管理をしているのに

思い通り踊り続けられないのか少し考えてみましょう。

 

私達の身体は何もしていなくても歳を重ねるにつれて

運動機能が衰え社交ダンスのみならず様々な運動が

思い通り出来なくなって来ます。

この原因は単に老化や身体の機能の衰えかと思いがちで

自分の身体にムチ打って頑張る方も多いのですが

次第に動けなくなる理由を調べてみると、若い頃には

何でも動けるのに歳を重ねると動きづらくなる原因が

単に老化や運動機能の衰えだけではなくもっと身体の

基本的な性質に有る事が解ります。

 

若い頃はそれほど知識がなくともいともたやすく難しい

運動表現が熟せたのに歳を重ねると頑張っているのに

思い通り成りません。

それは歳を重ねて機能が衰えたと言うのではなく若い頃

身体の動きを創っていた運動機能を次第に使わなくなって

多くの知識や経験に頼り始める事にもよるのです。

私達の身体は何事をするにしても身体中の機能と知能を

使う事で対処できるように出来ています。

その為何をするにも心と身体が繋がり合い全身で物事に

対処する様に出来ています。

 

即ちまだ知識が少なく経験が浅くともこの機能が良く働く

若い頃はベテランの踊り手が苦労する演技を簡単に熟して

しまう場合が少なく無いのです。

所が知識や経験が増してくると自分の身体の機能を使うより

知識を優先してしまう場合が多くなります。

いわばその道の評論家の様にやっている事を分析して演じ

如何に踊るかを表現しようとする事が多くなります。

 

確かに理にかなっている踊りや運動表現は無駄がなくミスや

トラブルが少ない事から無難な音楽表現とはなりますが

踊っている最中にいちいち自分の頭の中の知識と照らし合わせ

音楽表現を創ろうとする事から実際に演じているお相手や音楽

とは異なった表現と成りがちです。

社交ダンスは芸術的スポーツで有り踊っているその場その時の

お相手と音楽によってペアとしての音楽表現を目指します。

一番大切な事は音楽表現がライブである事その時の環境で

ペアが生み出したものである事なのです。

 

この事は社交ダンスのみならずあらゆるスポーツに於いて

重要であり知識や経験はあくまでその時の運動表現の道具

で有るのです。

スポーツ選手のみならず一般の方であっても知識や運動表現を

多く身に付けるにつれて表現が頭の中で作られている事が多く

成るにつれて実際に求める運動表現と異なって来るのです。

社交ダンスをいつまでも楽しく踊りたければどんなに知識や

経験が有ってもその場その時の臨場感を表現する事に努め

全身の感覚を使って演ずるようにする事が重要です。

 

スポーツ選手も社交ダンスの踊り手も評論家に成って踊ると

次第に自分自身の運動能力が失われて行きます。

若い人がスポーツもダンスも思うが儘に熟して行けるのは

技術もさることながら自分の相手や周囲の状況に対して

非常に感覚が鋭く身体の運動機能が反射的に動くからです。

年を重ねても社交ダンスと言わず日常的な事から何でも

瞬時に感じて行動できるセンスが必要です。

 

いつまでも楽しく思い通り踊れる力は貴方の身体が

既に持っています。

その力を知識や経験で置き換えてしまうと折角の運動能力が

次第に無くなってしまいます。

自分を信じると言う意事は自分が感じる事を大切にして

育てると言う事です。

この事は幾つに成っても夢を実現できる力と成ります。

新たなる自分に脱皮できることが若く美しい社交ダンスを

踊り続ける事に成ります。