私達が運動表現を行う時特に移動を伴った全身運動を
演ずる時は下肢の運動を反射的に行う為に上半身の
運動機能を使う事が求められます。
スタンダードダンスに於いても上半身の運動表現は
下半身を的確に使う為に非常に重要と言えますが
ラテンアメリカンダンスに於いては更に上体の音楽
表現を豊かに行う事からただショルダーや手先を
動かすのではなくボディからの筋肉運動が繋がって
下肢からのエネルギーが伝わる様演ずる事が大切です。
スタンダードダンスが上体をコンタクトして踊って
いる事も有って上半身の音楽表現がそれ程顕著には
感じられないのですがラテンアメリカンダンスは
男女がシングルハンドで繋がって演技していたり
ソロで音楽表現を行う事が多い事から如何に音楽を
全身で表現するかが大切です。
見た印象でショルダーを意識的に動かしたり誇張した
表情で踊っていても感じられる音楽が踊り手のサイズで
留まっている様では感動的な踊りには成りません。
ただ力を入れて踊ってもペアとして繫がりが無くなったり
音楽の雰囲気とはかけ離れてしまったりする事も有り
如何に自分の身体から音楽を発するかが問題です。
この事は矢張りスタンダードダンスと同じく音楽と
お相手を感じ取りながら自分の心と身体を反応させ
豊かな音楽表現にする事が重要と言えますが
下半身から伝わってくる床からの大きなエネルギーを
如何に上体で感動的な音楽表現に変えるかを知る事も
音楽表現の大切なテクニックとして覚えなければ
成りません。
スタンだーダンスを踊る時お相手とコンタクトしながら
肩甲骨を使ってホールドを豊かな表現に変える事を以前
説明しましたが同じ様に下半身から反ってきたパワーを
肩甲骨を使って左右のショルダーに伝える事は重要です。
下肢から伝わったエネルギーは背中の筋肉を使って
左右の肩甲骨に伝えられショルダーを通して手先まで
抜けて行きます。
この時この動きを更に強く演ずる為に腹筋を使います。
横隔膜をしっかりと引き上げ腹筋の板を立てながら
肩甲骨の動きを助ける様にあばら骨を左右に上げます。
脊椎を境に左右の上体が音楽表現を行う事で下肢からの
大きな力が豊かな音楽表現と成って上半身の踊りを
華やかに演出します。
ウォークする事で立足で床を掴まえプレスした力が
床からの反作用で上体に伝わる様が上半身の美しく
豊かな音楽表現と成ります。
目に見えませんがスタンダードダンスを踊っている時も
同じ様に下肢の力がショルダーに抜ける事でどんなに
激しく動いてもホールドは柔らかく美しさを失わないのです。
スポーツに於いてこの能力が優れた人が素晴らしい選手と
成っているのは言うまでも有りません。
高度なテクニックは知らなくても運動の繫がりがイメージ
出来る様に成ると身体は自然に思うように踊ってくれます。
この繫がりは誰しも持っている物であり何もしないで
外見を固めて踊っていると身体はどんどん老化します。
何時までも若く美しく踊る為には自分の身体が求める様
使ってあげる事が大切です。