社交ダンスを踊る方は誰もが思うがままに踊れたらと思って
練習を重ねているかと思いますが自分の考え通りお相手が
踊ってくれることは先ずありません。
それはお相手の技術が足りないとか意思の疎通が無いとか
言う事ではなく本来誰もが自分自身の意思を持って物事の
判断をして自分が楽しい様に自由に生活出来る様にと考え
誰かの指示で動く事は余り得意ではないのです。
社交ダンスは共通のフィガーやステップそしてルーティンで
同じ音楽表現が出来る様に目指すのですが例え技術が有り
経験豊かであったとしても自分が思うようにお相手を踊らせ
自分が楽しく成る様に演じてもらえる事は難しいのです。
社交ダンスを踊っているペアを見ると特にエキスパートに成れば
互いの思う事が同じでありペアとしての一つの芸術を創り上げ
美しく演じている様にも見えますが実際は互いの運動表現は
全く違っている事が多くその違いを理解したうえで音楽を
ペアとして美しい運動表現に変えているのです。
社交ダンスを踊る方はしっかりと技術を学び沢山のフィガーを
覚えれば上手に楽しく踊れると思いがちですがどんなに多くの
ステップや運動表現を学んだとしても自分が思うようにお相手が
動いてくれるとは言えないのです。
長年ペアとして踊っていればそれなりに同調した音楽表現を
生み出す事は出来るのですが自分が思うように申し合わせた様に
踊れるとは限りません。
それは人其々が持っている個性が失われる事無く誰しも自分の
生き方考え方をベースに生活しているからです。
完全にお相手の指示に従い自分の考えを無くしてしまう事は
心と身体に大きなダメージを与える事に成ってしまうからです。
では何故エキスパートはペアとして一心同体の音楽表現を
生み出す事が出来るのでしょう。見ている人からすれば全く
同じ運動表現をしている様に思えるかもしれませんが実際は
決して自分の思いを失うことなくしっかりと自分の個性を発揮し
自らの心が躍動して踊れる様にしているのです。
と成ると二つの異なった個性がぶつかり合うことと成り当然
コンタクト面に諍いが生まれるはずです。
しかし実際は互いのリード＆フォローが喜びと幸せを生み出し
踊り手も見ている人達も楽しさを味わえるのです。
この事は踊る上でとても大切なポイントで有りお相手に合わせ
習った通り間違いなく踊る事が実は上手く踊れず互いの接点に
大きなトラブルを生む原因に成っているとも言えるのです。
つまり練習過程に於いて正しいステップや運動表現を習い
多くのフィガーやルーティンを間違いなく踊る事は決して
社交ダンスを上達させる方法とは言えないのです。
では何故それほど異なった個性の持ち主同士が社交ダンスを
本当に楽しく踊れるのかと言えば踊る為の様々なテクニックや
運動表現は理解していてもその知識を必ずお相手の心と身体に
合わせて変化させ踊る事が出来ているからです。
習った時の印象や記憶の再現では現実に踊っているお相手の
身体の機能や運動表現には合わせる事が難しいのです。
どの様に踊ったら自分の運動表現がお相手に受け入れられ
お会い手の運動表現が自分自身の音楽表現を高める事に成るか
常に現実のやり取りで踊る事が求められます。
上手く踊れていない方の多くは踊っているお相手とは外見的に
一緒に演じている様に見えますが実際は自分の頭の中の記憶の
再現に多くの気持ちが向いていて目の前のお相手のその時の
心と身体が全く感じられていません。
私達の身体は例え多くの知識が有ったとしても常に現実の
変化する状況に反応して最も的確に動くようになっています。
その為あらゆる状況に対処できるのです。
普段の生活に於いてトラブルなく生きて行けるのも実際に
体験しながら過去の記憶や知識を反射的に使っているのです。
社交ダンスを上手に踊るには覚えた知識を如何に目の前の
その日の状況に当てはめるかが重要です。
対人センスが如何に優れているかが社交ダンスのみならず
スポーツの世界でも大切です
練習にさいしてもフィガーやルーティンの確認作業では無く
コンタクトしたお相手と音楽そして環境に気を配る事が
実は上達する為にとても重要なのです。
長年踊っているお相手や先生であっても人間ですから
日々変化しているのが当たり前です。
先ず自分の心と身体がいつも新鮮に反応出来る様に
する事が思うがままに楽しく踊れる道と言えます。