体幹を強くする意味と力の伝達方向 | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

スポーツの世界に於いて体幹を如何に強くするかは

パフォーマンスを思い通り遂行する為に重要と言えますが

社交ダンスを踊る時にも体幹が強い事は大切と思えます。

運動能力を語る上で体幹が強いと言う事は目指す運動が

より豊かに思い通り演じられると言う事に繋がる事も有り

多くの方が体幹を強くしようとトレーニングに励みます。

 

しかしながら体幹が強いと言うとボディは筋肉に包まれ

頑丈な鎧をまとったようなイメージを抱かれる方も多く

ただ闇雲にボディの筋肉量を増しても効果ありません。

ジムなどに通って上体に多くの筋肉を付け体幹を大きく

した方が果たして社交ダンスが上手に踊れたかと言えば

良い結果を耳にする事は殆ど無くボディビルダーの様に

鍛えあげてもスムーズな音楽表現には繋がらないのが

現実とも言えます。

 

そもそも体幹を鍛える意味を知らずただ闇雲に筋肉を

鍛えたところで社交ダンスが上手に成るとは言えません。

体幹がしっかりとしていれば上体の運動表現が左右の

ボディバランスを安定させ脊椎バランスを保つ事が

出来る事から体幹の筋肉がしっかりしていればより豊かな

パフォーマンスが出来るだけでなくペアとしても

安定した音楽表現が出来るとは言えます。

 

ならばやはり頑強な体感を創り上げた方が良いのかと

言えば多くのエキスパートが見た目驚く程のボディを

しているかと言えばそうとも言えません。

大切な事は体幹の役割をしっかりと理解する事です。

足腰の訓練と同じく見た目の力強さや運動表現を

身に付けようとしても思う様な楽しい音楽表現が

得られるとは言えないのです。

 

先ず体幹の果たす大切な役割は上体の運動と下肢の

運動を繋げ一体感のある運動表現を生む事です。

上体だけの演技や下肢だけの運動表現では全身の

筋肉が繋がらず重心運動も難しく成る事から

社交ダンスに於いては如何に上肢と下肢を繋げ

全身の運動表現でお相手とやり取りを行うかが

とても重要です。

 

気を付ける事は体幹と言えばボディの周囲筋が

上体と下肢を繋いでいて運動を司ると思っていると

脊椎の左右のボディの役割が無くなり様々な運動が

思い通り反射的に行われなくなってしまいます。

外見的には滑らかな運動表現が無くなり部分的な

筋肉運動が目立ちペアとしての音楽表現が難しく

成ってしまいます。

 

体感の筋肉のイメージを脊椎の右サイドと左サイド

に分けて考えてみましょう。

基本的に上体からの運動表現や体重を使った加重は

左右の足を通して床に働きかけその反作用として

上体に脚力を伴って反って来ます。

この時この大きな力を何処を通して上体に伝え

パフォーマンスに変えて行くかが大切です。

簡単に言えば左脚部からの力は左体側の筋肉を通し

肩甲骨に向かって行きます。

 

つまり下肢に意思のある運動表現を伝える時に

肩甲骨の動きとショルダーの動きを下肢の臀部に

伝えるのと逆のコースを辿ります。

下肢からの大きな力は身体の半分の体幹を主体として

肩甲骨周辺の筋肉に伝えられます。

左右の足から得た力を左右の体側の筋肉を通して

上体のパフォーマンスに変えて行くのです。

 

左右両サイドが伝えた床からの力を上肢の運動表現

に変える事が体幹の筋肉の大きな役割なのです。

判りやすく言えば杖をついたりスキーのストックで

地面を押したときその力は肩甲骨周囲筋に向かっていて

しっかりと歩く為には下肢の運動を上体に的確に

伝える事が重要です。

簡単に言えば足を怪我した時に松葉杖をつきますが

持ち手の支えを何処にするかを考えれば解ります。

脇の下から杖が支える事で体幹を引き上げる事を

意図しているのです。

 

体幹は見た目の頑強さではなく上体の運動に応じ

左右のボディの筋肉を反射的に緊張させ下肢の筋肉と

上肢の筋肉を繋ぐ事に依って生み出されます。

この運動がうまく行われると非常にスピーディで美しい

音楽表現が生れます。

素晴しいジャンプで魅了する羽生結弦プロのボディは

立足から上体へ伝える大きな力が体幹を通して上体の

美しいパフォーマンスに変わります。

けっして頑強な筋肉を身に付けていると言うのではなく

下肢からの力を上体に伝える体幹を持っているのです。

 

私達の目はどうしても演技の最終形態や作用した床や

お相手とのコンタクト部分に意識が向きその印象的な

部分の運動を演技の基準と考えがちです。

美しい音楽表現は身体の中の様々な部分を伝わった

下肢からの大きな力で作られている事が多いのです。

 

一見力強い体幹に見えたとしてもそれは運動表現を

正しく行う事で印象的に感じたに過ぎません。

身体は繋がりの有る筋肉で演じられる事で美しく

感動的な音楽表現を生み出します。

如何に自らの身体を自然な筋肉運動で作り上げ

音楽表現に変えて行くかが踊り手の課題と言えます。