社交ダンスのみならずあらゆるスポーツに於いて
また格闘技の世界に於いても新たなる人間の持つ
素晴らしい能力が注目を集めています。
これまで運動を行う時は如何に運動機能を高め体力を
増すかがパフォーマンスをより豊かにする方法と
思われて来ましたが近年科学の発達のみならず人間が
本来持っている心と身体の繫がりが如何に大きな力を生み
驚きと共に人類の更なる進化を期待させています。
従来スポーツやダンスの技術を習得するには数多くの
テクニックや知識を身に付け長い時間を掛けながら
強靭なボディを創り上げる事が必須と言われて来ました。
人並外れた体力と技術を持つ事で思い通りの運動表現を
生み出すことが出来ると信じられ目指すパフォーマンスを
行うには長い苦しいトレーニングが必要とされて来ました。
社交ダンスが上手に成る為にも技術のみならず自らの身体を
鍛え上げる事に因って叶えられると信じられて来ました。
より大きな力を持つ事が思いを果たす事と信じられていた為
社交ダンスの世界に於いても他のスポーツと同じく他に秀でる
体力が有る事が上手に踊れる条件とされて来ました。
確かに非力な方よりも筋肉容量が多く運動能力に優れた方が
より美しく力強い音楽表現を行っているとも言えるのですが
男女がコンタクトを行いながら音楽表現を生み出して行く
社交ダンスに於いては単なる個人的な体力や技術だけでなく
コンタクトして互いが生み出す新たなる力が重要です。
この力は自らの身体を強靭に鍛え上げなければ得られないと
言うものでは無く体力に自信が無い非力な方であっても
美しく力強い音楽表現が出来るのです。
本来私達の身体は自分が思うように動かしていると思いがち
なのですがコンタクトする事に因ってお相手によって自由に
動かされたりまたお相手を思うがままに動かすことが出来ます。
直接コンタクト面に力を込めなくともとても小さな力で
繫がりの有る運動表現を創り出すことが出来るのです。
私達は自分の意思をもって身体を動かしていると思いますが
実際は身体の様々な運動機能が繋がり合って思う事以上に
多くの運動を生み出す事に因って動かされているのです。
その多くが反射的に成される事で自分が意識することなく
思い通りの動きを創り出しているのです。
つまりペアとしてのやり取りの多くが自分が意識していない
身体の運動が有って初めて音楽表現と成っているのです。
その結果外見的に見える互いに作用する具体的な運動表現が
意識として感じられる為その見た目の運動が社交ダンスを
上手に踊る為の方法と思われているのです。
この本人が意識していない力は身体全体に関わっていて
自分が意識して行っている運動表現よりもより多くの筋肉と
関わっている事からその動きを導き出す事でより簡単に自然に
互いの身体を動かすことが出来るのです。
私達はコンタクトして力を与えあうと反射的にお相手の力に
反応して筋肉が働きます。お相手を押せばお相手は同じ様に
押し返します。しかしこの力はお互いに身体のほんの一部の
筋肉が反射的に作用し合っているのであって全身の筋肉の
働きを表しているのではありません。
殆どの筋肉は単に緊張しているだけか休んでいるだけで有って
自分のパフォーマンスに多くが関わっていないのです。
つまりしっかりと全身の筋肉を使っていると思っていても
一部の筋肉が働いているだけなのでより意識を込めて力を
生み出さないとパフォーマンスが出来ないからより多くの
筋肉を育てる必要が有り多くの時間が必要とされるのです。
筋肉の鎧を身に付けてもその多くが緊張をする事は有っても
直接お相手とやり取りしている部分は少なく強靭な身体を
持っていても実際はその多くが機能していないと言えるのです。
しかしながらこの休んでいる筋肉を意識をもって動かすと
反射的にお相手の筋肉を動かしたり自らの運動機能を増したり
する事が出来る為様々なパフォーマンスのスキルが上がります。
社交ダンスに於いては実際にコンタクト面には力を加えずとも
お相手の身体を自由に動かしたりお相手の運動を自分自身の
パフォーマンスを高めるために利用することが出来るのです。
多くの踊り手がコンタクト面に力を加える事に因り全身の
筋肉が緊張するだけで互いの運動表現を止めてしまいますが
力を入れずして自分の身体の筋肉を動かすと反射的にお相手の
身体を思うがままに動かすことが出来るのです。
その為にまず大切な事は脊椎バランスを常に感じながら
ボディの左右の筋肉をリラックスして如何なる運動を
行っていても筋肉が硬直しない様動けることです。
上体の運動は脊椎でバランスを取る事に因って肩甲骨を
自由に動かし下肢の筋肉を連動させることが出来ます。
ショルダーを常に緊張させて踊ると全身の筋肉が堅く成る
だけでなく上肢と下肢が連動しなくなります。
外見的な美しさは身体の形を常に保つ事で作るのではなく
男女が互いに上体の運動を正しく行う事で自然に生まれる
と言う事を知っている事が大切です。
踵から大腿骨を通し頭骨迄繋がるバランスは常に四肢を
自由に動かす事に繋がります。
互いに大きな力のやり取りが有っても柔らかい筋肉で
意思を持った運動表現を行うとコンタクト面を通して
お相手の身体に作用し大きな力で動かさなくてもお相手の
身体の運動機能で動かすことが出来るのです。
社交ダンスの踊りは大きな荷物を持ち運ぶようなものでなく
互いの運動機能を繋ぎ合ってお互いが自分の筋肉の力で
自分の身体を動かす事に因って演じられるものです。
コンタクト面を通して行う運動はお相手の身体を動かす
と言うものでなく如何に踊って欲しいのかを伝える為に
有るのです。
男女の身体は其々の筋肉が自分自身の身体を動かす事で
コンタクト面には無駄な緊張を生まないのです。
意思を持った運動を自分の身体に与えると反射的に
お相手の身体の動いて欲しい運動機能が使われるのです。
まずはコンタクト面を通してお相手の身体の中の動きを
感じ演ずる姿をイメージする事が大切です。