多く方が少しでも体重を減らし美しい姿で踊れたら
と願うものです。
社交ダンスを踊る目的が痩身であることも多く、
踊る事で美しい身体を得るだけでなく痩せたいと言う
願望を持っている踊り手は少なく在りません。
メディアが報じる理想的な姿は社交ダンスに限らず
痩せたモデルのような身体であることは事実です。
体重を減らす事、スタイルを良くするハウツー物の
書籍は昔から本屋さんの書棚を多く占めています。
しかしながら社交ダンスに於いて必ずしも痩せた方が
上手に踊れるとは限らず、体重が重い方の方が実際に
踊ってみると非常に軽快で踊りやすいことも多いのです。
対人的なスポーツに於いて最も大きな力を発揮するのは
体重です。格闘技に於いても事細やかに体重に因る階級を
決めているのはいかに人の重さが運動能力に大きな力を
発揮するかが解っているからです。
スポーツに於いて優れたパフォーマンスを行う選手は
出来るだけ重い体重で重心を早く動かせる人です。
重心が動く事で全身の運動機能が繋がり、目的の
運動表現が思うがままに出来るのです。
社交ダンスに於いても外見的な美しさ以上に自由に
重心が動かせる踊り手が素晴らしいパフォーマンスを
発揮できることは事実です。
どんなにスマートで美しい姿をしていても、重心が
止まったままで手足の部分的な運動をしている踊り手は
思うがままに音楽表現が出来ないだけでなく、お相手に
取っては極めて踊り辛い方と言えます。
男子に多く見られる欠点は、自らの体重を動かさないで
上半身のショルダーや手の力で女子を動かそうとする事です。
例え腕力が強くとも腕だけの力で踊らせようとしても
女子の重みは自由には動かせません。
更には自分の重心が動かない事で常に前かがみのバランスで
自らの運動機能を使えなくしています。
ラテンアメリカンダンスに於いてシングルハンドで踊って
いる時でさえ、常に自分の重心を動かすことでステップを
生み出しリード&フォローをすることが大切です。
スポーツの基本は走る事に有るのも、常に重心を動かす
運動表現の基本を身に付ける為であり、例え自分より
大きなお相手と踊る時も重心を動かすことで対応できる
からなのです。
社交ダンスに於いては男女が全く同じ体形で運動能力も
変わらないと言うのは極めてまれであり、多くの場合
どちらかの体重や身長が勝り、そのままお相手に合わせ
運動しようとすると必ずトラブルが生じます。
互いに助け合いながら重心の動きを同調させ、ペアとして
最も理想的な音楽表現を目指すことが大切です。
この時脚力は上半身のコンタクト面に直接力を与える
のではなくて重心を動かし上体を移動させることが
第一の目的です。
直接お相手に下半身のパワーを伝えない事で上体の
ローテーションやショルダースウィングがスムーズに
行われるのです。
下半身の大きな力は重心の動きを伴い上半身に的確で
柔軟性のある動きを与える事が重要です。