社交ダンスを習うと体重を支える足の床に対するフットワークを
習いながら様々なフィガーを習得して行きます。
あらゆるステップは重心移動を伴うムービングフットの前進
後退の運動を基準として生まれます。
テキストに書かれているフットワークやレッスン場で習う
様々なフィガーは男女の上体の運動表現によって床に対する
足の裏の使い方や支え方が決まって来ます。
しかしながら目に見えにくい男女の身体の動きは中々理解し難く
多くの場合結果的に床に触れた足の裏の部分や振り込まれた
フットの方向を基準として説明される為、そのまま見た様な
部分動作で踊ると身体の自然な繋がりからの運動と成らず
常に足形や脚の運動に注意を払いながらしか踊れなく
成ってしまいます。
これがいわゆる初心者のぎこちない運動で有りベテランで
有っても思うがままに自然に踊る事が出来ない原因を生んで
しまうのです。
私達は普段自然に身体と心が繋がり合って思うが儘に生活を
送る事が出来る様に成っています。
しかしながら、例えスポーツに長けた方であっても社交ダンスを
習い始めるとまるで歩き始めの幼児の様な動きになってしまい
せっかく身に付けた運動機能が封印されているのです。
この事は社交ダンスの殆どが外見的に確認出来たり同調できる
踊り姿を学ぶ事から生じています。
社交ダンスはスポーツで有り、身体の部分的な運動表現で
男女が楽しく踊れるとは言えません。
つまり第一に言える事は、男女の体重が同調して動く事で
様々な運動表現が作られているからです。
野球のピッチャーが最後に指先でボールを投げるからと言って
指先を動かしたり指先のトレーニングをしたりしません。
社交ダンスも例え足先で高くライズしたからと言って、
指先に大きな力を加えて足先の力で高く上昇している
と言うのでは有りません。
しかしながらテキストに説明されるようなダンス用語を
そのまま踊る為の運動と考えたり、その部分を使って
音楽表現を仕様とすると、コンタクトして踊っているが故
男女共に非常に踊り難い苦しい社交ダンスと成ってしまい
どんなに努力しても思うが儘に踊る事は出来ないのです。
多くのレッスン場に於ける社交ダンスの踊り方の説明が
ただフィガーやルーティンを覚え見た様な運動表現を
真似る事に終始している事が問題です。
自分の身体の運動機能の基本を習わずフィガーやルーティンの
運動に多くの時間を費やしても上達する事は難しいです。
多くの踊り手が様々なステップや運動表現を覚え
フィガーやルーティンを間違いなく演ずる事に時間の
多くを使っていて、例えペアを組んで踊っていても
お相手や音楽に気持ちが殆ど無く、ただ記憶したフィガーを
間違い無く踊る事に専念しているのが問題です。
例え、身体の使いかを習ったとしてもそれは殆どの場合
男女其々の運動表現としてであり、繋がりをもって
互いの運動機能がステップを創り上げているイメージが
余りにも足りません。
互いにお相手を感じる習慣がつくと、お相手が代わった
瞬間に自分の踊り方が反射的に変わるのが解ります。
例え特定のお相手と上手に踊れても、違う方と踊ると
全く上手に演じられず、お相手にとって重荷となる
自称名人が数多くいます。
頭の中の多くの正しい知識？は絶対で有り、間違いなく
踊っていればお相手も楽しく踊れていると思っている
裸の大様の様な踊り手を多く見かけます。
どんなお相手と踊っても心から喜ばれる踊り手は
踊るお相手によって瞬間的に踊りが変わる事が出来ます。
また、お相手の運動機能を感じる事に依って自分の
身体の動きを通じてお相手をより上手に踊らせる
テクニックを持っています。
時に誰もが見惚れる素晴らしい芸術的な踊りを見せた
かと思いきやパートナーが変わった瞬間、まるで別人
かと思われるような初心者を優しく包む踊りを見せる
と言った見ている側にも心温まる光景が生れます。
社交ダンスは決して雲の上の様な踊り手の踊りが
踊れる事がベストなのでは無く、目の前のお相手を
誰よりも楽しませる事が出来る事が大切です。
その為には、常にコンタクトを通じてお相手の思いを
感じ取る習慣をつける事が重要です。
男女共習った通り間違いなく自分の運動表現が出来れば
社交ダンスが上手に楽しく踊れると思っている限り
いつまでも申し合わせのお相手としか楽しめなく成って
しまいます。
お相手に正確なステップを踏ませたかったり思い通りの
音楽表現をして欲しかったら、お相手の身体が自然に
その様に踊りたくなるリード＆フォローを知る事が重要です。
社交ダンスはコンタクトして互いの運動機能を繋ぎ合って
演じられる事を忘れてはならないのです。