多くの社交ダンスのテキストや教授書に書かれている
テクニックや運動表現は、見た人や習った方が理解出来る
最終的な運動表現を説明しています。
目に見え言葉で説明しやすい運動表現を記する事に因り、
多くの踊り手や初心者にも理解できる様にしています。
しかしながらこの計らいが返って踊りを難しくして
いるのです。
ダンステクニック集に有る様々なフットワークや運動表現を
しっかりと覚えたとしても中々思い通りに踊れないのが
現実です。
一生懸命つま先で立とうとしても床を指先でプレスして
パワーを得ようとしても、手足を大きく広げ豊かな表現を
しようとしても、実際は思いとは裏腹の残念な踊りと成って
しまう事が多いのです。
原因は自らの能力不足とか知識不足とか言ったものでは無く
最初からやっている事が間違っているからなのです。
ハッキリ言ってテキストに書かれている事やレッスンで
言われた事をそのまま再現しても上手には踊れないのです。
素晴らしい教本を見ても有名なコーテャーに習ったとしても
自分が思い描く音楽表現に成るのは稀なのです。
一体何故間違いなく踊っているのに自分が理想とする
音楽表現とはならないかを知る事が大切です。
私達の身体は二足歩行する以前に犬や猫の様に四肢で
大地を移動していた頃から身体の基本的な繋がりは
変わっていないのです。
何をするにも全身の運動機能を繋げる事に依って厳しい
野生の世界を生き抜いて来たのです。
しかしながら二足歩行をする事に依って上半身が自由と成り
体重の影響を受け無くなって単独に動ける事に成ったのが
長足の進歩を遂げた代わりにそれまで身に付けていた
全身を繋げる運動機能を衰えさせてしまったのです。
普段の社会生活に於いては、両手が単独で動ける事により
他の生き物より遥かに秀でた生活能力を身に付けたのですが
上肢と下肢を切り離して運動する事で、自分の身体を移動させ
全身の運動表現を繋げる事が苦手に成ってしまいました。
便利な両手の機能の様に両足を動かす時も下肢だけの筋肉や
フットの部分的な機能のみを使う事で哺乳類の中でも断トツに
運動能力に劣る生き物と成ってしまったのです。
この事はスポーツや社交ダンスを本当に心から楽しめない方の
大きな原因を作っているのです。
社交ダンスのフットワークも、レッスンやテキストで習た通り
その部分を動かそうとしても身体全体を動かす重心や上半身は
動こうとせず自らの体重が一番の荷物と成っているのです。
社交ダンスは常に男女が重心を動かし互いの運動機能を繋げ
音楽表現をする事に依って成り立つのです。
いかに全身を繋ぐ運動機能や男女の繋がりの有る音楽表現を
初心者の時から習うかが大切です。
基本的な運動表現が有ってこそ互いの身体が思い通り機能し
楽しい自由な社交ダンスが踊れるのです。
全くの初心者の時からこの人間の身体の仕組みを習う事が
一番大切で有り、この理解が様々なステップや運動表現を
習う様に成っても楽しく踊り続けられる方法なのです。
私達の身体の運動機能は共通で有り可愛い犬や猫の
運動機能と基本的には変わっていません。
この誰でも理解できる身体の仕組みを殆どのレッスン場で
教える事無くただステップやルーティンばかりの練習に
明け暮れているのが残念です。
難しいフィガーも初心者も踊れる簡単なステップも同じく
誰にでも備わっている運動機能で難なく踊れるのです。
いつまでも健康に若々しく美しく踊る為にも
自分の身体の事を知る事はとても大切です。