多くの踊り手に取って、どれくらいの歩幅で踊ったら良いか
どうやって音楽リズムを取ったら良いのかが解っていません。
ステップを習うと、ステップごとにリズムやフットワークを教え
られていても、実際にどの様にリズムを表現したらいいのか
どれくらいの歩幅で踊ったら良いのかがあいまいです。
その為多くの方が先生やエキスパートが踊っている様に
踊る事が正しいと思い、一生懸命似せて踊ろうとしています。
上手な方の踊りを見ると、歩幅が大きく一歩一歩しっかりと
リズムを取って踊っている様に見える事から、見えたように
しっかりと足腰に力を入れて歩幅や屈伸によって運動表現の
強弱を作ろうと考えがちです。
初心者であったりまだあまり上手に踊れない方にとっては
見たように感じたように踊る事が上達の秘訣と思い込み
少しでも大きな歩幅でしっかりとした足さばきで踊ろうと
努力しているのですが、残念ながら現実は思い通りには
行かない事を実感するに留まります。
社交ダンスを踊る時、ステップやフィガーや運動表現を
習うだけでなく、それらを使っていかに音楽表現をするかを
習わなければなりません。
しかし、多くの場合教えている側もテキストの説明をする様に
一歩一歩を分析するような音楽性のない教え方をしている
場合が多く、教えている側でさえ音楽を楽しく表現出来ていない
という現実が有ります。
では、いかに音楽を表現するかと言うと、音楽を演ずる以前に
私たちが日常で何のトラブルもなく自由に移動出来たり
身体を思うがままに動かすことが出来る理由を知らなければ
音楽表現を理解することは出来ません。
まず普段私たちは社交ダンスのステップを踏むように一歩一歩
床や地面を踏みしめて歩いてはいません。
また歩幅を大きく広げながら歩いてはいません。
社交ダンスもこの日常で行っている運動表現と同じ様に
踊る事が最も大切なのです。
普段何も苦労しないで歩ける足が、社交ダンスを踊り出した途端
まるで他人の足の様に不自由で動きづらくなるのは、その様に
踊っているからなのです。
何十年も慣れ親しんだ足使いが一番大切なステップ表現です。
まず大切な事は、歩いている人を横から見ると、誰しも両足を
前後に開いて歩いています。しかし歩いている本人は、自分が
身体の真下で体重を支えている様に感じます。
この感覚がとても大切であり、歩幅を広げる事ではなく、どんな
歩幅で有っても常に両足の間に身体の中心をおき、そこから
前方の足で重心を引き付けた方の足を更なる前方にスウィング
させる事が歩いたり走ったりする基本でありダンスのステップの
基本なのです。
社交ダンスの表現の大きさは歩幅では無く、上体のローテーションを
伴った前後の開脚と次の立ち脚による重心の引き付けで決まります。
また音楽リズムも、開脚して両足の間に重心を置いた時から始まり
引き着付けられたムービングフットが次の開脚を作る瞬間までを
一つの音と感じます。
簡単に言えば両足を前後左右に広げて床をキャッチしたところから
次に広げるまでを音楽リズムの幅と考えればいいのです。
階段を下りる様に、一歩一歩体重を乗せる行為を音として考えると
後足がスウィングできず、立ち脚の上で身体が留まってしまいます。
上手く音楽が表現できない方の多くがこの一歩一歩体重を乗せる
普段の生活とはかけ離れた踊りをしています。
社交ダンスは音楽が流れ身体が動き出したら、重心点が流れる様に
スウィングし円運動を生み出して行かなければなりません。
剣道の選手、ボクサー、テニスの選手、その他陸上スポーツの
多くの選手の構え方は前後左右に広げている理由でもあるのです。
ウォーキングをしている様にステップが次々に繰り出され
重心が止まることなく動ける事が社交ダンスの基本でもあります。